見習いが防じんマスクを選ぶとき|検定合格の表示がないマスクは、使ってはいけない側です

ボードの切り口をサンダーで整えた日の帰り道。鼻をかむと、ティッシュが白く汚れていました。その日つけていたのは、コンビニで買った箱入りの不織布マスクです。先輩のマスクは形が違い、表に小さな印と「DS2」の文字が刷ってありました。

結論からお伝えすると、防じんマスクは「国家検定に通った型か」を最初に見ます。ろ過材と面体のある防じんマスクは、国の型式検定を受ける機械等に入っています(労働安全衛生法施行令14条の2第5号)。そして検定合格の表示が付いていないものは、使ってはならないと法律に書かれています(労働安全衛生法44条の2第7項)。形が似ているだけの使い捨てマスクは、防じんマスクの代わりになりません。

見習いが防じんマスクを選ぶときの5点(合格の表示を見る・DとRの違い・数字は捕集効率・屋内で金属を切る作業・つけるたびのシールチェック)

「防じんマスク」は法律で決まった名前

労働安全衛生法44条の2は、政令で定める機械等を作ったり輸入したりした者に、型の検定を受けさせています。その政令の一覧(施行令14条の2)に並ぶのは14種類で、プレス機械の安全装置や保護帽と同じ列に、「防じんマスク(ろ過材及び面体を有するものに限る。)」が入っています。

検定に通った型には、合格の表示が付きます(44条の2第5項)。通っていない物に、紛らわしい表示を付けることも禁じられています(同条第6項)。そして第7項が「表示が付されていないものは、使用してはならない」です。

厚生労働省の通達「防じんマスク、防毒マスク及び電動ファン付き呼吸用保護具の選択、使用等について」(令和5年5月25日 基発0525第3号)も、選ぶときの最初の項目に「型式検定合格標章により、型式検定合格品であることを確認すること」を置いています。

DS2、RS2の文字は何を表しているのか?

表に刷ってある記号は、国の「防じんマスクの規格」(昭和63年労働省告示第19号)で決まった区分です。

  • Dで始まるもの:使い捨て式。ろ過材と面体が一体で、汚れたら丸ごと捨てる
  • Rで始まるもの:取替え式。面体は使い続け、ろ過材(フィルター)を交換する
  • 2文字目のS:塩化ナトリウムの粒子で試験したもの。Lは油の粒子(フタル酸ジオクチル)で試験したもの
  • 最後の数字:粒子を捕まえる率。塩化ナトリウムの試験で、1が80.0%以上、2が95.0%以上、3が99.9%以上

数字が大きいほど粉じんをよく捕まえますが、そのぶん息を吸うのが重くなります。通達は、作業の強さに合わせて重さや吸気抵抗を選ぶよう求めています。油のミストが混ざる場所では、Lの付いた区分を選ぶことも書かれています。

内装の現場で、マスクが法律で決まっている作業はあるのか

粉じん障害防止規則27条1項は、別表第三に並ぶ作業に就かせるとき、事業者に有効な呼吸用保護具を使わせることを求めています。5項では、使うよう命じられた労働者の側にも使う義務があります。

別表第三には、内装の見習いが出会いやすい作業も入っています。たとえば屋内で、手持ちの動力工具(研磨材を使うもの)で金属を研磨したり、ばり取りしたり、切ったりする作業です(別表第三第6号)。軽天の下地やアングルをディスクグラインダーで切る作業は、ここに当たるかどうかを現場で確かめる対象になります。

一方で、ボードの切断やパテの研磨がそのまま別表に名指しされているわけではありません。法律で決まっていない作業でも、粉が舞うならマスクは要ります。先の通達も、法令で義務のない作業を含めて、ばく露の程度を考えて選ぶよう書いています。

見習いのうちに受けるはずの安全教育の中身は見習いが先に覚える安全のルールにまとめています。保護具の性能と扱い方は、その教育の項目の1つです。

つけ方で、性能の半分が決まる

どんなに良いマスクでも、顔との間にすき間があれば、粉はそこから入ります。通達は、次のつけ方をしないよう名指ししています。

  1. 面体と顔の間にタオル等を挟む
  2. ひげ・もみあげ・前髪が、面体と顔の間に入り込んでいる
  3. ヘルメットの上からしめひもを掛ける

しめひもは耳に掛けず、後頭部で固定するよう書かれています。つけたら毎回、吸気口を手でふさいでゆっくり息を吸い、面体が顔に吸いつくかを確かめます(陰圧法のシールチェック)。すき間から空気が入るなら、つけ直しです。

使い捨て式は、表示された使用限度時間の前でも、息苦しくなったり形が崩れたりしたら捨てて新しいものに替えます。これも通達に書かれている扱いです。

防じんマスクのつけ方でしないことと、すること(タオルを挟まない・ひげや前髪を入れない・ヘルメットの上からひもを掛けない/ひもは後頭部・毎回シールチェック・息苦しければ交換)

都合の悪いことも書いておきます

  • 検定品でも、つけっぱなしで一日動くと息苦しく、夏場はとくにきついです。重さと吸気抵抗は型ごとに違うので、何種類か試して顔に合うものを探すことになります
  • 自分の作業が別表第三に当たるかどうかは、材料と工具と場所の組み合わせで変わります。迷ったら元請けの安全担当か、労働基準監督署に確かめてください
  • マスクを会社が用意するのか、自分で買うのかは、会社ごとに決まっています。未経験が最初に持つ道具袋の中身に、自分持ちになる物の確かめ方を書いています

まとめ

  • ろ過材と面体のある防じんマスクは国の型式検定の対象(施行令14条の2第5号)。合格の表示がないものは使ってはならない(労働安全衛生法44条の2第7項)
  • DSは使い捨て式、RSは取替え式。数字は捕まえる率で、1が80.0%、2が95.0%、3が99.9%以上(防じんマスクの規格)
  • 屋内で手持ちの研磨材工具で金属を切る作業などは、粉じん障害防止規則27条で呼吸用保護具が必要
  • タオルを挟まない・ひげを入れない・ヘルメットの上からひもを掛けない。つけるたびにシールチェック

現場で使っている型や、息苦しくならない工夫があれば、職人になりたい人の掲示板で教えてください。これから入る人の参考になります。

(出典:労働安全衛生法44条の2、同法施行令14条の2、粉じん障害防止規則27条・別表第三はe-Gov法令検索の現行条文/厚生労働省「防じんマスクの規格」昭和63年労働省告示第19号/厚生労働省労働基準局長通達「防じんマスク、防毒マスク及び電動ファン付き呼吸用保護具の選択、使用等について」令和5年5月25日 基発0525第3号。2026年9月28日時点)

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