一人親方の年金と将来の備え
結論からお伝えすると、一人親方の年金で最初に手を打つべきは、老後の積み増しではありません。①国民年金の納付に穴を空けないこと、②働けなくなったときの給付の条件を確認すること、③そのうえで上乗せの制度を1つ選ぶこと、この順番です。順番を逆にする人がとても多い分野です。
制度の金額や掛け金の上限は年度で見直されます。ここでは金額を断定せず、選択肢の性格を整理します。実額と自分の記録は年金事務所で確認してください。
一人親方の年金は土台が1階だけ
会社に雇われている人は、国民年金の上に厚生年金が乗った2階建てになっています。一人親方は雇われている立場ではないため、原則として1階部分だけです。会社勤めの期間があった方は、その期間の分は将来受け取れます。まずは自分が何年分どこに入っていたかを把握するところからです。
そのうえで、多くの人が見落としている点を先に書きます。年金は老後の話だと思われていますが、一人親方にとって先に効くのは、働けなくなったときの障害の給付です。足場から落ちて仕事に戻れなくなったとき、収入がゼロになるのが一人親方の構造です。ここに給付の仕組みがあるかどうかは、老後の額よりも切実です。
先に、よくある失敗から
- 独立した年に仕事が回らず、保険料を止めたまま2年放置した。免除や猶予の申請があることを知らなかった
- 年に1度届く記録の通知を封も開けずに捨てていた。会社員時代の記録に抜けがあることに気づかなかった
- 老後の積み立てとして掛け金を積んだが、60歳まで引き出せない制度だと知らず、資金が詰まったときに動かせなかった
- 上乗せの制度を3つ同時に始め、仕事が薄い月の支払いが重くなって結局止めた
1つ目が一番あとに響きます。未納のまま放置するのと、申請して免除や猶予を受けるのは、将来の扱いが違います。払えない時期がある方は、放置せずに市区町村の年金の窓口か年金事務所に相談してください。要件や遡れる範囲には決まりがあるため、早く動いたほうが選べる手が多くなります。
独立した直後は、売上が入る前に保険料の請求が来る時期があります。ここで止めてしまう人が多いのですが、止めるのと申請するのは別の行為です。窓口では収入の状況を聞かれるだけで、責められることはありません。
上乗せの選択肢を並べて見る
| 制度 | 性格 | 気をつける点 |
|---|---|---|
| 付加年金 | 国民年金に少額を上乗せして納め、受け取る額を増やす | 他の制度と併用できない組み合わせがある |
| 国民年金基金 | 国民年金の上に年金を積む | 途中でやめる際の扱いに決まりがある |
| 個人型の確定拠出年金 | 自分で積んで自分で運用する | 原則60歳まで引き出せない。運用の結果で増減する |
| 小規模企業共済 | 事業をやめたときに受け取る積立 | 加入の要件がある。掛け金には上限がある |
| 建設業退職金共済 | 建設業で働いた分を退職金として受け取る仕組み | 一人親方の扱いは条件がある。支部で確認が必要 |
掛け金の上限額、税の扱い、受け取り方はいずれも制度側で決まっており、改定されます。金額をここで書かないのはそのためです。加入を検討するときは、年金事務所、金融機関、共済の窓口の3か所のうち該当するところで最新の条件を確認してください。
どれから始めればいいのか?
現実的な順番があります。まず国民年金を止めないこと。次に、仕事が薄い月でも払える金額で1つだけ始めること。3つ同時に始めて全部止めるより、1つを10年続けたほうが残ります。
選ぶ基準は「いつ使う金か」です。60歳より前に必要になる可能性がある資金を、引き出せない制度に入れないことです。事業を続けるための現金と、老後のための積立を同じ財布で考えると、どちらも回らなくなります。
年に1回やること
年に1度、加入の記録を知らせる通知が届きます。これを開いて、抜けている期間がないかを見るだけで十分です。5分で終わります。抜けが見つかったら年金事務所に持っていけば調べてもらえます。過去の記録は時間が経つほど確認が難しくなるため、毎年見る習慣にしておくのが得です。
あわせて、けがで働けなくなったときの備えも確認しておいてください。年金側の給付には納付の要件があり、労災の側の備えとは別の話です。労災については加入している団体か労働基準監督署、年金については年金事務所が窓口です。
まとめ
穴を空けない、記録を年1回見る、上乗せは1つから。この3つです。金額と条件は改定されるため、必ず年金事務所で確認してください。独立を考えている段階の方は未経験から内装職人になるにはも合わせてご覧ください。


