見習いが低圧の電気を扱う前に受ける教育|特別教育は学科7時間・実技7時間で、電気工事士の免状とは別物です
結論からお伝えすると、見習いが低圧の電気を扱う前に受けるのは「低圧電気取扱業務の特別教育」で、学科が5科目で合計7時間以上、実技が7時間以上と国の告示で決まっています(開閉器の操作だけなら実技は1時間以上)。ただし、この教育を受けても電気工事士の免状の代わりにはなりません。2つは根拠の法律が別です。
入社して2週目、先輩がブレーカーを落として分電盤のカバーを外した。「この線、そっちの端子に付けといて」と工具を渡される。会社からは「特別教育は来月まとめて行かせる」と聞いている。今やっていいのか、来月まで待つのか。この記事では、省令と告示、電気工事士法の原文を開いて、線を引く場所を整理します。

どこからが「低圧」なのか
労働安全衛生規則36条4号は、低圧を「直流にあつては七百五十ボルト以下、交流にあつては六百ボルト以下である電圧」と定めています。住宅や店舗のコンセント、照明、エアコンの回路はほぼこの範囲に入ります。
特別教育が必要な業務として同じ号に並んでいるのは、低圧の充電電路の敷設や修理の業務と、配電盤室や変電室など区画された場所にある、充電部分が露出した開閉器の操作の業務です。対地電圧が50ボルト以下のものや、電話用など感電のおそれがないものは外れています。
特別教育は何時間で、何を習うのか
中身は「安全衛生特別教育規程」(昭和47年労働省告示第92号)の6条に表で書かれています。学科は次の5科目です。
- 低圧の電気に関する基礎知識(危険性、短絡、漏電、接地、電気絶縁):1時間
- 低圧の電気設備に関する基礎知識(配電設備、配線、保守及び点検など):2時間
- 低圧用の安全作業用具に関する基礎知識(絶縁用保護具、検電器など):1時間
- 低圧の活線作業及び活線近接作業の方法(充電電路の防護、救急処置など):2時間
- 関係法令:1時間
実技は、活線作業と活線近接作業の方法について7時間以上です。開閉器の操作だけを行う人は1時間以上になります。会社は、受講者と科目の記録を作って3年間残さなければなりません(安衛則38条)。
受けさせずに業務に就かせると、会社の側に罰則があります。特別教育を定めた労働安全衛生法59条3項の違反は、119条1号で6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。特別教育の受け方の全体は見習い職人の特別教育の受け方と費用にまとめています。

特別教育を受ければ、配線の作業をしていいのか?
ここがいちばん取り違えやすいところです。特別教育は労働安全衛生法の話で、会社が安全のために行う教育です。一方、住宅などの電気工事の作業そのものは、電気工事士法3条2項で「第一種電気工事士又は第二種電気工事士でなければ」従事してはならないとされています。違反は同法14条で3月以下の拘禁刑または3万円以下の罰金です。
つまり、特別教育を受けた見習いでも、免状がなければ、電線どうしをつなぐ、配線器具に電線をつなぐといった作業を自分の手で行うことはできません。電気工事士法施行規則2条2項は、免状がなくてもできる軽い作業を定めていて、その2号に「電気工事士が従事する前号イ及びロに掲げる作業を補助する作業」が入っています。見習いの仕事は、電気工事士の横で行う補助、という位置づけです。
停電にしてあれば安全なのか
停電作業にも決まりがあります。安衛則339条1項は、電路を開路して作業するとき、開路に使った開閉器に施錠するか、通電禁止の表示をするか、監視人を置くことを求めています。「ブレーカーを落としたから大丈夫」ではなく、誰かが戻さない仕組みまでがセットです。分電盤の前に札が下がっているか、自分の目で見てください。
電気の止まった空室での作業の段取りは職人が電気の止まった空室で作業するときにまとめています。
まとめ
低圧は交流600ボルト以下・直流750ボルト以下で、その充電電路を扱うには特別教育が要ります。学科5科目で7時間以上、実技7時間以上(開閉器の操作だけなら1時間以上)。ただし、特別教育は電気工事士の免状の代わりにはならず、免状がない見習いにできるのは補助の作業です。停電作業は施錠か表示か監視人まで確かめる。条文は2026年10月9日にe-Gov法令検索で、告示は厚生労働省の公表資料で確認しました。個別の作業が補助にあたるかどうかは、会社の電気工事士や都道府県の窓口にご確認ください。
(出典:労働安全衛生規則36条4号・38条・339条/労働安全衛生法59条3項・119条1号/安全衛生特別教育規程6条(厚生労働省 資料「安全衛生特別教育規程」より)/電気工事士法3条・14条/電気工事士法施行規則2条2項)
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