見習いが掛け持ちでアルバイトをするとき|労働時間はすべての勤務先で通算されます

結論からお伝えすると、複数の勤務先を掛け持ちしている場合、労働時間はそれぞれの現場ごとにリセットされるわけではなく、労働基準法38条1項により通算して数えられます。「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」というのが条文の文言です。平日は職人見習い、休日だけ別のアルバイトという働き方をしている人は、この通算の考え方を知っておくと役立ちます。

労働時間の通算を5つのポイントでまとめた図解

通算すると何が変わるのか

労働基準法の労働時間の規定は、1日8時間・1週40時間が原則です(32条)。掛け持ちの労働時間を通算した結果、この上限を超える部分が生じると、法律上は時間外労働として扱われます。ここで重要なのは「あとから働き始めた側」が割増賃金を負う扱いになりやすいという点です。先に契約していた勤務先の所定労働時間を、あとで契約した勤務先が把握したうえで、通算後の時間外分を割増賃金として支払う、という整理が一般的な運用です。

  • それぞれの勤務先の所定労働時間を、自分でも把握しておく
  • 掛け持ち先には「他に勤務先があること」を伝えたほうが、通算のトラブルを避けやすい
  • 通算の結果、時間外になる部分の割増賃金は、原則としてあとから契約した勤務先が負う

会社に副業を届け出る義務はあるのか?

労働基準法そのものには「副業を届け出よ」という規定はありません。ただし、多くの会社は就業規則で副業・兼業について許可制や届出制を定めています。就業規則に定めがある場合、それに従わずに副業をすると、就業規則違反として扱われる可能性があります。一般的には、会社の業務に支障が出ない範囲かどうかが判断の分かれ目になりやすい領域なので、就業規則の内容を確認し、不明な点は会社に確認しておくことをおすすめします。

先に働いていた勤務先にも通算の影響はあるのか

通算の考え方では、あとから労働契約を結んだ勤務先が、通算後に法定時間を超える部分の割増賃金を負う扱いが一般的です。ただし、先に契約していた勤務先が、あとから掛け持ちの事実を知りながら労働時間を延長させた場合など、状況によっては先の勤務先の側の負担が問題になることもあります。どちらが負うかは契約の順序や双方の把握状況によって変わるため、実際に割増賃金の支払いをめぐって疑問が生じた場合は、労働基準監督署に事情を説明して確認するのが確実です。

見習いのうちに掛け持ちを考えるときの注意点

見習いの時期は体力的にも余力が少なく、掛け持ちが技能の習得や安全に影響することもあります。特に手元の作業や高所での作業がある現場では、疲労の蓄積は事故につながりやすい点に注意してください。残業代の計算そのものについては見習いが36協定を見せてもらうときの記事でも扱っています。

  • 掛け持ち先の労働時間も含めて、1週間の総労働時間を自分で計算してみる
  • 就業規則に副業・兼業の定めがあるか確認する
  • 疲労で安全確認がおろそかにならないよう、掛け持ちの頻度を見直す
雇用契約どうしの掛け持ちと、雇用と請負の掛け持ちで通算の扱いが違うことを比較した図解

個人事業(一人親方)としての仕事は通算されないのか

労働基準法38条1項が通算するのは「労働者」としての労働時間です。会社員として雇われながら、休日に個人事業主(一人親方)として自分の名前で仕事を請け負う場合は、その部分は雇用契約に基づく労働時間ではないため、条文上の通算の対象には含まれません。ただし、実態として会社の指揮命令のもとで働いているのに形式だけ請負にしている場合は、労働者性が争われることもあります。形だけの請負にしないことは、自分自身を守るためにも重要です。

まとめ

複数の勤務先を掛け持ちすると、労働時間は法律上通算されるというのが原則です。割増賃金の負担や就業規則の定めは会社によって扱いが異なるため、疑問があれば労働基準監督署や社会保険労務士に相談してください。

働き方の相談をしたい方は、これから職人になりたい人向けの掲示板もご活用ください。

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