一人親方が付加年金を払うとき|月400円で年200円×月数、2年で元が取れる話の条件

国民年金の納付書の束に、400円と書かれた細い1枚が混ざっている。毎月1万7,000円台の保険料に比べると、ほとんど気にならない額だ。年金事務所の窓口で「付加も払えますよ」と言われて申出書に丸を付けた。払い始めてから、これがいくらになって返ってくるのかを、ちゃんと確かめていなかった。

結論からお伝えすると、付加年金は「月400円を払うと、受け取るときに月数×200円が毎年上乗せされる」仕組みです(国民年金法87条の2・44条)。10年払えば年2万4,000円が一生上乗せされ、払った4万8,000円は2年で取り戻せます。ただし、この「2年で元が取れる」には、繰上げ・繰下げ・物価の動きで変わる条件が付いています。払う前に知っておきたいのはそこです。

付加年金を払う前に見る5点。払うのは月400円、受け取りは月数×200円、受け取って2年で元が取れる、物価が上がっても増えない、申し出た月からしか払えない。

いくら払って、いくら受け取るのか

付加保険料は月400円です(87条の2第1項)。受け取る付加年金の額は、44条が「二百円に……保険料納付済期間の月数を乗じて得た額」と決めています。

  • 10年(120か月)払った場合:払う額は4万8,000円、受け取る額は年2万4,000円
  • 20年(240か月)払った場合:払う額は9万6,000円、受け取る額は年4万8,000円
  • 40年(480か月)払った場合:受け取る額は年9万6,000円(日本年金機構の案内と同じ数字)

どの期間で払っても、受け取りが2年続けば払った額と並びます。付加年金は老齢基礎年金と一緒に支給され(43条)、本人が亡くなると権利は消えます(48条)。

誰が払えて、誰が払えないのか

払えるのは、国民年金の第1号被保険者です。一人親方は自営業なので、ここに入ります。払えないのは次の人です(87条の2第1項)。

  • 保険料の全額免除・一部免除・納付猶予・学生納付特例を受けている人
  • 国民年金基金に入っている人(基金については一人親方が国民年金基金に入るときで詳しく書いています)

一方で、産前産後の免除を受けている月は払えます。87条の2第2項が、88条の2(産前産後期間の免除)の月を払える月に含めているためで、日本年金機構も同じ扱いを案内しています。

見落としやすいのは、追納した月には付加を付けられないことです。同じ第2項は、94条4項で「納付されたものとみなされた月」、つまり免除のあとで追納した月を除いています。国民年金の免除と追納で年金額は戻せても、その月の付加までは戻せません。

さかのぼって払えるのか?

申し出る前の月には、さかのぼれません。付加保険料を払えるのは「その申出をした日の属する月以後の各月」です(87条の2第1項)。4月に申し出たら4月分から、3月分以前は払えません。払い忘れた月があるとしても、申出のあとの月なら、納付期限(翌月末)から2年は納められると日本年金機構は案内しています(時効は102条4項の2年)。

やめるのは自由です。87条の2第3項は「いつでも」申し出てやめられるとし、まだ払っていない分は申出月の前月分から払わなくてよくなります。

都合の悪いことも書いておきます

  • 200円は物価で増えない。老齢基礎年金は「七十八万九百円に改定率を乗じて得た額」(27条)で毎年見直されますが、44条の200円にはこの改定率がかかっていません。物価が上がっても、付加年金の額は払った月数で決まったままです
  • 繰上げると付加も減る。老齢基礎年金を65歳より前に受け取ると、付加年金も同じ率で減ります(附則9条の2第6項)。率は政令で月0.4%(国民年金法施行令12条)。60歳から受け取れば24%減り、10年払った人の付加年金は年1万8,240円になって、元が取れるまでに約2年8か月かかります
  • 老齢基礎年金が止まると付加も止まる(47条)
  • iDeCoの枠を400円使う。確定拠出年金法施行令36条1号は、付加保険料を払う月のiDeCoの上限を「六万八千円から当該保険料……を控除した額」としています
繰上げと繰下げの比較。60歳から繰上げると付加年金も1か月0.4%ずつ減り10年分で年1万8,240円、70歳まで繰下げると1か月0.7%ずつ増えて年3万4,080円。付加年金だけ先には受け取れない。

繰下げると、付加も増える

逆に、老齢基礎年金の受け取りを66歳以降に遅らせる(繰下げ)と、付加年金も同じ月から、同じ増額率で増えます(46条、施行令4条の5第2項)。増額率は1か月0.7%で、120か月(75歳)が上限です。70歳まで遅らせれば42%増になり、10年払った人の付加年金は年2万4,000円から年3万4,080円になります。付加年金だけを先に受け取ることはできません。老齢基礎年金と同じ月から始まります。

まとめ

付加年金は、月400円で受け取る年金が「月数×200円」増える、国民年金のいちばん小さな上乗せです。2年受け取れば払った額と並びますが、200円は物価で増えず、繰上げると減り、追納した月には付けられません。払い始められるのは申し出た月からなので、払うと決めたら早めに市区町村か年金事務所へ申し出るのが確実です。自分の受け取り開始の時期と率、税金の扱いは、年金事務所や税務署でご確認ください。条文は2026年10月14日にe-Gov法令検索で確認しました。

(出典:国民年金法27条・43条・44条・46条・47条・48条・87条の2・102条・附則9条の2、国民年金法施行令4条の5・12条、確定拠出年金法施行令36条(e-Gov法令検索の現行条文)、日本年金機構「付加保険料の納付」)

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