見習いがマンホールやピットに入る前に|酸欠の場所は政令に並んでいて、入る前に測るのは会社の義務です

結論からお伝えすると、見習いがマンホールやピットに入る前に確かめるのは「その場所が酸欠の場所として政令に載っているか」と「今日、入る前に酸素を測ったか」の2つです。酸欠とは空気中の酸素が18パーセント未満の状態のことで(酸素欠乏症等防止規則2条1号)、載っている場所では、その日の作業を始める前に濃度を測ることが会社の義務になっています(同規則3条1項)。

朝、ケーブルを通すために歩道のハンドホールのふたを開けた。中は乾いていて、においもしない。先輩が「ちょっと見てきて」と言う。はしごを掛ければ10秒で下りられる深さです。酸欠は、においも色もないまま起きます。この記事では、規則と政令の原文を開いて、下りる前に何を確かめればいいかを順番に整理します。

マンホールやピットに入る前に見る5つの図解

どこが「酸欠の場所」なのか

酸欠の場所は、労働安全衛生法施行令の別表第6に、号ごとに並んでいます。1号から12号まで(3号の2・3号の3を含めて14項目)あり、建設や設備の現場で見かけやすいのは次のあたりです。

  • 3号:ケーブル、ガス管その他地下に敷設される物を収容するための暗きょ、マンホール又はピットの内部
  • 3号の2:雨水や湧き水がたまっている、またはたまったことのある槽、暗きょ、マンホール、ピットの内部
  • 6号:乾性油を含むペイントで塗装し、乾く前に密閉された地下室、倉庫、タンクなど通風が不十分な施設の内部
  • 9号:し尿、汚水など腐敗しやすい物を入れてある、または入れたことのある槽、管、マンホール、ピットの内部
  • 11号:窒素、フロン、炭酸ガスなど不活性の気体を入れてある、または入れたことのあるタンクなどの内部

3号は「ケーブルを収める」ための暗きょやマンホールそのものが対象で、水がたまっているかどうかを問いません。電気や通信の配線で入るピットは、乾いていても載っている側です。6号は塗装の仕事に関わります。塗った直後に閉め切った地下の部屋は、塗料が酸素を吸う場所として扱われています。

入る前に、会社は何をしなければならないのか

酸素欠乏症等防止規則は、載っている場所での作業について、会社がやることを1つずつ書いています。

  1. 測る:その日の作業を始める前に酸素の濃度を測り、日時・方法・箇所・結果などを記録して3年間残す(3条)
  2. 換気する:酸素の濃度を18パーセント以上に保つように換気する。換気に純酸素を使ってはならない(5条1項・3項)
  3. 人数を数える:入るときと出るときに人員を点検する(8条)
  4. 見張りを置く:常に作業の状況を見て、異常があればすぐ知らせる人を置く(13条)
  5. 作業主任者を選ぶ:技能講習を修了した人から酸素欠乏危険作業主任者を選ぶ(11条)

換気に純酸素を使うのが禁止されているのは、意外に思うかもしれません。酸素が多すぎる空気は燃えやすくなるからです。換気は送風機で外の空気を送るのが基本です。

見習いが受ける教育は何か

載っている場所での作業に就かせるとき、会社は特別の教育を行わなければなりません(労働安全衛生規則36条26号、酸素欠乏症等防止規則12条)。科目は5つで、酸欠が起きる原因、酸欠の症状、空気呼吸器などの使い方、事故のときの退避と救急そ生の方法、その他の必要な事項です。

受けていないまま「見てきて」と言われたら、その場で「酸欠の教育をまだ受けていません」と伝えてください。特別教育の受け方の全体は見習い職人の特別教育の受け方と費用に、入社時の安全教育は見習いが先に覚える安全のルールにまとめています。

倒れている人を見つけたとき、そのまま下りるか上で人を呼ぶかを比べた図解

倒れている人を見たら、すぐ助けに入っていいのか

入ってはいけません。酸欠の事故は、助けに下りた人が続けて倒れる形で被害が広がります。規則16条1項は、酸欠にかかった人を酸欠の場所で救出する作業には、空気呼吸器などを使わせなければならないとしています。会社は、非常のときのために空気呼吸器、はしご、繊維ロープなどの避難用具を備えておくことも求められています(15条1項)。

見習いにできるのは、自分は下りずに大きな声で人を呼び、見張りと作業主任者に知らせ、119番に通報することです。息を止めて下りれば何とかなる、という考えは通用しません。

まとめ

マンホールやピットは、政令の別表第6に載っていれば酸欠の場所です。ケーブル用の暗きょやピットは乾いていても対象で、塗装直後に閉め切った地下室も入ります。入る前に測る、18パーセント以上に換気する、見張りを置く、そして特別教育を受けてから入る。倒れた人がいても、空気呼吸器なしでは下りない。条文は2026年10月9日にe-Gov法令検索で確認しました。個別の現場の判断は、作業主任者や労働基準監督署にご確認ください。

(出典:酸素欠乏症等防止規則2・3・5・8・11〜13・15・16条/労働安全衛生法施行令別表第6/労働安全衛生規則36条26号。いずれもe-Gov法令検索の現行条文)

現場の安全について相談したい方は、これから職人になりたい人向けの掲示板もあります。

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