一人親方が相手に内容証明を送るとき|止められる時効は6か月だけで、2回目の催告では延びません

結論からお伝えすると、一人親方が支払いの止まった相手に内容証明を送ると、請求の時効の完成を6か月だけ止められます(民法150条1項)。ただし、止まっている間にもう一度送っても延びません(同条2項)。そして内容証明が証明するのは「どんな文書を送ったか」で、「相手に届いたこと」は配達証明を付けないと残りません(郵便法47条・48条)。

最後の現場を納めてから4年と9か月。請求書は3回送り、電話は途中から出なくなった。請負代金の時効は、権利を使えると知った時から5年です(民法166条1項1号)。手元のカレンダーで数えると、残りは3か月しかない。こういうときに出てくるのが内容証明です。この記事では、民法と郵便法の原文を開いて、送る前に知っておくことを整理します。

内容証明で残るものの図解

内容証明で、何が証明されるのか

郵便法48条1項は、内容証明について「当該郵便物の内容である文書の内容を証明する」と書いています。証明するのは日本郵便で、郵便認証司が、文書と控え(謄本)の内容が同じであることを確かめ、差し出した年月日を記載します(同法58条1号)。

一方、届いたことの証明は別の扱いです。47条は配達証明を「当該郵便物を配達し、又は交付した事実を証明する」ものとしています。内容証明だけでは、相手が受け取ったかどうかは残りません。時効や期限の話で送るなら、配達証明を一緒に付けるのが基本です。なお、内容証明と配達証明は書留とする郵便物にしか付けられません(44条3項)。

日本郵便の案内によると、加算料金は内容証明が480円(2枚目以降は1枚290円増)、一般書留が480円、配達証明が差し出すときに付けて350円で、いずれも基本料金に加算されます。差出人と郵便局が1通ずつ持つ謄本は、差し出した日から5年以内なら郵便局で閲覧を請求できます。

内容証明を送れば、時効は止まるのか?

止まりますが、6か月だけです。民法150条1項は「催告があったときは、その時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない」と定めています。内容証明での請求は、この催告にあたります。いつ催告したかを後で争われないために、日付と中身が残る内容証明が使われます。

大事なのは2項です。「催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、前項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない」。毎月内容証明を送り続けても、最初の6か月から先には延びません。その6か月の間に、裁判上の請求や支払督促など、147条に並ぶ手続きに進む必要があります。

相手が受け取らなかったら、どうなるのか

意思表示は、相手に到達した時から効力を生じます(民法97条1項)。そのうえで2項は、相手が正当な理由なく到達を妨げたときは、通常到達すべきであった時に到達したものとみなす、としています。わざと受け取らない相手に対しては、この条文が働く余地があります。ただし、受け取らなかった事情が「正当な理由なく」にあたるかどうかは個別の判断になるので、時効が迫っているなら早めに弁護士や司法書士に相談してください。

時効が近いときの動き方の図解

時効を止める、ほかの方法はあるのか

2つあります。1つは相手に支払いを認めてもらうことです。権利の承認があると、時効はその時から新たに進み始めます(民法152条1項)。一部でも入金があった、「来月払う」と書面やメールで返事があった、というのは承認の材料になります。もう1つは、協議を行う旨の合意を書面ですることで、合意から1年間などは時効が完成しません(151条1項)。

支払いが遅い元請けに動く順番は一人親方が支払いの遅い元請けに動く順番に、契約前に見抜く方法は一人親方が支払いの遅れる元請けを契約前に見抜くにまとめています。

まとめ

内容証明は、送った文書の中身と日付を証明する仕組みで、届いた事実は配達証明で残します。請求として送れば時効の完成は6か月止まりますが、2回目の催告では延びません。その6か月で次の手続きに進むか、相手の承認や書面の協議の合意を取ってください。条文は2026年10月9日にe-Gov法令検索で、料金は同日に日本郵便の案内で確認しました。個別の判断は、弁護士・司法書士、または各地の法テラスにご確認ください。

(出典:民法97・147・150〜152・166条/郵便法44・47・48・58条。いずれもe-Gov法令検索の現行条文/日本郵便株式会社「内容証明」「配達証明」「書留」の各案内ページ)

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