一人親方が外国人の職人と組む前に確認する3点|建設業は「何でも頼める在留資格」が12人に1人
応援を1人頼んだら、来たのは日本語のうまい外国人だった。名前と携帯番号を聞いて、その日は何ごともなく終わった。ここで確認していないものが1つあります。在留カードです。
結論からお伝えすると、外国人の職人と組むときは「腕があるか」より先に「在留資格で何ができる人か」を見ます。建設業では、働く内容に制限がない在留資格(永住者・定住者などの「身分に基づくもの」)の人は8.1%しかいません。12人に1人です。残りの9割は、やれる仕事と雇う側の条件が制度で決まっています。

建設業の外国人は、他の産業とかなり違う
厚生労働省が2026年8月31日に公表した「令和7年外国人雇用実態調査」に、産業別・在留資格別の人数が載っています。建設業は177,097人(全体の8.7%)。前年の約15万人(8.4%)から増えました。
問題は内訳です。全産業と並べると形がまるで違います。
- 技能実習 47.6%(全産業21.7%)
- 特定技能 26.1%(全産業17.9%)
- 身分に基づくもの 8.1%(全産業24.0%)
- 留学 0.1%=152人(全産業6.8%)
建設業だけ、技能実習と特定技能で7割を超えます。そして留学生がほぼいません。全国の建設業で152人です。理由は制度の側にあります。留学の在留資格で働くには資格外活動許可が要り、その範囲は1週について28時間以内と定められています(出入国管理及び難民認定法施行規則19条5項1号)。朝7時集合の常用には、そもそも当てはめられません。
数字の枠も書いておきます。この調査の対象は「雇用保険の被保険者が5人以上で、かつ外国人労働者を1人以上雇っている事業所」です。有効回答は3,919事業所・14,248人。一人親方だけで回している現場は入っていません。元請けや会社側から見た景色だと思って読んでください。
組む前に確認する3点
- 在留カードの原本を見る。「就労制限の有無」の欄と、裏面の「資格外活動許可」の欄です。写真やコピーでは、その後に失効していても分かりません。出入国在留管理庁の失効情報照会でカード番号を確かめられます。
- 在留資格の名前を控える。特定技能「建設」の人を直接雇うには、雇う側に条件が付きます(次の節)。
- 誰の指揮で働く人かを確かめる。技能実習生は、実習実施者が出した実習計画の中でしか働けません。「人が足りないから今日だけ」で自分の現場に入れると、計画の外に出ます。

知らなかったなら、罪にはならないのでは?
ここが一番きついところです。入管法73条の2第1項1号は、事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者を、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその両方と定めています。
そして同条2項に、こう書かれています。
「前項各号に該当する行為をした者は、(略)知らないことを理由として、同項の規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない。」
つまり「知らなかった」は原則として通らず、通るのは「過失がなかった」ときだけです。確認したかどうかが、そのまま分かれ目になります。在留カードを見た記録を残しておく意味は、ここにあります。
逆に、やってはいけないこともある
就労資格証明書という書類があります。その人ができる仕事の内容を国が証明するもので、本人の申請で交付されます(入管法19条の2第1項)。
「出せないなら使わない」と言いたくなりますが、同条2項がそれを禁じています。
「何人も、外国人を雇用する等に際し、その者が行うことができる(略)活動が明らかな場合に、当該外国人が前項の文書を提示し又は提出しないことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。」
在留カードで内容がはっきりしているなら、証明書がないことを理由に断ることはできません。求めてよいけれど、出ないことを落とす理由にはできない。ここは間違えている人が多いところです。
特定技能「建設」は、一人親方が直接雇える形ではない
建設分野の特定技能には、業種共通の基準に上乗せして国土交通大臣の告示(平成31年国土交通省告示第357号)が置かれ、建設特定技能受入計画の認定が必要です。認定要件は次のとおりです。
- 建設業法3条1項の許可を受けていること
- 受入企業と本人を建設キャリアアップシステムに登録していること
- 建設技能人材機構(JAC)または構成する団体に所属し、行動規範を守ること
- 同等の技能を持つ日本人と同等額以上の報酬を安定的に支払い、技能の習熟に応じて昇給させること
- 賃金などの重要事項を、本人が十分に理解できる言語で書面により事前に説明すること
- 受入れ後、国土交通大臣が指定する講習または研修を受講させること
軽微な工事だけを請け負っていて許可を持っていない一人親方は、1つ目で止まります。そして4つ目に注目してください。制度は「日本人と同等額以上」を先に置いています。安く使う前提は、建設分野の特定技能には載っていません。
現場側が実際につまずいているところ
同じ調査で、建設業の事業所が挙げた課題は次のとおりです(複数回答。カッコ内は全産業)。
- 日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい 53.3%(46.2%)
- 在留資格申請等の事務負担が面倒・煩雑 34.6%(24.8%)
- 在留資格によっては在留期間の上限がある 33.2%(21.6%)
- 受け入れた職場での負担が大きい 23.1%(17.6%)
- 在留資格によっては任せられる業務が限定される 23.1%(17.3%)
働く側から見たトラブルの1位は「紹介会社(送出し機関含む)の費用が高かった」で22.2%。技能実習では42.8%に上がります。来た人が最初から借金を背負っている場合がある、ということです。
もう1つ、正直に書いておきます。建設業が外国人を雇う理由で「労務コストの効率化を図るため」を挙げた事業所は12.9%あり、全産業の6.1%の2倍でした。制度は同等額以上を求め、現場の一部はコストを見ている。この差が、そのまま定着しない理由になります。
一緒にやると決めたときに、最初に渡す3つ
- 集合場所と時間を、地図の画像で渡す。「いつもの現場前」は通じません
- やる範囲とやらない範囲を、写真に矢印を書いて渡す。言葉の量を減らすほど事故が減ります
- 止めてほしいときの合図を先に決める。「分かりました」は分かっていなくても出ます
単価や工程の詰め方そのものは、相手が日本人でも外国人でも変わりません。急に人手が足りないとき、応援職人を最短で見つける方法と、登録の実務は一人親方はCCUSに登録すべきか|事業者登録は0円、毎年かかるのは2400円だけにまとめてあります。貸す側の手続きを知りたい方は外国籍の入居希望者を受け入れるときの実務|築古アパートのオーナーが用意する3つもどうぞ。
在留資格の判断は個別性が高く、ここに書いたものは一般的な整理です。実際に人を入れる前に、出入国在留管理局や地方整備局、行政書士など専門の窓口で必ず確認してください。仕事を頼みたい人の掲示板で、実際に組んだ人の話を聞くこともできます。


