一人親方が応援を呼ぶ日の段取り|駐車場所を当日に探すと、切符を切られるのは来た人です

朝8時、現場の前で応援の職人から電話が鳴ります。「着いたんですけど、車どこ置きます?」。向かいのコインパーキングは満車、前面道路は片側一車線で、黄色い線が引かれています。ここから15分が消えます。そして、もしそのまま路上に置いて切符を切られたら、払うのは来てくれた人です。

結論からお伝えすると、応援を呼ぶ側が前日までに決めておくのは、材料・鍵・駐車場所の三つです。このうち駐車場所だけは、当日に現場で決めようとすると間に合いません。道路に停める必要があるなら許可が要り、許可は警察署で取るものだからです。

応援を呼ぶ前に決めておく5つを並べた図。駐車場所、集合時刻と場所、材料と消耗品、鍵の渡し方と返し方、終わりの目安と単価の前提。

駐車場所は「当日に探すもの」ではない

道路交通法45条1項は駐車を禁止する場所を並べていますが、そのただし書きにこう書いてあります。

「ただし、公安委員会の定めるところにより警察署長の許可を受けたときは、この限りでない。」(出典:e-Gov法令検索「道路交通法」)

つまり、駐車禁止の場所でも警察署長の許可を取れば置けます。これが駐車許可の制度です。申請先はその場所を管轄する警察署で、当日いきなり窓口に行って出るものではありません。数日みておく必要があります。必要な日数や書式は署によって運用が違うので、初めての地域なら管轄の警察署に電話で聞くのが確実です。

道路を使って作業するなら、許可の名宛人は「請負人」

もうひとつ、混同しやすい許可があります。道路使用許可です。道路交通法77条1項1号は、許可を受けなければならない者をこう書いています。

「道路において工事若しくは作業をしようとする者又は当該工事若しくは作業の請負人」

ここに「請負人」が名指しで入っているのが要点です。荷を下ろすために道路の一部を占める、材料を道路側から搬入する、といった場面で、この許可の対象になることがあります。元請けが取っているだろう、と思って動くと、取っていないことがあります。呼ぶ側が「道路使用は誰が取っているか」を一度声に出して確かめてください。

なお77条2項は、交通の妨害となるおそれがないと認められるときなどは「所轄警察署長は、許可をしなければならない」と定めています。出してもらえるかどうかを心配するより、出す時間を確保するほうが実務的です。

材料は「置いてある」ではなく「使える」まで確かめる

材料の段取りでいちばん多い齟齬は、数量ではなく状態です。届いてはいるが、開梱されていない。糊はあるが、練るバケツがない。クロスはあるが、ロットが二つに分かれている。応援は自分の道具で来ますが、消耗品と材料は呼んだ側の責任範囲です。

前日に確かめる項目を並べます。

  • 材料が現地にあるか、何時に届くか(届く場合、受け取るのは誰か)
  • ロットが揃っているか。分かれているなら、どの部屋にどちらを使うか
  • 糊、パテ、ローラー、カッター刃などの消耗品を、どちらが持つか
  • 電気と水が使えるか。ブレーカーが上がっているか
  • ゴミの持ち帰りか、現場に出せるか

最後のゴミは、後から揉めやすいところです。持ち帰りなら、その分の車のスペースと時間を先に伝えてください。言われずに満載で来た人は、積めません。

鍵は、誰がどうやって返すことになっているか?

鍵は渡す段取りは決まっていても、返す段取りが抜けがちです。応援が先に終わって帰るとき、鍵をどうするのか。ポストに入れるのか、キーボックスに戻すのか、こちらが受け取りに行くのか。

キーボックスを使うなら、暗証番号を当日の朝ではなく前日に伝えます。朝の電話は、こちらも相手も手が離せない時間帯に鳴ります。そして、番号を変えたのに伝え忘れる、という形が実際によく起きます。

呼ぶ前に決めておく5つ

  1. 駐車場所 … 敷地内か、契約した駐車場か、許可を取るか。取るなら日数を逆算する
  2. 集合時刻と場所 … 「現場で8時」ではなく、どの入口かまで
  3. 材料と消耗品 … どちらが何を持つか
  4. 鍵 … 渡し方と返し方、番号は前日に
  5. 終わりの目安と単価の前提 … 何時まで、どこまでで一日とするか

単価と伝え方の組み立ては応援を頼むときの伝え方と単価の決め方に分けて書いています。逆に、呼ばれて入る側が現場で何を求められるのかは一人親方が応援に入る日のマナーを読むと、こちらが何を先に伝えるべきかが見えてきます。

建物の敷地の駐車スペースを借りられるかどうかは、持ち主側の事情にもよります。無断で停められた側がどう動くことになるかはアパートの駐車場に無断駐車があったときに書かれていて、断りなく空きスペースに入れることの意味が分かります。

道路に関わる2つの許可を対比した図。駐車許可は道路交通法45条1項ただし書で警察署長の許可。道路使用許可は77条1項1号で、名宛人に請負人が含まれる。

都合の悪いことも書いておきます

ここまで段取りしても、当日の交通事情までは読めません。前の現場のトラックが道を塞ぐ、荷下ろしが重なる、といったことは起きます。段取りの目的は事故をゼロにすることではなく、詰まったときに誰が判断するかを先に決めておくことです。「困ったら現場で決めてください」と言われた応援は、判断できずに立ち尽くします。

また、駐車許可も道路使用許可も、取れば安心というものではありません。許可には条件が付くことがあり、77条3項はそれを認めています。条件に違反すると、5項で許可そのものを取り消されることもあります。紙をもらったら、条件の欄まで読んでください。

まとめ

  • 駐車場所は前日までに決める。道路に停めるなら警察署長の許可が要る(道交法45条1項ただし書)
  • 道路で作業する許可は「請負人」も名宛人(同77条1項1号)。元請けが取っている前提で動かない
  • 材料は数量ではなく状態まで確かめる。消耗品とゴミの扱いを先に決める
  • 鍵は返し方まで。暗証番号は前日に伝える

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