一人親方が大家から直接受ける前に見る1点|2階建ての過半の工事は2025年4月から確認が要ります

結論からお伝えすると、大家さんから直接来た工事で最初に見るのは、金額でも工期でもなく「主要構造部の過半に手を入れるかどうか」です。元請けが間に入っていれば、確認申請が要るかどうかは向こうが見ていました。直接受けると、そこを見る人が現場にいなくなります。2025年4月1日から、木造2階建ての住宅もこの判定の対象に入りました。

2025年4月に、何が変わったのか

建築基準法6条1項は、確認申請が要る建築物を号で分けています。e-Gov法令検索で施行日を指定して同じ条文を取り出すと、前日と当日でこう変わっていました。

  • 2025年3月31日時点の2号:「木造の建築物で三以上の階数を有し、又は延べ面積が五百平方メートル、高さが十三メートル若しくは軒の高さが九メートルを超えるもの」
  • 2025年4月1日時点の2号:「前号に掲げる建築物を除くほか、二以上の階数を有し、又は延べ面積が二百平方メートルを超える建築物

木造か木造以外かの区別が消え、階数2以上なら入る形になりました。改正の公布は2022年6月17日、施行が2025年4月1日です。そして6条1項の柱書は、1号・2号の建築物については建築だけでなく「大規模の修繕若しくは大規模の模様替」も確認を受けろと書いています。これが「木造2階建てのリフォームに確認が要ることがある」と言われている中身です。

図解:建築確認が要る工事の線引き5点。階数2以上の建物、面積200平方超の建物、主要構造部の過半、屋根の葺き替え、当たらない工事

「大規模の修繕」は、どこからが大規模なのか?

言葉の定義は同じ法律の2条にあります。

  • 大規模の修繕(14号):建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕
  • 大規模の模様替(15号):主要構造部の一種以上について行う過半の模様替
  • 主要構造部(5号):壁、柱、床、はり、屋根又は階段。ただし構造上重要でない間仕切壁、間柱、付け柱、揚げ床、最下階の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段などは除く

ここを読み違えないことが大事です。クロスの張り替え、床材の上貼り、建具の交換、設備の入れ替えは、主要構造部そのものではありません。原状回復の仕事の大半は、この定義に当たりません。当たってくるのは、屋根の葺き替え、外壁の張り替え、床組や柱を半分より多く入れ替えるような工事です。しかも「一種以上の過半」なので、半分以下なら大規模ではありません。

不安を煽る話ではなく、言葉の線を知っておけば、当たる工事と当たらない工事を自分で仕分けられるという話です。

申請するのは誰か。職人の側に何が残るか

確認申請を出すのは建築主です。2条16号は建築主を「建築物に関する工事の請負契約の注文者」と定義しています。大家さんから直接受けたなら、建築主は大家さんです。申請を代行するのは設計者(建築士)で、職人が出す書類ではありません。

では施工する側に何もないかというと、89条に2つ書かれています。

  1. 工事現場の見やすい場所に、建築主・設計者・工事施工者・現場管理者の氏名と、確認があった旨の表示をする
  2. その工事に係る設計図書を工事現場に備えておく

現場で見かける「確認済」の白い板はこれです。逆に言うと、確認が要る工事なのに板も図面も無い現場は、その時点で形が整っていません。なお6条1項に違反した者は、99条1項1号で1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金と定められています。着工前に「確認は取れていますか」と一度聞くのは、相手を疑う行為ではなく、手順の確認です。

図解:階数2以上の建物と平屋で200平方以下の建物の比較。2階建ては大規模の修繕でも確認が要り、平屋は建てるとき以外は対象外

平屋なら、同じ工事でも要りません

6条1項の柱書をもう一度読むと、3号の建築物については「建築しようとする場合」としか書かれていません。3号(1号2号以外で、都市計画区域等の中にある建築物=平屋で200平方メートル以下など)は、大規模の修繕・模様替だけなら確認の対象外です。同じ屋根の葺き替えでも、2階建てと平屋で扱いが分かれます。

もう1つ、資格の話もあります。建築士法3条2項は、大規模の修繕・模様替をする場合はその部分を新築するものとみなして資格の規定を当てはめる、と定めています(3条の2第2項・3条の3第2項で二級・木造にも準用)。木造で延べ面積100平方メートルを超えるものは、木造建築士以上でなければ設計・工事監理ができません。「工事は自分、図面は誰か」を早めに決めておくことになります。

12月18日に、さいたまで説明会があります

国土交通省は2026年9月8日、「建築物の改修に係る建築基準法のポイント説明会」の開催を公表しました。対象は「設計者を含むリフォーム事業者、建築確認の審査者 等」で、参加費は無料です。内容は3部構成で、第1部が建築基準法の基本的な事項、第2部が既存建築物の現況調査、第3部が改修の際の基準緩和。

  • 会場と日程(配布チラシより):東京10月2日、札幌10月8日、新潟10月15日、仙台10月30日、名古屋11月6日、大阪11月17日、岡山11月25日、北九州12月2日、鹿児島12月9日、さいたま12月18日(金)・JA共済埼玉ビル・定員200名
  • 時間は14時〜17時(予定)。申し込みが定員に達した会場は、午前の部(9時30分〜12時30分・予定)が追加されると書かれています
  • 申し込みは国土交通省の報道発表ページにある申込フォームから

関連する資料は事前に読めます。既存建築物の活用の促進についてのページに、現況調査ガイドライン(本編・事例編)と緩和措置の解説集が置かれています(令和6年12月策定)。

都合の悪いことも書いておきます

確認が要るかどうかの最終的な判断は、建築主事・指定確認検査機関・特定行政庁が行います。この記事は条文の線引きを説明したもので、個別の建物について判定するものではありません。迷ったら、着工前に市区町村の建築指導課へ聞いてください。聞くのは無料で、着工後にやり直すのは無料ではありません。

それから、直接受けること自体が得になるとは限りません。確認・図面・近隣説明・検査の段取りは、元請けがやっていた仕事です。単価の差だけで比べると、この手間が抜け落ちます(管理会社・不動産会社と直接取引するには)。金額の上限の数え方は受けられる工事の上限にまとめています。

まとめ

  • 2025年4月1日から、階数2以上または200平方メートル超の建築物は、大規模の修繕・模様替でも確認が要る(建築基準法6条1項2号)
  • 大規模=主要構造部の一種以上の「過半」。クロス・床の上貼り・設備交換は当たらない(2条5号・14号・15号)
  • 申請するのは建築主=注文者。施工者には表示と設計図書の備付けがある(2条16号・89条)
  • 平屋200平方メートル以下は、大規模の修繕・模様替だけなら対象外(6条1項3号)
  • さいたま会場は12月18日(金)、無料、定員200名

(出典:e-Gov法令検索 建築基準法・建築士法/2026年9月16日時点、国土交通省 報道発表資料「住宅ストック活用のため、改正建築基準法のポイントを解説!」2026年9月8日)

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