見習いが入院して高額な医療費を払うとき|1か月の上限は標準報酬月額で決まり、28万円未満なら6万1,500円です
結論からお伝えすると、会社の健康保険に入っている見習いが入院して医療費が膨らんでも、1か月に窓口で払う額には上限があります。上限を超えた分は高額療養費として戻ります(健康保険法115条1項)。上限は標準報酬月額で決まり、2026年8月から、標準報酬月額が28万円未満なら6万1,500円、28万円以上53万円未満なら8万5,800円に1%の加算です(健康保険法施行令42条1項)。
上限は法律ではなく、政令で決まっている
115条1項は、一部負担金等の額が著しく高額なときに高額療養費を支給すると定め、2項で、支給の要件や額は政令で定めるとしています。その政令が、健康保険法施行令の41条と42条です。70歳未満の人の窓口負担は3割です(健康保険法74条1項1号)。
42条1項の上限(70歳未満の被保険者本人)は、標準報酬月額で次のように分かれています。
- 83万円以上:27万300円に、医療費が90万1,000円を超えた分の1%
- 53万円以上83万円未満:17万9,100円に、医療費が59万7,000円を超えた分の1%
- 28万円以上53万円未満:8万5,800円に、医療費が28万6,000円を超えた分の1%
- 28万円未満:6万1,500円
これは市町村民税の非課税の人を除いた区分です。この額は2026年8月1日に変わりました。2026年7月までは、たとえば28万円以上53万円未満の区分が8万100円で、28万円未満の区分が5万7,600円でした。e-Govには、2027年8月1日に施行される改正も載っているので、使うときは、その時点の条文で確かめてください。

入院1か月の例で、いくら戻るのか
医療費の総額が100万円の1か月入院で、見習いの標準報酬月額が24万円(28万円未満の区分)の場合を考えます。
- 窓口の3割負担:100万円×0.3=30万円
- 上限:6万1,500円
- 戻る額:30万円−6万1,500円=23万8,500円
標準報酬月額が34万円(28万円以上53万円未満の区分)なら、上限は8万5,800円+(100万円−28万6,000円)×1%=9万2,940円です。入院中の食事代は、115条1項が「食事療養及び生活療養を除く」と括弧書きで外しているので、上限の計算には入らず、別に払います。
窓口で払う額そのものを、はじめから抑えられるのか?
入院や手術が前もって分かっているなら、協会けんぽの案内では、マイナ保険証を使うか、限度額適用認定証を医療機関に出すと、窓口の支払いがはじめから上限までで済みます。出さなかった場合は、いったん3割を払い、あとから申請して戻してもらう形です。
戻してもらうのを待つ間、大きな額を立て替えられない人は、先に準備しておくと安心です。給料が出ない日が続くなら、傷病手当金(健康保険法99条)が出るかも、合わせて確かめてください。

4か月目からは、さらに下がる
直近12か月のうちに、高額療養費が支給された月が3月以上あると、4か月目からの上限が下がります。上の4区分では、28万円未満と28万円以上53万円未満が4万4,400円、53万円以上83万円未満が9万3,000円、83万円以上が14万100円です。長く治療する人には、この「多数回」の扱いが効きます。
いつまで請求できるのか?
保険給付を受ける権利は、行使できる時から2年で時効になります(健康保険法193条1項)。領収書は捨てずに、申請できる期限を確かめてください。
国民健康保険の人は、窓口が違う
社会保険に入っていない見習いは、国民健康保険の窓口に、同じ名前の高額療養費の制度があります。ただし上限の額は、この記事の健康保険の区分とは別の、国民健康保険の側の決まりによるため、加入先の市町村に確かめてください。
まとめ
入院で数十万円の請求が来ても、1か月の上限があります。2026年8月から、標準報酬月額28万円未満なら6万1,500円です。マイナ保険証か限度額適用認定証を使えば、立て替えも減らせます。条文は2026年10月6日にe-Gov法令検索で確認し、協会けんぽの案内も見ています。個別のケースは、協会けんぽの支部や社会保険労務士にご確認ください。
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