見習い職人が1年目に貯めておく金額|2年目の6月から住民税が引かれ始めます

入社2年目の6月。いつもと同じだけ現場に出たのに、給料日に振り込まれた額が数千円少ない。明細の控除の欄を上から見ていくと、先月までは無かった「住民税」の行が1本増えています。昇給したわけでも、欠勤したわけでもありません。1年目に稼いだ分の税金が、1年遅れで引かれ始めたのです。

結論からお伝えすると、見習いの1年目に貯めておくのは「2年目の住民税1年分」と「辞めたときに失業給付が出ない期間の生活費」の2つです。住民税は前の年の所得に対して、2年目の6月から12回に分けて給料から引かれます(地方税法321条の5)。そして雇用保険の基本手当は、原則として離職前2年間に被保険者期間が12か月以上ないと出ません(雇用保険法13条1項)。1年目の途中で辞めると、この条件に届かないことがあります。

なぜ2年目の6月から手取りが減るのか

住民税は、その年の1月1日に住んでいる市区町村が、前の年の所得に対してかける税金です(地方税法318条)。学生やアルバイトで前の年の収入がほとんど無かった人は、1年目はこの税金がかからないか、ごく少額で済みます。その代わり、1年目に働いた分が2年目にまとめて計算されます。

会社員の場合は、会社が給料から天引きして市区町村に納めます(特別徴収・地方税法321条の3)。天引きの期間は法律で決まっていて、6月から翌年5月までの12回です(同法321条の5)。だから手取りが変わるのは4月の昇給時期ではなく、6月です。

どのくらい引かれるのか

住民税は2つの部分でできています。

  • 所得割:給与所得控除や社会保険料控除などを引いた残り(課税所得)に、市町村分6%(地方税法314条の3)と道府県分4%(同法35条)で合計10%。さいたま市のような政令指定都市に住む人は市8%・県2%で、合計は同じ10%です
  • 均等割:市町村分3,000円(同法310条)と道府県分1,000円(同法38条)が標準。これに国の森林環境税1,000円(森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律5条)が一緒に集められます

計算の例を1つ置きます。埼玉県の最低賃金は2026年10月から時給1,196円です(一人親方に最低賃金は関係あるのか)。1日8時間・月21日で働くと月20万928円、1年で約241万円になります。ここから給与所得控除・社会保険料・住民税の基礎控除を引くと課税所得はおおむね80万円台で、住民税は年8万円台、月にして7千円前後が目安です。扶養する家族の有無や加入している保険でも変わるので、あくまで概算として見てください。正確な額は、5月から6月に会社経由で届く「特別徴収税額の決定通知書」に書かれています。

給料明細のほかの控除の見方は未経験が初めてもらう職人の給料明細の見方にまとめています。

見習いの1年目に知っておくお金の決まり5つ(住民税は2年目の6月から・所得割10%・失業給付の12か月要件・給付制限・有給は6か月から)

1年目で辞めたら、失業給付は出るのか?

ここがいちばん知られていないところです。雇用保険の基本手当は、次の条件を満たしたときに出ます。

  • 原則:離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上(雇用保険法13条1項)
  • 倒産・解雇などの場合や、やむを得ない理由の離職:離職の日以前1年間に6か月以上(同条2項)

つまり、学校を出てすぐ入社した人が1年に届かないうちに自分の都合で辞めると、前の勤め先で雇用保険に入っていた期間がない限り、基本手当は出ないことがあります。

条件を満たしていても、すぐにはもらえません。ハローワークで求職の申込みをしてから通算7日の待期があり(同法21条)、正当な理由のない自己都合の退職なら、さらに1か月以上3か月以内でハローワークが定める期間は支給されません(同法33条)。自分がどれに当たるかは、離職票を持ってハローワークで確かめてください。

有給休暇も、入社してすぐにはありません。6か月続けて働き、8割以上出勤して初めて10日付きます(見習いの有給休暇は入社6か月で10日)。1年目の前半に体調を崩して休むと、その日は給料が出ないのが普通です。

貯める額は、この順番で出す

  1. 毎月の生活費を出す。家賃・食費・携帯・車・保険を足した、1か月に必ず出ていく額
  2. それを3か月分にする。自己都合で辞めたときの給付制限が法律上いちばん長くて3か月なので、ここを単位にします
  3. 2年目の住民税1年分を足す。上の例なら8万円台。2年目の途中で辞めると、残りは自分で納付書で払うことになります
  4. 12で割って、毎月の積立額にする。生活費が月15万円なら、45万円と住民税9万円で54万円。月4万5千円です

月4万5千円が1年目に無理なら、半分でも構いません。大事なのは、2年目の6月に手取りが減ることと、1年以内に辞めると給付が出ないことを知ったうえで、金額を自分で決めておくことです。

見習いが1年目に貯める額を出す4つの手順(生活費を出す・3か月分にする・翌年の住民税を足す・月の積立額に直す)

都合の悪いことも書いておきます

  • ここで示した住民税は概算です。前の年にアルバイト収入があった人は1年目から引かれていることがありますし、住んでいる市区町村や扶養の状況でも変わります。気になる人は、市区町村の住民税の窓口で確かめてください
  • 給付制限の期間は、条文では「1か月以上3か月以内」の幅で、実際の期間はハローワークが決めます。辞める前に確かめておくのが確実です
  • 日給月給で雨の日に仕事がない現場では、月21日働けない月があります。その月の分も生活費の見積もりに入れてください

まとめ

  • 住民税は前の年の所得にかかり、会社員は2年目の6月から翌年5月まで12回に分けて引かれる(地方税法318条・321条の3・321条の5)
  • 税率は所得割10%と均等割。最低賃金で1年働いた例では、年8万円台が目安
  • 基本手当は原則として離職前2年間に被保険者期間12か月以上が必要(雇用保険法13条1項)。自己都合なら待期7日のあと1〜3か月の給付制限もある
  • 貯める額は「生活費3か月分+2年目の住民税1年分」を出発点に、自分で決める

1年目にいくら貯められたか、2年目の6月に何が変わったか。職人になりたい人の掲示板に書いてもらえると、これから入る人の目安になります。

※ 本文の条文は2026年9月27日時点の e-Gov 法令検索で確認しています。

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