一人親方の確定申告|経費にできるもの
結論からお伝えすると、一人親方の確定申告で経費になるかどうかの分かれ目は2つだけです。①その支出が仕事のために出たと説明できるか、②その証拠が残っているか。この2つを満たしていれば経費として扱える方向で考えられますし、どちらかが欠けていれば苦しくなります。
金額の基準や特例の枠は年度で見直されることがあります。数字を断定せず、区分の考え方を整理します。実際の判定は税務署または税理士に確認してください。
経費は3つに分けて考える
細かい勘定科目を覚える必要はありません。頭の中では3つに分ければ足ります。全額が仕事のもの、仕事と生活が混ざっているもの、仕事ではないもの。混ざっているものを仕事の割合で分けるのが按分と呼ばれる作業です。
そして、ここが多くの人の勘違いです。領収書があるから経費、ではありません。仕事に使ったと説明できるかどうかが分かれ目です。逆に言えば、説明がつくのに領収書を捨ててしまった支出は、通せるものを自分で捨てているということになります。
先に、よくある失敗から
- 現金で買った材料の領収書をもらわず、月末に思い出しながら金額を書いた。裏づけがないため後で説明できなくなった
- 車を仕事と生活の両方に使っているのに全額を経費にしていた。按分の根拠を聞かれて答えられなかった
- 高い工具を買った年に全額を経費にした。金額によっては数年に分ける扱いになると知らなかった
- 応援に来てもらった職人に払った分の記録を残さず、支払った証拠が通帳の出金だけだった
- 1年分のレシートを箱にため込み、申告の時期に3日つぶした
どれも税金の知識が足りなかったのではなく、記録の習慣の問題です。1日5分、その日の分だけ写真を撮って残す。これだけで最後の3日が消えます。
職人の支出を区分に当てる
| 区分 | 該当しやすいもの | 注意すること |
|---|---|---|
| 全額が仕事のもの | 材料費、消耗品、刃物やビス類、現場までの高速代と駐車料、応援に払った外注費、資材の運搬費 | 誰に何のために払ったかを記録する |
| 按分が必要なもの | 車のガソリン代・車検・自動車保険、携帯電話代、自宅を事務所にしている場合の家賃と電気代 | 面積・時間・走行距離など、説明できる基準で分ける |
| 数年に分ける可能性があるもの | 金額の大きい工具、機械、車両 | 境目の金額と特例の枠は年度で変わる。国税庁の案内で確認する |
| 経費ではなく控除の側で扱うもの | 国民年金や健康保険の保険料、労災の特別加入の保険料など | 経費と控除は別。区分は税務署か税理士に確認する |
| 仕事ではないもの | 家族の食費、私的な旅行、自分への給料 | 個人事業では自分に給料を払う形にはならない |
4段目を見落とす人が多くいます。保険料の類は経費として引くのではなく、所得から控除する側で効いてくるものがあります。どちらで扱うかで結果が変わるため、ここは自分で決めずに確認したほうが安全です。
按分の基準は自分で決めて構いませんが、決めた基準は毎年そろえてください。去年は走行距離、今年は勘、という形にすると説明ができなくなります。自宅の一室を作業と事務に使っているなら床面積、車なら走行距離、携帯電話なら仕事の時間の割合。どれか一つを決めて、根拠になるものを一緒に残しておけば十分です。
作業着や飲み物は経費になるのか?
いちばんよく聞かれるところです。考え方はさきほどの2つの条件に戻ります。現場でしか着ない作業着や安全靴、ヘルメットは、仕事のためと説明しやすいものです。一方、ふだんも着られる服は説明が難しくなります。
飲み物も同じです。自分が飲む分と、応援に来てもらった職人に出す分では性質が違います。後者は誰に出したかを書き添えておけば説明がつきます。迷ったら「税務署の人に一行で説明できるか」で判断するのが実用的です。一行で説明できないものは、そのままでは通りにくいと考えたほうがいいです。個別の判定は税務署に確認してください。
青色申告にしておく意味
青色申告を選ぶと、控除の枠や、赤字が出た年の扱い、家族に給与を払う場合の扱いなどで有利な取り扱いが用意されています。控除の金額は帳簿の付け方と申告の方法で変わり、金額は制度側で決まっているためここでは書きません。国税庁の案内で確認してください。
ただ、申請には期限があります。年の途中で思い立っても、その年から選べないことがあります。開業のときに一緒に出しておくのがいちばん確実です。
まとめ
覚えるのは条件2つ、区分5つ、そして1日5分の記録です。金額の境目と控除の枠は年度で変わるため、国税庁の案内または税務署で確認してください。判断に迷う支出が複数ある方は、一度税理士に見てもらうと以降が楽になります。
応援に払った分の扱いが多い方は急に人手が足りないとき、応援職人を最短で見つける方法も合わせてご覧ください。


