一人親方が国民年金基金に入るとき|掛金は月6万8,000円まで、入ったら自分からはやめられません

年金の封筒に「国民年金基金のご案内」というチラシが入っていた。国民年金の保険料は毎月払っている。年金定期便を見ると、将来の欄には国民年金の1行しかない。会社員なら、ここに厚生年金がもう1行乗る。独立して5年目、所得が少し安定してきて、この差が気になり始めた。

結論からお伝えすると、国民年金の保険料を納めている一人親方は、国民年金基金に入れます。掛金は月6万8,000円まで(国民年金基金令34条)、払った掛金は全額が社会保険料控除になります(所得税法74条2項5号)。ただし、入ったあとに自分の都合でやめることはできません。加入は任意ですが、脱退は任意ではない。ここを知らずに入ると、売上が落ちた年に困ります。

国民年金基金に入る前に見る5点。掛金は月6万8,000円まで、全額が社会保険料控除、自分からはやめられない、iDeCoと同じ枠を使う、付加年金は払えなくなる。

一人親方は、そもそも入れるのか?

入れます。国民年金法127条1項は「第一号被保険者は、……申し出て、その加入員となることができる」と書いています。一人親方は自営業なので、国民年金の第1号被保険者です。

ただし、次の人は入れません。

  • 国民年金の保険料を免除・猶予されている人(一部免除・学生納付特例・納付猶予を含む。116条1項)
  • 農業者年金に入っている人(同)
  • すでに別の国民年金基金に入っている人(127条1項ただし書き)

基金は、住所や業種を問わない「全国国民年金基金」と、職種ごとの「職能型国民年金基金」の2種類です(115条の2)。どちらか1つにしか入れず、あとから移ることもできないと国民年金基金連合会は案内しています。

掛金はいくらで、何がもらえるのか

加入は口数制です。1口目は終身年金(A型・B型)から選び、2口目以降で終身年金か、受け取る期間が決まった確定年金を足していきます。掛金の合計は、月6万8,000円が上限です(国民年金基金令34条)。

気をつけたいのは、この6万8,000円が個人型の確定拠出年金(iDeCo)と共通の枠だということです。確定拠出年金法施行令36条1号は、第1号加入者のiDeCoの上限を「六万八千円から……国民年金基金の掛金の額……を控除した額」としています。基金に月5万円を掛ければ、iDeCoに回せるのは月1万8,000円までです。

付加年金とは、一緒に払えない

月400円の付加保険料(国民年金法87条の2)は、基金に入ると払えなくなります。条文が対象から「国民年金基金の加入員を除く」と書いているためです。すでに付加保険料を払っている人が基金に入ると、その日に付加保険料をやめる申出をしたものとみなされます(87条の2第4項)。

損をするわけではありません。基金の年金は、加入した月数×200円を超える額でなければならないと決まっていて(130条2項)、付加年金の分を基金が代わりに払う形になっています。付加年金で足りるか、もっと上乗せしたいかで選ぶことになります。

都合の悪いことも書いておきます

  • 自分からはやめられない。127条3項に並ぶ資格を失う場面は、60歳になる、会社員になる、保険料の免除を受ける、などだけです。「今年は苦しいから止める」はありません
  • やめても掛金は戻らない。資格を失っても、払った掛金は引き出せず、将来年金として受け取る形になると連合会は案内しています
  • 国民年金を免除にすると、基金の資格も消える(127条3項3号)。売上が落ちた年に国民年金の免除を申請すると、その時点で基金からも外れます
  • 国民年金を滞納した月の分は、基金の年金にならない。その月の掛金は元本だけが返されます
  • 1口目は減らせない。最初の口数は、売上が落ちた年でも払える額にしておく
国民年金基金と小規模企業共済の比較。基金は自分からやめられない一生の年金で社会保険料控除になり付加年金と併用できない。共済は自分から解約でき事業をやめたときに受け取るが12か月未満の解約は0円。

小規模企業共済とは、何が違うのか

同じ「老後の上乗せ」でも、小規模企業共済は事業をやめたときに受け取る退職金の仕組みで、自分から解約もできます(12か月未満は何も戻らない)。基金は年金として一生受け取れる代わりに、途中でやめられない。両方に入ることもできるので、「やめられないお金」と「いざというときに崩せるお金」を分けて考えると決めやすくなります。

まとめ

国民年金基金は、国民年金を払っている一人親方が入れる上乗せの年金です。掛金は月6万8,000円まで(iDeCoと合わせた枠)、全額が社会保険料控除になります。一方で、入ったら自分からはやめられず、国民年金を免除にすると資格が消え、付加年金とは一緒に払えません。最初の1口は「売上が悪い年でも払い続けられる額」で決めるのが無理のない入り方です。税金がいくら軽くなるかは税務署や税理士に、加入の細かい条件は国民年金基金にご確認ください。条文は2026年10月13日にe-Gov法令検索で確認しました。

(出典:国民年金法87条の2・115条の2・116条・127条・130条、国民年金基金令34条、確定拠出年金法施行令36条、所得税法74条(e-Gov法令検索の現行条文)、国民年金基金連合会「加入条件・資格」「給付の種類」「よくあるご質問」)

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