一人親方が公共工事に関わる入口はどこか|8割は国ではなく地方の機関です

「公共の仕事も取れるようにしたい」と言うと、たいてい「入札でしょう、うちには無理だよ」と返ってきます。ところが国が9月10日に出した数字を開くと、公共工事の入口は、多くの人が思っている場所とは違うところにありました。

結論からお伝えすると、公共機関からの発注額のうち8割は、国ではなく地方の機関です。そして一人親方の最初の入口は入札ではなく、下請として現場に入るところにあります。ただし公共工事に入ると、民間とは書類の義務が変わります。

公共工事の入口の図解。地方の機関が8割、金額の下限がない、写しを発注者へ出す、丸投げの例外がない、内訳の書類が要る、の5点

9月10日の統計が示した、8対2

国土交通省「建設工事受注動態統計調査報告(令和8年7月分)」(2026年9月10日公表)によると、7月の公共機関からの受注工事額(1件500万円以上)は2兆390億円で、前年同月比1.4%増。内訳はこうです。

  • 国の機関から:3,962億円(前年同月比3.2%減)
  • 地方の機関から:1兆6,428億円(同2.6%増)

地方の機関が80.6%を占めます。県庁と市役所、それに地方の公社です。国の直轄工事を思い浮かべて「関係ない」と決めるのは、8割のほうを見ないで決めていることになります。

同じ月の元請受注高は7兆1,398億円で前年同月比1.4%減、一方で下請受注高は3兆7,948億円で12.3%増、4か月連続の増加でした。仕事は下請側に流れています。

そもそも「公共工事」とは何を指すのか?

公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(入契法)2条2項が定義しています。「国、特殊法人等又は地方公共団体が発注する建設工事」です。発注したのが市役所なら、間に何社挟まっていても、その現場は公共工事です。

ここを押さえないと、次の義務が「自分の話ではない」と見えてしまいます。

公共工事では、施工体制台帳に金額の下限がない

民間工事なら、施工体制台帳を作るのは建設業法24条の8第1項により、特定建設業者が発注者から直接請け負い、下請契約の総額が政令で定める金額以上になるときだけです。

ところが入契法15条1項は、公共工事についてこの条文を読み替えます。「特定建設業者」は「建設業者」に、「締結した下請契約の請負代金の額が政令で定める金額以上になる」は「下請契約を締結した」に読み替える——つまり金額に関わらず、下請契約を1本でも結んだら施工体制台帳が要ります。

あわせて15条2項で、作成した施工体制台帳の写しを発注者に提出しなければなりません(発注者が情報通信技術で確認できる措置を講じている場合を除く)。15条3項は、発注者から施工体制の点検を求められたときにこれを拒んではならないと定めています。施工体系図の掲示場所も、民間の「見やすい場所」から「工事関係者が見やすい場所及び公衆が見やすい場所」に読み替えられます。

下請として入る側にとっては、24条の8第2項の通知義務が現実の作業になります。自分がさらに他の業者に出したら、元請へ通知する。台帳に載る項目は、見習いが現場で名前を覚えてもらう方法で扱った名簿の話とつながっています。

「名前だけ貸して」が公共工事では通らない理由

入契法14条は、たった1行です。「公共工事については、建設業法第22条第3項の規定は、適用しない。」

建設業法22条3項は、発注者の書面による承諾があれば一括下請負の禁止を適用しない、という例外規定です。公共工事ではその例外そのものが消えます。発注者が承諾しても、丸投げは全面的に禁止ということです。民間工事なら書面の承諾で外れる場合がありますが、公共工事にはその逃げ道がありません。禁止の対象は「建設業を営む者」なので、丸投げを受けた側も、建設業許可の有無に関係なく対象になります(建設業法22条2項、国土交通省「一括下請負の禁止について」別紙2)。

民間工事と公共工事で、丸投げの可否・施工体制台帳の要否・掲示場所がどう変わるかを並べた比較図

元請として入札するなら、順番は3つ

  1. 建設業許可を取る。500万円未満の工事だけなら軽微な建設工事として許可なしでもできますが、入札参加資格の申請では許可が前提になります(一人親方が受けられる工事の上限)。
  2. 経営事項審査を受ける。2026年7月から評点の中身が変わっています(新しい元請けから最初の1件をもらうまで)。
  3. 入札参加資格審査の申請を出す。国は「全省庁統一資格」、地方は自治体ごとの名簿です。受付期間が決まっているので、思い立った月に出せるとは限りません。

もう1つ、入契法12条は入札金額の内訳(材料費、労務費、適正な施工を確保するために不可欠な経費として国土交通省令で定めるもの、その他必要な経費)を記載した書類の提出を義務づけています。「一式」でまとめた見積しか作ったことがないと、この段階で止まります。分け方は一人親方の見積書の書き方に書きました。

公的なお金が絡む工事は、着工より先に登録と申請の順番が決まります。発注する側から見た同じ構図は、給湯器交換に補助金は使えるのかが分かりやすいはずです。

なお、入札参加資格の要件や受付時期は自治体ごとに違います。実際に出す前に、その自治体の契約担当課で確認してください。

地元の自治体でどこから声がかかったか、掲示板で共有してもらえると助かります。仕事を探している方の掲示板へどうぞ。

出典:国土交通省「建設工事受注動態統計調査報告(令和8年7月分)」2026年9月10日公表/e-Gov法令検索「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」「建設業法」(2026年9月13日確認)

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