見習いが会社の寮に入るとき|外出や外泊を許可制にはできません

結論からお伝えすると、会社の寮に入っても、外出や外泊を会社の許可制にすることはできません。労働基準法94条は「使用者は、事業の附属寄宿舎に寄宿する労働者の私生活の自由を侵してはならない」と定めており、これは条文上の権利です。あわせて、寮長や室長といった自治の役員を会社が指名する形も同じ条文で禁じられています。

寄宿舎規則に記載する5つの事項をまとめた図解

寄宿舎には「規則を作って届け出る」義務が会社側にある

労働基準法95条は、会社の附属寄宿舎に労働者を住まわせるとき、起床・就寝・外出外泊・行事・食事・安全衛生・建物設備の管理という項目について寄宿舎規則を作り、労働基準監督署へ届け出るよう会社に義務づけています。しかも、規則に定める5項目のうち、起床・就寝・外出外泊、行事、食事、安全衛生の4項目は、寄宿する労働者の過半数を代表する者の同意がなければ作成も変更もできません。

  • 起床、就寝、外出及び外泊に関する事項
  • 行事に関する事項
  • 食事に関する事項
  • 安全及び衛生に関する事項
  • 建設物及び設備の管理に関する事項

規則が無いまま「門限は21時」「外泊は事前申告」とだけ口頭で言われている状態は、届出義務を果たしていない可能性があります。

外出や外泊を許可制にしてよいのか?

結論は「不可」です。労働基準法94条が禁じているのは、外出や外泊そのものに使用者の承認を要求する運用です。これは建設現場の仮設寄宿舎に適用される建設業附属寄宿舎規程(労働省令)の5条でも重ねて明文化されており、「外出又は外泊について使用者の承認を受けさせること」を私生活の自由を侵す行為の一例として名指ししています。門限の申し合わせ自体は寄宿舎規則としてありえますが、破ったら罰則や退去を課すような「許可制」の運用は条文の想定を超えます。

会社の社員寮と現場の仮設宿舎で根拠になる省令が違うことを比較した図解

現場近くの「仮設の寮」は一般の社員寮と扱いが少し違う

会社所有の社員寮と、工事現場のそばに一時的に建てる仮設宿舎は、根拠が二重になっている点に注意してください。建設業附属寄宿舎規程は、労働基準法の別表第一第三号の事業(土木、建築等の事業で完了の時期が予定されているもの)の附属寄宿舎だけに適用される、建設業向けの特別な省令です。一般の恒久的な社員寮より、換気・採光・防湿・避難といった設備基準が細かく定められています。

  • 寄宿舎規則の届出先は、事業場を管轄する労働基準監督署長
  • 他人所有の建物を寄宿舎にするときは、賃貸借契約の当事者・期間や、修繕の権限と費用負担者を書面で添付
  • 管理権限者は寄宿舎の出入口など見やすい場所に氏名を掲示
  • 管理権限者は1か月以内ごとに1回、寄宿舎を巡視する義務

「うちは仮設宿舎だから普通の寮とルールが違うのでは」と感じたら、その勘は正しい可能性があります。会社に規則の写しを見せてもらい、誰が管轄の労働基準監督署に届け出ているかを確認してみてください。集合場所や通勤の扱いとあわせて、住まいまわりの条件は入社前に確かめておくと安心です。詳しくは未経験の職人が確かめる集合場所と通勤でも扱っています。

設備の基準も条文で決まっている

労働基準法96条は、換気・採光・照明・保温・防湿・清潔・避難・定員の収容・就寝に必要な措置など、寄宿舎の設備について使用者に措置を義務づけています。措置の具体的な基準は同条2項により厚生労働省令に委ねられており、一般の寄宿舎には「事業附属寄宿舎規程」、建設現場の仮設宿舎には前述の「建設業附属寄宿舎規程」が、それぞれ別の省令として細かい数値基準を定めています。窓の無い部屋、暖房設備が壊れたままの部屋、消火設備が見当たらない部屋といった状態は、この基準に照らして問題がある可能性があります。

まとめ

寮の門限や外泊の扱いに疑問を感じたら、まず寄宿舎規則があるかを聞いてみましょう。無ければ届出義務が果たされていない可能性があり、労働基準監督署に相談できる話です。一般的な労務相談は、最寄りの労働基準監督署の総合労働相談コーナーが窓口になります。

同じ悩みを抱える人と話してみたい方は、これから職人になりたい人向けの掲示板もあわせてご覧ください。

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