一人親方が仕事の車を買う時期|12月に買っても経費になるのは1か月分です
12月の半ば、ディーラーの商談席。見積書の上に置かれた軽バンのカタログを前に、営業の人が言います。「年内に登録すれば、今年の経費になりますよ」。今年はたまたま現場が続いて、所得が去年より多い。今のうちに買っておけば税金が減る——そう考えて判を押しそうになる場面です。
結論からお伝えすると、年の途中で仕事に使い始めた車は、その年は「使い始めた月から12月までの月数分」しか経費になりません。所得税法施行令132条は、年の中途で業務の用に供した減価償却資産の償却費を、1年分の償却費を12で割り、業務に使い始めた日から12月31日までの月数を掛けて計算すると定めています。12月に買えば、経費になるのは1か月分です。そのうえで軽自動車税は、4月1日の持ち主にその年度の分がかかります(地方税法449条)。買う時期で気にするのは、年末よりも3月末のほうです。
年内に買えば節税になるのか?
数字で並べるとはっきりします。新車の軽バンを150万円で買ったとします。
- 耐用年数:総排気量0.66リットル以下の小型車は4年(減価償却資産の耐用年数等に関する省令・別表第一)
- 償却の方法:個人が何も届け出ていなければ定額法(所得税法施行令125条)。耐用年数4年の定額法の償却率は0.250(同省令・別表第八)
- 1年分の償却費:150万円×0.250=37万5千円
これを使い始めた月で割り振ると、こうなります。
- 1月に使い始めた場合:12か月分で37万5千円
- 7月に使い始めた場合:6か月分で18万7,500円
- 12月に使い始めた場合:1か月分で3万1,250円
月数は暦で数え、1か月に満たない端数は1か月にします(所得税法施行令132条2項)。12月1日に登録しても12月28日に登録しても、その年の経費は同じ1か月分です。「年内に登録すれば今年の経費に」は間違いではありませんが、150万円のうち今年に回るのは3万円ほどです。
そして大事なのは、どの月に買っても4年間で経費になる合計は変わらないことです。時期で動くのは「どの年に回るか」だけです。耐用年数や償却の仕組みそのものは一人親方が仕事の車をリース・ローン・現金で比べるときで扱っています。

気にするのは3月末の登録
軽自動車税の賦課期日は4月1日です(地方税法449条)。その日に持ち主として登録されている人に、その年度の分がかかります。普通車の自動車税も賦課期日は4月1日です(同法155条)。
つまり、軽バンを3月28日に登録すると、数日後の4月1日に持ち主になっているので、その年度の軽自動車税の納税通知書が届きます。登録を4月に入ってからにずらせるなら、それだけで最初の納税は1年先になります。今の車の車検が5月に切れる、といった事情で3月末と4月初めのどちらでもよいなら、4月に寄せるほうが手元のお金は楽です。
逆に、手放す側も同じです。古い車を売るなら、名義が3月31日までに相手に移っていないと、翌年度の税金はあなたに来ます。
買う時期は、この順番で決める
- 今の車の車検の月を見る。車検を通すか、その前に替えるかで、候補の月がほぼ決まります
- 4月1日をまたぐかを見る。3月末と4月初めで迷うなら、軽自動車税の分だけ4月が有利です
- 経費は月数で割り振られると知っておく。節税を理由に年末へ急ぐ必要はありません
- 通帳の残高で決める。現金で買うなら、残高がマイナスになる月を避けます。月ごとの残高の出し方は一人親方が独立1年目に作る資金繰り表にまとめています

都合の悪いことも書いておきます
- 中古車は、耐用年数の出し方が新車と違います。詳しくは一人親方の車と工具はいつ経費になるかを見てください
- 休みの日に家族の買い物にも使う車なら、償却費のうち仕事で使った割合の分だけが経費です。割合の考え方は一人親方の家事按分で扱っています
- 自分の場合にいくら経費になるか、どの償却方法を届け出るかは、税務署か税理士に確認してください。ここに書いたのは一般的な計算の流れです
まとめ
- 年の途中で使い始めた車の償却費は、月数で割り振る。1か月未満は1か月(所得税法施行令132条)
- 150万円の軽バンを12月に使い始めても、その年の経費は3万1,250円。4年間の合計は時期で変わらない
- 軽自動車税と自動車税の賦課期日は4月1日(地方税法449条・155条)。3月末の登録は、数日で1年度分の税がかかる
- 時期は、車検の月・4月1日・通帳の残高の3つで決める
車を替えた月と、そう決めた理由を相談・雑談の掲示板に残してもらえると、これから買う人の材料になります。
※ 本文の条文と別表は2026年9月27日時点の e-Gov 法令検索で確認しています。


