一人親方が日雇いで人を使うときの源泉徴収|2か月以内なら丙欄、日当9,800円未満は税額0円

結論からお伝えすると、現場で人を日雇いで使い、その日ごとに日当を払うなら、源泉徴収の税額は国税庁の「日額表」の丙欄で求めます。丙欄では、社会保険料などを引いたあとの日当が9,800円未満なら税額は0円です。ただし、同じ人に続けて2か月を超えて払うと、超えた分から丙欄は使えません。

この記事は、人を雇う側になった一人親方・小さな会社向けの話です。国税庁タックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)と、令和8年分の源泉徴収税額表で確かめた内容だけを書いています。

外注の職人に払うお金と、日当は別の話です

源泉徴収が要るのは、雇った人に払う給与です。同業の職人に仕事を頼んで払う外注費は、別の扱いになります。国税庁が「源泉徴収が必要な報酬・料金等」として挙げている代表例(原稿料、講演料、弁護士・司法書士などの報酬、モデルや外交員の報酬など)には、大工や内装の工事は出てきません。

雇用か外注かは、呼び方ではなく働き方で決まります。線引きは別の記事に書いたので、そちらを先に見てください。

日雇いで人を使うときの源泉徴収で確かめる4点の図

丙欄を使えるのは、どんな日当か?

国税庁は日雇賃金を「日々雇い入れられる人の、労働した日または時間によって算定され、労働した日ごとに支払を受ける給与等」としています。アルバイトでも、雇用契約の期間があらかじめ2か月以内と決まっていて、日給か時給で払うなら丙欄です。

  • 応援で1日だけ入ってもらい、その日に日当を渡す→丙欄
  • 2週間の工事に入ってもらい、日給で払う→丙欄
  • 同じ人に3か月続けて日給で払う→2か月を超えた日から丙欄は使えず、甲欄か乙欄

契約が最初は2か月以内でも、延長したり、やめたあとに雇い直したりして2か月を超えることがあります。その場合も、超えた日から丙欄は使えません。

税額はいくらになるのか

日額表は、日当そのものではなく、日当から健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料などを引いた金額で行を探します。令和8年分の表で、丙欄の金額は次のとおりです。

  • 9,800円未満:0円(9,700円〜9,800円の行は0円、9,800円〜9,900円の行から1円)
  • 10,000円:8円
  • 12,000円:79円
  • 15,000円:193円
  • 20,000円:419円

同じ15,000円の行(15,000円以上15,100円未満)でも、乙欄は3,940円、甲欄の扶養親族等0人でも670円です。丙欄は軽い代わりに、日雇いと言える期間だけに使えます。2か月を超えたあとも丙欄で計算し続けると、税額が足りなくなります。

日当15,000円のときの丙欄と乙欄の税額の比較図

建設の現場だけ、昭和41年の特別な取り決めがあります

国税庁には、建設労務者について、昭和41年12月27日付の通達があります。建設業の協会からの要望をそのまま認める形で、甲欄を使う人を次のように決めています。

  • 職長・班長・世話役など、同じ事業主に続けて雇われるのが普通の基幹要員
  • 同じ事業主に雇われる期間が、続けて8か月を超える予定の人
  • 同じ事業主に、続けて1年を超えて雇われた人

それ以外の人は丙欄とされています。ただしこの通達は「当分の間」の取扱いで、要望した協会向けの回答です。いまも同じように運用されているかは、ここでは確かめられません。常用に近い形で長く入ってもらう人がいるときは、税務署で聞いてから決めてください。

納める期限と、都合の悪い点

源泉徴収した所得税は、原則として、払った月の翌月10日までに納めます。給与を払う人が常時10人未満なら、申請して承認を受けると、1〜6月分を7月10日、7〜12月分を翌年1月20日にまとめて納める「納期の特例」が使えます。

都合の悪い点も書いておきます。

  • 税額が0円でも、誰にいくら払ったかの記録は残してください。納付書の書き方の手引きには、日雇労務者の賃金について、延べ人員・支給額・税額を書く欄があります。0円のときに何を出すかは、税務署で確認してください。
  • 人を初めて雇うときは、給与を払う事務所の届出が要ります。10日以内に出す届は初めて人を雇うときにまとめました。
  • この記事は源泉所得税だけです。労災・雇用保険・社会保険の扱いは別で、書面で渡す労働条件は雇った人に労働条件を書面で渡すときを見てください。

まとめ|日雇いで人を使う前に確かめる3つ

  1. 雇用か外注か(外注なら、この記事の源泉徴収は関係しません)
  2. 2か月以内で終わるか(超えそうなら、超えた日から甲欄か乙欄)
  3. 日当から社会保険料を引いた額が9,800円を超えるか(超えなければ税額0円)

税額表は毎年変わります(令和8年1月から改定されました)。実際に払う前に、その年の表を国税庁のサイトか税務署で確認してください。人の雇い方や、どの欄を使うかで迷ったら、税務署の源泉所得税の担当窓口に聞くのが確実です。

人を使う側になって迷ったことは、相談・雑談の掲示板で他の職人と話せます。

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