見習いが大きな音の現場で耳を守るとき|手持ちの動力工具は、国の指針では耳栓を使う側です

結論からお伝えすると、見習いが大きな音の現場で耳を守るときは、耳栓を「自分で用意するもの」ではなく「会社が人数分そろえて備えるもの」と考えてください(労働安全衛生規則595条1項・596条)。さらに国の「騒音障害防止のためのガイドライン」(令和5年4月20日改訂)は、インパクトレンチや丸のこ、ブレーカのような手持ちの動力工具を使う業務では、音が85デシベル未満で続いている場所を除き、耳栓などの聴覚保護具を使わせることとしています。

解体の初日。はつりのブレーカが鳴り始めると、隣の先輩の声が口の動きでしかわからなくなった。耳栓は誰も着けていない。帰りの車の中で、耳の奥がしばらくキーンと鳴っている。若いうちは翌朝には戻るので、そのまま慣れてしまいます。騒音による難聴は、少しずつ進んで戻らないのが特徴です。この記事では、省令とガイドラインの原文から、見習いが知っておくことを整理します。

騒音の現場で耳を守る決まりの図解

耳栓は誰が用意するのか

省令の決まりは3つの条文に分かれています。

  1. 備える:強烈な騒音を発する場所の業務では、会社は耳栓その他の保護具を備えなければならない(595条1項)
  2. 数と清潔さ:同時に働く人数と同じ数以上を備え、いつでも使える状態で清潔に保つ(596条)
  3. 使う:会社から使うよう命じられた労働者は、使わなければならない(597条)

595条3項は、使うよう命じたときは、そのことを作業中の人が分かるよう見やすい場所に掲示することも求めています。2項では、一人親方など請負人に仕事を頼むときも、保護具を使えるようにしておく必要があると周知させることになっています。

どの工具が「騒音作業」に入るのか?

ガイドラインの別表第2には、対象の作業が52並んでいます。内装や設備の現場に近いものを抜き出すと、次のとおりです。

  • インパクトレンチ、ナットランナー、電動ドライバー等を用い、ボルト、ナット等の締め付け、取り外しの業務(1)
  • 携帯用研削盤、ベルトグラインダー、チッピングハンマー等で金属の表面を研削・研磨する業務(3)
  • バイブレーター、さく岩機、ブレーカ等手持動力工具を取り扱う業務(47)
  • 丸のこ盤、帯のこ盤等木材加工用機械を用いて木材を切断する業務(50)

屋内でも屋外でも対象です。そして手持ちの動力工具については、測った音が継続して85デシベル未満の場所である場合を除き、聴覚保護具を使わせることとされています。「うるさいと感じたら着ける」ではなく、着けるのが原則の側です。

音の大きさと1日に浴びてよい時間の目安の図解

どのくらいの音なら、何時間まで大丈夫なのか

ガイドラインは、日本産業衛生学会の許容基準の一部を引いて、1日に音を浴びてよい時間の目安を示しています。85デシベルで8時間、88デシベルで4時間、91デシベルで2時間、94デシベルで1時間、100デシベルでは15分です。音が3デシベル上がるごとに、許される時間がおよそ半分になっていきます。

ただし、耳栓は遮音が強ければよいわけでもありません。ガイドラインは、安全のために周りの音や会話を聞く必要がある作業では、遮音値が必要以上に大きいものを選ばないよう配慮することとしています。重機の合図や声かけが聞こえないのは別の危険です。

耳の検査は受けられるのか

ガイドラインは、騒音作業に常時従事する人に、雇い入れや配置替えの際と、6月以内ごとに1回の健康診断を行うこととしています。雇い入れの際は、250ヘルツから8,000ヘルツまでの7つの音で聴力を測ります。定期の検査は1,000ヘルツと4,000ヘルツの選別検査です。

入社時の健康診断の全体は見習いが入社時に受ける健康診断に、粉じんから身を守る道具は見習いが防じんマスクを選ぶときにまとめています。

まとめ

耳栓は会社が人数分を備え、清潔に保つものです。手持ちの動力工具を使う作業は、国のガイドラインでは聴覚保護具を使う側に入っています。85デシベルで8時間、3デシベル上がるごとに時間は半分。耳鳴りが残る日が続くなら、我慢せず検査を申し出てください。条文は2026年10月9日にe-Gov法令検索で、ガイドラインは厚生労働省の公表資料で確認しました。個別の現場の判断は、労働基準監督署や産業医にご確認ください。

(出典:労働安全衛生規則595〜597条/厚生労働省「騒音障害防止のためのガイドライン」令和5年4月20日 基発0420第2号 本文・別表・別紙)

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