一人親方が新しい元請けから最初の1件をもらうまで|7月から経審に付いた5点で相手を選ぶ

結論からお伝えすると、新しい元請けから最初の1件をもらうまでの動きは、2026年7月1日を境に1つ増えました。相手を名簿で探して連絡する前に、その元請けが「宣言」を出しているかを見る。そして自分の側もそこに載る。無料で、その日のうちに終わります。

飛び込みの回数を増やす話ではありません。相手が「こういう会社と取引したい」と自分で書いて公開している場所が、今年できたという話です。

元請けの側にも、選ばれるための点数がある

公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者は、建設業法27条の23第1項で経営事項審査を受けなければならないと定められています。現場でいう経審です。

この審査は数値で出ます。総合評定値(P)の計算式は、経営規模の完成工事高(X1)と自己資本額など(X2)、経営状況(Y)、技術力(Z)、その他の審査項目(W)を組み合わせたものです。

国土交通省の資料によると、令和8年7月1日以降の申請ではP=0.25X1+0.15X2+0.20Y+0.25Z+0.15Wで、最高2,159点・最低163点とされています(出典:国土交通省「経営事項審査の主な改正事項(令和8年7月1日施行)」)。

職人にとって意味があるのは、この式の最後のWです。ここに、その会社が技能者をどう扱っているかが点数で入ります。

令和8年7月1日施行の経営事項審査のW点の改正点。自主宣言の有無が5点で新設、就業履歴の蓄積は配点減、社会保険の減点項目を削除、建設機械の加点対象を拡大。

7月から、W点に「宣言しているか」が5点で入った

令和8年2月6日に公布され、令和8年7月1日から施行された改正(国土交通省告示第262号)で、W1に評価項目が1つ新設されました。「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」の宣言の有無で5点です。

同じ改正で、W1はほかにも動いています。

  • 就業履歴を蓄積するために必要な措置の実施状況の配点が下がった(民間工事を含む全ての建設工事で15点から10点、全ての公共工事で10点から5点)
  • 社会保険の加入に関する減点項目が消えた(雇用保険・健康保険・厚生年金保険それぞれ0点/マイナス40点だったものを削除)
  • 建設機械の保有状況(W7)で、加点対象に不整地運搬車とアスファルト・フィニッシャが加わった

2つ目は、読み違えやすいところです。社会保険の項目が消えたのは緩んだからではありません。国土交通省の資料には、令和2年10月に建設業許可・更新の要件に社会保険加入が加わったため、令和7年10月以降に経審を受ける企業は加入要件を当然満たすことになるので削除した、と書かれています。減点する必要がなくなった、という理由です。

その宣言は、誰でも見られるのか

見られます。国土交通省のポータルサイト(jishusengen.mlit.go.jp)で、宣言した企業を検索できます。愛称は「職人いきいき宣言」です。

2026年9月9日時点で、サイトのトップに宣言企業6,459社・取組開始企業数5,138社と表示されています。申請の受付が始まったのは2025年12月12日、経審の加点対象になったのが2026年7月1日と、同サイトのお知らせに出ています。

公表されるのは社名だけではありません。国土交通省は宣言内容の一例として、次を挙げています。

  • 【共通】宣言企業との取引優先、建設キャリアアップシステムの利用環境整備、会社独自の取組
  • 【元請・発注者(一人親方含め)】適切な工期・労務費等での取引
  • 【下請】技能レベルに応じた手当や賃金支払、月給制、週休2日制

1つ目を、もう一度読んでください。宣言した企業は「宣言企業との取引を優先する」と自分で書いて公開しているということです。営業をかける前に、相手がその列に並んでいるかどうかが分かります。

一人親方も、宣言する側に回れる

国土交通省が挙げている宣言内容の区分に、「元請・発注者(一人親方含め)」と明記されています。一人親方は宣言される側ではなく、宣言する側にも入っています。

宣言企業のメリットとして公表されているのは3つです。シンボルマークを使えること、宣言内容がサイトで公表されること、そして経営事項審査で加点されること。3つ目は経審を受ける会社の話ですが、1つ目と2つ目は経審を受けない一人親方にも効きます。2026年8月4日には、シンボルマークのデザインガイドラインが名刺に印刷できるサイズに対応したという告知も出ています。

名簿に自分の名前が載り、その名簿を「宣言企業と優先して取引する」と書いた元請けが見に来る。飛び込みの前に、この順番を先に作っておくほうが早い場面があります。

新しい元請けから最初の1件をもらうまでの手順。宣言企業の検索で相手を引き、許可業者の検索で確かめ、自分も宣言を出し、名刺にマークを入れ、宣言内容に触れて連絡し、着手前に書面を取る。

最初の1件までの順番

  1. 狙う元請けの名前を、宣言企業の検索で引く。載っていれば、その会社が何を宣言しているかまで読める
  2. 載っていなければ、建設業許可の有無を許可業者の検索で確かめる。ここは従来どおり
  3. 自分も宣言を出す。費用はかからず、宣言内容は上の一例から自分の実態に合うものを選ぶ
  4. 名刺にシンボルマークを入れる。ガイドラインが対応済み
  5. 連絡するときは、相手の宣言内容に触れる。「適切な工期での取引」と書いてある会社に、無理な日程の相談から入らない
  6. 最初の1件が決まったら、着手前に書面を取る。ここから先は取引の話に変わる

宣言はあくまで自主的なもので、宣言していれば必ず条件が良い、宣言していなければ悪い、という保証ではありません。選ぶ材料が1つ増えたという読み方をしてください。宣言の内容や申請の可否で迷う点は、国土交通省の同ポータルの問い合わせ窓口で確認できます。

その最初の1件で確かめることは、一人親方がはじめての元請けと組む前に確認する5つ|建設業法19条は許可がなくてもにまとめています。就業履歴の蓄積そのものについては一人親方はCCUSに登録すべきか|事業者登録は0円、毎年かかるのは2400円だけのほうが詳しいです。元請けを通さない相手の探し方は一人親方が管理会社・不動産会社と直接取引するには|相手を名簿で探す方法と、直請けの手順にあります。

発注する側が職人不足をどう数えているかは、大家が工期を延ばされたときに聞くこと|職人の不足は配管工3.5%・鉄筋工は過剰ですが反対側から書いています。相手が焦っている職種と、そうでない職種があります。

宣言を出してみた人の話は、仕事を探している人の掲示板に集まっています。

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