未経験が職人の求人に電話をかけるとき|応募の電話で条件を詰めきらないほうがいい

結論からお伝えすると、未経験で職人の求人に電話をかけるとき、いちばん大事なのは話し方ではありません。その電話で条件を詰めきらないことです。募集を出す側には、業務の内容から賃金、加入保険、受動喫煙の対策まで、明示しなければならない事項が法律で決まっていて、しかもその明示は電話ではなく書面が原則と省令に書かれています。

つまり電話は、条件を聞き出す場ではなく、書面をもらう約束を取り付ける場です。そう決めてかけると、話すことが3つに減ります。

求人へ電話をかけるときにやることを、時間帯・名乗り・募集の確認・書面の依頼・折り返しの順に並べた図

まず、かける時間を外さない

求人に載っている番号が、事務所ではなく親方の携帯であることは珍しくありません。現場の1日は、おおむね次のように動きます。

  • 7時台……集合と積み込み。手が離せない
  • 8時〜10時……作業。ほぼ出られない
  • 10時前後の休憩……出やすい
  • 12時〜13時の昼……出やすいが、食事中でもある
  • 13時〜15時……作業
  • 15時前後の休憩……出やすい
  • 16時以降……片付けと移動。運転中は出られない
  • 17時30分以降……戻ってから折り返してもらえることが多い

出なかったときは、間を空けずにかけ直さないことです。1日に3回も着信が並ぶと、それだけで印象が決まります。1日1回までにして、留守番電話が入るなら名前・用件・かけ直してほしい時間帯を15秒で残します。非通知は避けてください。折り返しようがありません。

会社側には、明示しなければならない事項がある

職業安定法5条の3第1項は、職業紹介や労働者の募集を行う者は、応募して労働者になろうとする者に対し、業務の内容と賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない、と定めています。ハローワーク経由に限った話ではなく、会社が自分で募集を出している場合も含みます

その中身を並べているのが職業安定法施行規則4条の2第3項で、業務の内容(変更の範囲を含む)、契約期間、試用期間、就業の場所(変更の範囲を含む)、始業・終業の時刻と休憩・休日、賃金の額、健康保険・厚生年金・労災保険・雇用保険の適用に関する事項、雇う者の氏名または名称、そして就業の場所における受動喫煙を防止するための措置が挙がっています。求人票の欄が何を意味しているかは未経験が職人の求人票で見る5項目で扱っています。

その明示は、電話では足りない

ここが今日いちばん使えるところです。同じ規則の4条の2第4項は、明示の方法を次のように限っています。

  • 書面の交付の方法
  • 本人が希望した場合に限り、ファクシミリ、または受け取った側が出力して書面にできる電子メール等

電話は、この並びに入っていません。ただし書として、緊急の必要のためにあらかじめこれらの方法によれない場合は他の方法で明示してよい、とされていますが、それは例外の書き方です。原則は紙で渡すものという形になっています。

だから「電話で聞いておかないと分からない」と身構える必要がありません。「書面でいただけますか」は、遠慮して取り下げる質問ではなく、会社側が元から負っている手続きです。

(出典:e-Gov法令検索「職業安定法」5条の3、「職業安定法施行規則」4条の2・2026年8月29日時点の現行条文)

労働条件の明示として法律が並べている方法と、並んでいない方法を左右で比べた図

では、電話では何を言えばいいのか?

3つで足ります。長く話すほど、聞いた条件を自分の記憶に預けることになります。

  1. 名乗りと用件……「○○を見て応募したい△△と申します。今、2分ほどよろしいでしょうか」。求人媒体の名前を先に出すと、相手が思い出しやすくなります
  2. まだ募集しているかの確認……終わっていれば、そこで終わりです。掲載が残っているだけのこともあります
  3. 次にどう進めるかの確認……「履歴書はどちらへお送りすればよいですか」「面接の前に労働条件を書面でいただくことはできますか」。この2つ目が今日の本題です

日給や休みを電話で聞くこと自体は構いませんが、聞いた数字は書面と突き合わせるまで確定しません。メモを取り、いつ・誰に・何を聞いたかを日付とともに残しておいてください。

会社側は、明示した内容の記録を残すことになっている

同じ規則の4条の2第7項は、募集を行う者に対し、明示した業務の内容等に関する記録を、募集が終了する日(契約を結ぶ場合はその契約日)まで保存しなければならないと定めています。あとで「そんな条件は言っていない」となったとき、根拠が自分の記憶しかない状態を避けられるのは、この条文があるからです。

さらに、職業安定法5条の3第3項は、労働契約を結ぶ段階で最初に明示した条件を変更・特定・削除・追加する場合には、その内容を改めて明示しなければならないとしています(変更等の場合は同施行規則4条の2第1項・2項)。求人票と違う条件が出てきたとき、黙って差し替えてよいことにはなっていません。

電話のあとに続くもの

電話は入口です。履歴書に何を書くかは未経験から職人に応募する履歴書の書き方、面接で何を聞かれ何を聞き返すかは未経験で職人の面接を受けるときにまとめています。加入保険の欄が空だったときの読み方は、会社の形と人数で決まります。

まとめ

  • かけるのは10時前後・昼・15時前後・17時30分以降。1日1回まで、非通知は使わない
  • 募集する側には職業安定法5条の3の明示義務があり、対象は自社募集も含む
  • 明示の方法は書面の交付が原則。FAXとメールは本人が希望した場合のみで、電話は方法として並んでいない
  • 電話で言うのは名乗り・募集中かの確認・次の進め方の3つ
  • 会社は明示した内容の記録を保存する義務があり、条件を変えるなら変更の明示が要る

実際にどの条文が自分の応募に当てはまるか、明示が守られていないと感じたときの相談先は、都道府県労働局の需給調整事業部門やハローワークが窓口になります。一般的にはここに書いたとおりですが、個別の判断はそちらにご確認ください。

電話でうまくいかなかった話も、うまくいった話も、職人になりたい人の掲示板に出ています。会社名を出さずに、やり取りだけ書いて聞いてみてください。

※本記事は2026年8月29日時点の情報です。出典:e-Gov法令検索(職業安定法・職業安定法施行規則、いずれも同日時点の現行条文)。

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