一人親方がホームページを作る前に見る5点|許可がないと「建設業者」とは書けない

屋号のロゴを作り、施工写真を20枚並べ、トップに「埼玉県の内装工事はおまかせください」と書いた。ページの下に「お客様の声」を3件。知り合いの大家さんに「いい感じに書いといて」と頼んだものです。ここまでで、直さないといけない行が2つあります。

結論からお伝えすると、ホームページは作るか作らないかより先に、「書くと法律に触れるもの」と「置くと義務が付いてくるもの」を知っておく必要があります。許可を持っていない人が「建設業者」と誤認される表示をすると建設業法違反で過料。頼んで書いてもらった口コミは、書いた人ではなく頼んだ職人の側が景品表示法の対象になります。どちらも、知らずにやっている人が多いところです。

ホームページを書く前に確認する4点を示した図。建設業者という言葉、頼んで書いた口コミ、問い合わせフォーム、一律の単価表。

1.「建設業者」と書けるのは、許可を持っている人だけ

建設業法2条3項に定義があります。「この法律において『建設業者』とは、第三条第一項の許可を受けて建設業を営む者をいう。」

そのうえで40条の2(表示の制限)が、こう定めています。

「建設業を営む者は、当該建設業について、第三条第一項の許可を受けていないのに、その許可を受けた建設業者であると明らかに誤認されるおそれのある表示をしてはならない。」

罰は55条4号で10万円以下の過料です。金額は大きくありませんが、名刺・看板・作業車・ホームページのすべてが対象になります。

誤解のないように書いておくと、許可がなくても営業はできます。政令で定める軽微な建設工事だけを請け負う場合は、3条1項ただし書で許可が要りません。禁じられているのは営業ではなく、許可を持っているように読める表示のほうです。

逆に許可を持っているなら、番号を書いてください。40条は店舗と元請けの現場ごとに標識を掲げることを義務づけていて、掲げないほうも55条3号で同じ10万円以下の過料です。

2.「お客様の声」を自分で用意すると、罰されるのは自分

2023年10月1日から、いわゆるステルスマーケティングが景品表示法違反になりました。根拠は景品表示法5条3号と、令和5年内閣府告示第19号「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」です。

消費者庁の解説ページに、はっきり書かれています。

「規制の対象となるのは、商品・サービスを供給する事業者(広告主)です。企業から広告・宣伝の依頼を受けたインフルエンサー等の第三者は規制の対象とはなりません。」

つまり「知り合いに書いてもらった」形にしても、書いた人は対象外で、頼んだ職人が対象になります。実際にやってもらった工事の感想を、本人の言葉で、本人の了解を得て載せるなら問題ありません。危ないのは、書いた人と発注者が違うときと、書いてほしい内容をこちらが指定したときです。

3.問い合わせフォームを置くと、一人親方でも義務が付いてくるのか?

付いてきます。個人情報保護法の「個人情報取扱事業者」に、規模の下限はありません。名前とメールアドレスを受け取った時点で対象です。

実務で効くのは2つです。

  • 21条1項:個人情報を取得したときは、あらかじめ利用目的を公表している場合を除き、速やかに本人に通知するか公表する
  • 32条1項1号:保有個人データについて、氏名または名称および住所を本人の知り得る状態に置く

「住所を出すのか」と身構えるところですが、32条1項のかっこ書きに逃げ道があります。「(本人の求めに応じて遅滞なく回答する場合を含む。)」——サイトに貼らなくても、聞かれたら遅滞なく答えられる状態にしてあればよい、という意味です。自宅で開業している人はここを使えます。

利用目的のほうも、21条4項4号で「取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められる場合」は通知・公表が要りません。見積依頼フォームなら明らかです。ただしあとで営業メールを送るつもりなら、それは「明らか」ではなくなります。送る予定があるなら先に書いておく。

4.元請けは、あなたのサイトより先に公的な名簿を見ている

ここは順番の話です。国土交通省の建設業者・宅建業者等企業情報検索システムを開けば、許可の有無・業種・許可年月日は誰でも引けます。建設キャリアアップシステムに登録していれば、資格や就業履歴もそちらに残ります。

つまり「うちは許可があります」「資格を持っています」は、サイトで訴えるまでもなく、相手が先に見られる情報です。相手の探し方は一人親方が管理会社・不動産会社と直接取引するには|相手を名簿で探す方法と、直請けで変わる3つに書きました。同じことが、逆向きに自分にも起きています。

だからサイトに書く価値があるのは、名簿に載っていないほうです。どういう現場を、どう納めるか。そこだけが差になります。

職人のホームページに最低限入れる5項目を示した図。屋号と代表者名、連絡手段と返せる時間帯、やる工事とやらない工事、動ける範囲を市町村名で、施工写真。

5.最低限入れる5項目

  1. 屋号と代表者名。屋号だけの匿名サイトは、元請けの担当者が社内を通せません
  2. 連絡手段と、返せる時間帯。「日中は現場のため、17時以降に折り返します」の1行があるだけで、取りこぼしが減ります
  3. やる工事と、やらない工事。断る仕事を書くほうが、合う問い合わせが増えます
  4. 動ける範囲を市町村名で。「関東一円」は、近くの人ほど頼みにくくなります
  5. 施工写真。他人の物件なので、公開してよいかを元請けか施主に確認してから載せます

逆に、入れないほうがよいものが3つあります。一律の単価表(条件で段が変わるものを1つの数字にすると、あとで下げる材料に使われます)、他社の批判、そして自作の口コミです。

先に名刺とSNSを整える順番は一人親方が名刺とSNSにどこまで手をかけるか|先にやることの順番にまとめてあります。個人情報の保管期間の考え方は、貸す側の記事ですが入居申込書と身分証のコピーはいつまで持てるのか|大家も個人情報取扱事業者ですが具体的です。

許可や表示の判断で迷ったら、都道府県の建設業許可の窓口に電話で聞くのが確実です。ここに書いたものは一般的な整理なので、自分の表示が該当するかどうかは必ず窓口や専門家に確認してください。仕事を探している人の掲示板で、実際に問い合わせが来た人の話も読めます。

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