職人の給料はなぜ翌月払いなのか|締め日と支払日は入社前に書面でもらえる
結論からお伝えすると、給料が翌月払いになるのは締め日と支払日が別の日だからです。そして法律が決めているのは2つだけ——毎月1回以上支払うことと、一定の期日を定めることです(労働基準法24条2項)。何日締めの何日払いにするかは会社が決めます。だから入る前に確かめる必要があり、しかも書面でもらえます。順に見ていきます。
締め日と支払日は、別の日である
求人票に「日給13,000円」と書いてあっても、いつ入るかは別の話です。給料には2つの日付があります。
- 締め日…その月の勤務を何日までで区切るか(例:20日締め)
- 支払日…区切った分を振り込む日(例:翌月10日払い)
この例だと、7月21日に働いた分は、8月20日に締まって、9月10日に入ります。働いてから入金まで51日です。「月末締め・翌月25日払い」なら、月初に働いた分は入るまで55日かかります。
建設業でよく見るのは20日締め・翌月払いと末締め・翌月払いです。この2つで、初任給が入る時期が半月ずれます。

なぜ、締めてすぐ払えないのか
間があくのは、会社が意地悪をしているからではありません。締めてから支払日までに、次の作業が入ります。
- 勤怠の集計…職人の場合、現場ごとの日報や出勤簿を集めるところから始まる。応援に出た日、直行直帰の日、半日で上がった日を突き合わせる
- 残業と手当の計算…所定外の時間、深夜、休日出勤の割増を分ける
- 控除の計算…所得税の源泉徴収、社会保険料、住民税。前月と保険料率が変わることもある
- 振込データの作成と銀行への持ち込み…振込は当日に反映されないので、支払日の数営業日前に確定させる必要がある
現場が散っている会社ほど、1の集計に時間がかかります。締めから支払日まで20日前後あく会社が多いのは、ここが理由です。
法律はどこまで決めているのか
労働基準法24条2項は、こう書かれています。
賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。
(出典:e-Gov法令検索「労働基準法」第24条第2項・2026年8月28日時点)
決まっているのは「毎月1回以上」と「一定の期日」だけです。締め日については何も書いていません。だから20日締めでも末締めでも、法律上はどちらも問題ありません。
同じ24条の1項では、賃金は通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならないとも定めています。親方が代表してまとめて受け取り、そこから配る——という形は、雇われている立場ならこの原則に照らして確認したほうがよい部分です。
「毎月第4金曜日」は一定の期日と言えるのか?
「毎月25日」は明らかに一定の期日です。では曜日で決めている場合はどうか。日付が月によって最大7日動きます。
ここは条文だけでは答えが出ません。「毎月20日から25日の間に支払う」のように幅で決めている形は、一定の期日とは言いにくいと考えられますが、個別の判断は労働基準監督署に確認してください。求人票や労働条件通知書に日付ではなく幅で書かれていたら、そこは聞いていい部分です。
締め日と支払日は、入る前に書面でもらえる
ここが今日いちばん使える話です。労働基準法施行規則5条1項3号は、使用者が明示しなければならない労働条件として、次を挙げています。
賃金……の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
(出典:e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」第5条第1項第3号・2026年8月28日時点)
そして同条3項・4項で、1号から4号までの事項(昇給を除く)は書面の交付によって明示すると定められています。本人が希望した場合は、FAXや電子メールなど出力して書面にできる方法でもよい、とされています。
つまり締め日と支払日は、口約束ではなく紙でもらえる項目です。「うちは何日締めですか」と聞くのは、遠慮すべき質問ではありません。もらった紙は捨てずに残してください。あとで金額が合わないときの起点になります。

入った初月に給料日が来ないことがある
20日締め・翌月10日払いの会社に、8月25日に入ったとします。
- 8月25日〜9月20日の勤務が、9月20日に締まる
- その分が入るのは10月10日
- つまり入社から初入金まで、約1か月半
入社月に給料日が来ないのは、遅れているのではなく仕組みどおりです。ここを知らずに入ると、生活費が先に尽きます。未経験で入るときは、初入金の日付を先に計算して、それまでの生活費を確保しておいてください。「入って最初の給料日はいつになりますか」は、面接で聞いて構いません。
支払日まで待てない事情ができたとき
労働基準法25条に、非常時払という規定があります。
使用者は、労働者が出産、疾病、災害その他厚生労働省令で定める非常の場合の費用に充てるために請求する場合においては、支払期日前であつても、既往の労働に対する賃金を支払わなければならない。
(出典:e-Gov法令検索「労働基準法」第25条・2026年8月28日時点)
すでに働いた分に限りますが、支払日を待たずに請求できる場合があるという規定です。前借りとは違います。該当するかどうかは事情によるので、会社と、必要なら労働基準監督署に相談してください。
辞めるときと、あとから気づいたとき
- 辞めた分の給料…労働基準法23条は、退職の場合に権利者の請求があったときは7日以内に賃金を支払い、金品を返還しなければならないと定めています。次の支払日まで待たされる筋合いはありません
- あとから足りないと気づいた分…賃金の請求権の時効は、労働基準法115条では5年ですが、附則143条3項により当分の間は3年とされています(退職手当は5年)
(出典:e-Gov法令検索「労働基準法」第23条・第115条・附則第143条第3項・2026年8月28日時点)
3年前の分までは遡れる、ということです。だからこそ、明細と、書面でもらった支払条件を残しておく意味があります。
都合の悪いことも書いておきます
締め日と支払日が分かっても、手取りの金額は月ごとに動きます。日給で働いていれば、その月の平日の数と、雨で止まった日数で変わります。ここは締めの話ではなく、日給か月給かの話です。
また、支払日が1日でも遅れたら即おかしい、というわけでもありません。支払日が土日祝にあたるときの前倒し・後ろ倒しは会社ごとに決められています。「いつもと違う」と感じたときに、根拠として出せる紙を持っているかどうか——そこが分かれ目です。
まとめ
- 締め日と支払日は別。働いてから入金まで50日前後あくことがある
- 法律が決めているのは毎月1回以上・一定の期日の2つだけ(労基法24条2項)
- 締め日と支払日は書面で明示される項目(労基則5条1項3号・3項・4項)。聞いていい
- 入社月に給料日が来ないことがある。初入金の日付を先に計算する
- 出産・疾病・災害のときは支払期日前でも既往の労働分を請求できる(労基法25条)
- 退職時は請求から7日以内(23条)。賃金の時効は当分の間3年(115条・附則143条3項)
日給月給と月給の違いは未経験が職人の求人票で見る日給月給と月給の違い、給料が上がるきっかけは見習いの給料はいつ上がるのかにまとめています。統計の上で建設業の給料がどう動いたかは常用で働く職人の給料と残業、休みの数え方は未経験で知っておく職人の休みを参照してください。
締めと支払日の組み合わせは会社ごとに違います。職人の相談・雑談の掲示板で聞いてみてください。


