未経験が雇用保険に入っているか確かめるとき|届けが出ているかは、本人がハローワークに聞けます
入社して2か月。給料明細の控除の欄に「雇用保険」の行はあるのに、会社からは保険の書類を1枚も渡されていません。先輩に聞くと「たぶん入ってるよ」。たぶん、で済ませていいのか。辞めることになったとき、入っていなかったと分かっても手遅れではないのか。
結論からお伝えすると、雇用保険に入っているかは、働く本人がハローワークに確かめられます。雇用保険法8条は、被保険者または被保険者だった人が「いつでも」、被保険者になったことの確認を請求できると定めています。会社が手続きをすれば、ハローワークから「資格取得確認通知書」が本人と会社に出されます(雇用保険法施行規則9条1項)。これが手元にないなら、確かめてよい理由があります。

会社の手続きには期限がある
人を雇って、その人が雇用保険の被保険者になったとき、会社は届け出なければなりません(雇用保険法7条)。期限は被保険者になった日の属する月の翌月10日までで、「雇用保険被保険者資格取得届」を事業所の所在地のハローワークに出します(施行規則6条1項)。届け出をしなかったり、偽りの届け出をしたりすると、事業主は6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金です(雇用保険法83条1号)。
ハローワークが確認すると、次の2つが出ます。
- 雇用保険被保険者資格取得確認通知書(施行規則9条1項)。本人への通知は会社を通じてしてよいことになっています
- 雇用保険被保険者証(施行規則10条1項)。こちらも会社を通じて渡してよいとされています
会社が保管したまま本人に渡していないことがあります。4月1日に入社したなら、5月10日までに届けが出て、その後に通知が出る流れです。夏になっても何も見ていないなら、まず会社に「通知書をもらえますか」と聞いてみてください。
自分で確かめるには、どうすればいいのか?
厚生労働省は、会社が届け出をしているかを働く人がハローワークに自分で照会できる仕組みを案内しています(「雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか!」)。照会の書式は「雇用保険被保険者資格取得届出確認照会票」で、本人確認の書類を添えて出します。電話では答えてもらえません。
照会で届けが出ていないと分かったら、次は8条の確認の請求です。請求は文書でも口頭でもでき、文書なら次のことを書いた請求書をハローワークに出します(施行規則8条1項・2項)。
- 自分の氏名・住所・生年月日
- 請求の趣旨
- 会社の名前と事業所の所在地
- 被保険者になった事実、その年月日と原因
- 請求の理由
証拠があれば添えるよう書かれています(同条2項)。雇用保険料が引かれている給料明細は、そのまま証拠になります。明細は捨てずに取っておいてください。明細の控除の見方は未経験が初めてもらう職人の給料明細の見方に書いています。

届けが遅れた分は、2年までしかさかのぼらない
ここが「たぶん入ってる」で済ませてはいけない理由です。基本手当の日数を決める算定基礎期間は、確認があった日の2年前の日より前にはさかのぼらないのが原則です(雇用保険法22条4項)。
ただし例外があります。会社が届け出をしていなかったこと、そして2年より前から雇用保険料が給料から引かれていたことが書類で明らかなことの両方に当たれば、引かれていたことが分かる一番古い時期までさかのぼります(同条5項)。ここでも給料明細が決め手になります。
2028年10月から、週10時間で入るようになる
いまの雇用保険は、1週間の所定労働時間が20時間未満の人には適用されません(雇用保険法6条1号)。この線が変わることが決まっています。e-Gov法令検索で令和8年9月28日時点の条文と、令和6年法律第26号(雇用保険法等の一部を改正する法律)による2028年10月1日施行の条文を並べると、6条1号の「二十時間未満」が「十時間未満」に変わります。
見習いとして週2〜3日の短い時間から入る人も、雇用保険の対象になりやすくなります。施行の日までは今の20時間の線のままなので、いつから自分が対象になるかは、そのときの契約の時間で確かめてください。
都合の悪いことも書いておきます
- 週20時間以上でも、31日以上雇われる見込みがない人などは対象外です(6条2号)。求人票の「雇用保険あり」は、自分の契約がその条件に当たっているかまでは教えてくれません。求人票の保険の欄の読み方は未経験が見る職人の求人にまとめています
- 会社に確かめたことで気まずくなるのが心配なら、照会票を出すのが先でもかまいません。照会は本人が直接ハローワークに出すものです
- 確認の結果や、さかのぼれる期間の判断はハローワークがします。この記事は条文の読み方までです
まとめ
- 会社は被保険者になった月の翌月10日までに資格取得届を出す(雇用保険法7条・施行規則6条1項)
- 確認されると資格取得確認通知書と被保険者証が出る。会社経由で渡してよい(施行規則9条・10条)
- 本人はいつでも確認を請求できる(8条)。給料明細が証拠になる
- さかのぼりは原則2年。保険料が引かれていた証拠があれば、それより前まで(22条4項・5項)
- 2028年10月1日から、適用の線は週20時間から週10時間に変わる(令和6年法律第26号)
雇用保険の通知書をいつもらったか、もらえなかったときにどうしたか。職人になりたい人の掲示板に書いてもらえると、これから入る人の目安になります。
(出典:雇用保険法6条・7条・8条・9条・22条・83条、雇用保険法施行規則6条・8条・9条・10条はe-Gov法令検索の現行条文。2028年10月1日施行の6条はe-Gov法令検索の未施行の条文(令和6年法律第26号)/厚生労働省「雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか!」。2026年9月28日時点)


