見習いが残業代を確かめるとき|法定休日でない土曜の出勤は、休日割増ではなく時間外です

月末、手帳に書いておいた残業の時間を数えると、平日の居残りが合わせて14時間、土曜の出勤が2回。給料明細の「残業手当」を時間で割ってみると、1時間あたりの額が日給を8で割った額とほとんど同じでした。割増が付いていないのか、計算のしかたが違うのか。明細だけでは分かりません。

結論からお伝えすると、残業代は「1時間あたりの賃金」を先に出し、それに割増の率を掛けて確かめます。1日8時間・週40時間を超えた時間には2割5分以上、法定の休日に働いた日には3割5分以上の割増が付きます(労働基準法37条1項・割増賃金の率を定める政令)。1時間あたりの賃金の出し方は、日給なら日給を1日の所定労働時間で割る、と施行規則19条1項に決まっています。

残業代の確かめ方4段階(日給を所定の時間で割る・外してよい手当を除く・時間外は1.25を掛ける・毎日の時刻を残す)

まず「1時間あたり」を出す

労働基準法施行規則19条1項は、給料の決まり方ごとに、1時間あたりの額の出し方を分けています。

  • 時給:その金額(1号)
  • 日給:日給÷1日の所定労働時間(2号)
  • 月給:月給÷月の所定労働時間。月によって違うときは1年間の1か月平均(4号)
  • 出来高払い:その期間の出来高の総額÷その期間の総労働時間(6号)

割る前の金額から外してよい手当もあります。家族手当と通勤手当(37条5項)、そして別居手当・子女教育手当・住宅手当・臨時に支払われた賃金・1か月を超える期間ごとに支払われる賃金です(施行規則21条)。逆に言えば、これ以外の手当(職長手当・資格手当など)は割る前の金額に入れて計算します。

計算の例

日給1万2,000円・1日の所定労働時間8時間の見習いなら、1時間あたりは1,500円です。

  • 平日に1時間残った:1,500円×1.25=1,875円
  • 月14時間残った:1,875円×14=2万6,250円

月給22万円で、1年の所定労働時間が2,040時間(1か月平均170時間)なら、1時間あたりは約1,294円、残業1時間は約1,618円です。

土曜の出勤は「休日割増」なのか?

ここが明細を見てもいちばん分かりにくいところです。3割5分の休日割増が付くのは、法律で与えなければならない休日に働いた日です。労働基準法35条が会社に求めているのは、毎週少なくとも1回(または4週間で4日以上)の休日です。

日曜が法定の休日と決まっている会社で、月〜金に8時間ずつ働いたあと土曜に8時間出たとします。土曜は法定の休日ではないので、休日割増ではありません。ただし、その週はすでに40時間働いているので、土曜の8時間はすべて週40時間を超えた時間外になり、2割5分の割増が付きます(32条1項)。

  • 土曜8時間(時間外):1,875円×8=1万5,000円
  • 日曜(法定休日)に8時間出た場合:1,500円×1.35×8=1万6,200円

どの曜日が法定の休日かは、就業規則に書かれています。職人の休みの決まり方は未経験で知っておく職人の休みにまとめています。

法定休日でない土曜と法定休日の日曜の比較(土曜は週40時間を超えた時間外で2割5分以上、日曜は休日労働で3割5分以上)

割増が重なるとき

  • 夜10時から朝5時までの労働には、2割5分以上の深夜割増(37条4項)
  • 時間外が深夜に及んだら5割以上、法定休日の労働が深夜に及んだら6割以上(施行規則20条)
  • 時間外が1か月60時間を超えた部分は5割以上(37条1項ただし書)。それが深夜に及んだら7割5分以上(施行規則20条1項)

現行の条文には、60時間超の5割について中小企業を外す規定は残っていません。会社の規模を問わずかかります。

記録を残す。請求できるのは3年

残業代を含む賃金の請求権は、当分の間、請求できる時から3年で時効になります(115条・附則143条3項)。会社は賃金台帳を、当分の間3年保存する義務があります(109条・附則143条1項)。自分の側でも、日付・現場名・始まりと終わりの時刻を手帳かスマートフォンに毎日残しておくと、明細と突き合わせられます。給料明細の読み方は未経験が初めてもらう職人の給料明細の見方に書いています。

都合の悪いことも書いておきます

  • 集合から現場への移動や、朝の積み込みが労働時間に入るかは、会社の指示の有無や実態で変わります。この記事の計算は「労働時間がはっきりしている分」の話です
  • 計算して合わなかったとき、いきなり「払っていない」と言うと話がこじれがちです。まず「1時間あたりをいくらで計算していますか」と聞くと、単価の違いか、時間の数え方の違いかが分かります
  • 自分の働き方で割増がいくらになるか、最終的な判断は労働基準監督署がします。迷ったら相談してください

まとめ

  • 先に1時間あたりの賃金を出す。日給は所定労働時間で、月給は月の所定労働時間で割る(施行規則19条1項)
  • 家族手当・通勤手当・住宅手当などは割る前の金額から外す(37条5項・施行規則21条)
  • 時間外は2割5分、法定休日は3割5分、深夜は2割5分、月60時間超は5割(37条・政令・施行規則20条)
  • 法定休日でない土曜の出勤は、週40時間を超えた時間外として2割5分
  • 請求できるのは3年。毎日の時刻を自分でも残しておく

自分の会社の残業代の計算で分かりにくかったところがあれば、職人になりたい人の掲示板に書いてください。同じところで迷っている人は多いはずです。

(出典:労働基準法32条・35条・37条・109条・115条・附則143条、労働基準法第三十七条第一項の時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令、労働基準法施行規則19条・20条・21条。いずれもe-Gov法令検索の現行条文、2026年9月28日時点)

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