一人親方が元請けの監督処分を調べる|処分簿は「閲覧に供しなければならない」と条文にあります

紹介で回ってきた元請けから、いい話が来ます。継続で入れる、単価も悪くない、来月から。名刺には許可番号が入っています。ここで一つだけ、相手の名前を打ち込んで確かめられることがあります。その会社が、過去に行政から処分を受けていないかどうかです。

結論からお伝えすると、建設業者が受けた監督処分は、法律で公告することと、名簿を公衆の閲覧に供することが義務づけられています。建設業法29条の5です。つまり、誰でも、無料で、相手に断りなく調べられます。調べ方は二つあり、どちらも国土交通省のサイトから入れます。

監督処分には三段階ある

建設業法が用意している処分は、重さの順に三つです(出典:e-Gov法令検索「建設業法」)。

  • 指示処分(28条1項) … 「必要な指示をすることができる」。いちばん軽い
  • 営業停止(28条3項) … 1年以内の期間を定めて、営業の全部または一部を止める
  • 許可の取消し(29条1項) … 条文が「取り消さなければならない」と書いている。行政に裁量がない

28条1項が並べている理由には、実務で起きうるものが入っています。施工が適切でなく公衆に危害を及ぼしたとき、請負契約に関し不誠実な行為をしたとき、そして許可を受けていない業者と下請契約を結んだとき(6号)。最後のひとつは、元請けの側の話でありながら、一人親方の受け方にも関わってきます。

29条1項8号には、もうひとつ覚えておく形があります。28条1項の理由に当たり「情状特に重い場合」、または営業停止の処分に違反した場合は、取消しになります。止められている間に仕事を受けると、指示や停止では済まなくなるということです。

監督処分の3段階を示した図。指示処分、1年以内の営業停止、許可の取消しの順に重くなる。処分は公告され処分簿に登載され、処分簿は公衆の閲覧に供しなければならないと条文に書かれている。

処分簿は「閲覧に供しなければならない」と書いてある

29条の5は四つの項からできています。1項で処分をしたら公告しなければならない。2項で国土交通省と都道府県に建設業者監督処分簿を備える。3項で処分の年月日と内容を登載する。そして4項が、

「国土交通大臣又は都道府県知事は、建設業者監督処分簿を公衆の閲覧に供しなければならない。」

です。「できる」ではなく「しなければならない」。調べることは相手に対して失礼な行為ではなく、法律が前提にしている手続きです。

実際にどこで調べるのか?

入口は二つあります。目的が違うので、両方見ておくと取りこぼしが減ります。

  1. ネガティブ情報等検索サイト(www.mlit.go.jp/nega-inf/) … 処分そのものを探すところ。トップで「建設工事(公共事業を含む)」を選び、「建設業者」に入ります。測量業者や建設コンサルタントも同じ画面から辿れます。国土交通省発注工事の指名停止措置情報も、ここに別枠で並んでいます
  2. 建設業者・宅建業者等企業情報検索システム(etsuran2.mlit.go.jp) … 許可の内容そのものを見るところ。許可番号、業種、営業所、役員などが出ます。サイトの案内によれば建設業者は月2回の頻度で情報を更新しています

会社名が分からず許可番号だけ分かっている、という場面もあります。その場合は後者から引いて社名を確かめ、その社名で前者を検索する順番になります。

処分が出ていたら、受けてはいけないのか

そうとは限りません。ここは正直に書きます。指示処分は、書類の不備や体制の届出漏れでも出ます。10年前に一度受けて、そのあと何もない会社は珍しくありません。処分歴が出た瞬間に切る、という使い方をすると、選べる相手がかなり減ります。

見るべきなのは、次の三つです。

  • いつか … 直近3年以内かどうかで意味が変わる
  • 何で受けたか … 書類の不備と、下請代金の不払いや施工不良では、こちらに来るリスクが違う
  • 繰り返していないか … 同じ理由が二度並んでいるかどうか

いちばん気をつけたいのは、営業停止の期間中に声がかかる形です。止められている範囲の工事を回されると、相手は28条の違反を重ね、こちらは工事が途中で止まる側に立ちます。停止の期間と範囲は公告に書かれているので、日付を見てください。

支払いの不安は、別の書類から読む

処分歴が無くても、払いが遅い会社はあります。処分は行政が動いた記録なので、資金繰りの兆候はここには出ません。そちらは各都道府県の閲覧所で、決算の届出や工事経歴から読む形になります。手順は一人親方が支払いの遅れる元請けを契約前に見抜くにまとめています。

組む前に確認しておくこと全体は一人親方がはじめての元請けと組む前に確認する5つが近い話です。発注する側が元請けを外すときに何を引き受けることになるのかは、職人に直接頼むとオーナー側に来る3つの役目を読むと、相手側の事情が見えてきます。

元請けを調べる2つの検索サイトと、処分が出たときの読み方3点をまとめた図。いつ受けたか、何で受けたか、営業停止の期間中ではないかを見る。

都合の悪いことも書いておきます

検索サイトに載るのは、処分が出て、公告されたあとです。今まさに調査が入っている段階では何も出ません。「調べて白だったから安全」とは言えません。

また、掲載には期間があります。古い処分は落ちていくので、出てこないことは「一度も受けていない」ことの証明にはなりません。掲載の内容や期間について正確なところは、許可を出した行政庁に問い合わせてください。検索システムの案内にも、個別の掲載情報は許可等行政庁に問い合わせるよう書かれています。

まとめ|組む前にやる3つ

  • 相手の社名でネガティブ情報等検索サイトを引く(無料・登録不要)
  • 許可の内容を企業情報検索システムで確かめる(建設業者は月2回更新)
  • 処分が出たら「いつ・何で・繰り返しか」の三つで読む。営業停止の期間中の話だけは受けない

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