未経験で職人の会社に入った最初の1週間|初日から5日目に起きることと、見られている3点

朝7時30分、コンビニの駐車場に軽バンが2台。挨拶をして荷台の隅に乗せてもらい、現場に着いたのが8時前。渡されたのはカッターでもコテでもなく、養生テープとゴミ袋だった——未経験で職人の会社に入った初日は、たいていこの形で始まります。

結論からお伝えすると、最初の1週間は技術を覚える期間ではありません。「現場でどう動くか」を体に入れる期間です。そして1週間でやめてしまう人の多くは、きつかったからではなく、何をしていいか分からない時間が長かったからやめています。手が空いたときの動き方を先に決めておくだけで、この1週間は驚くほど楽になります。

未経験の1週間目に見られている3点。現場に置いても安全か、手が空いたときに動けるか、話が通じるか。

初日に起きること|工具を持たされないのは普通

初日は、集合場所と時間の確認から始まります。会社の事務所ではなく、現場近くのコンビニや高速の入口で待ち合わせるところが多く、この時点で「集合=出発時刻」なのか「集合=到着していればいい時刻」なのかを間違える人が毎年います。初日は指定時刻の10分前に着いておくと確実です。

現場に入ったら、まず荷降ろしと養生です。ここで工具を持たせてもらえなくても、腕を疑われているわけではありません。職人は手を止めたくないので、荷物運びと片付けをする人に手を空けておいてほしいだけです。初日の役割は、その「手」になることです。

初日のうちに覚えておきたいのは、次の3つだけで十分です。

  • 物の置き場所——材料をどこに寄せ、ゴミをどこにまとめ、脚立をどの壁に立てかけるか
  • トイレと水道が使えるか——空室の現場は電気も水も止まっていることがある
  • 誰に聞けばいいか——親方に聞く話と、2番手の職人に聞く話は別

2日目から4日目|同じ作業が繰り返される理由

2日目以降は、初日とほとんど同じことを頼まれます。養生、荷運び、掃除、材料の受け取り。「いつになったら道具を触らせてもらえるのか」と思う時期がここです。

ただ、繰り返される作業には理由があります。養生と掃除は、現場を汚さない・傷つけないという、職人としていちばん最初に信用される部分だからです。傷を1か所つければ補修に半日、場合によっては材料代も出ていきます。まだ何もできない人に最初に任せるのが養生なのは、そこが軽い仕事だからではなく、覚えるのが早く、失敗の影響が読みやすいからです。

この時期に差が付くのは、腕ではなく次の2点です。

  1. 手が空いたときに自分で動けるか。「次、何かありますか」と毎回聞くより、ゴミをまとめる・使い終わった脚立を畳む・材料の袋を開けておく、と決めておくほうが早い
  2. 返事の質。分からないまま「はい」と返すのがいちばん困られます。「そこまでは分かりました、その先をもう一度お願いします」と、分かった範囲を区切って返すと、教える側の手間が減ります

聞き方そのものについては見習い職人の質問のしかたでも整理しています。

5日目に何ができるようになっているのか

1週間の終わりに「できるようになっていること」は、想像よりかなり地味です。おおむね、この範囲です。

  • 養生を、指示されなくても一人で始められる
  • その日使う材料と道具の名前が、半分くらい分かる
  • 現場で立ってはいけない位置(他の職人の動線)が分かる
  • 片付けを、終業の何分前から始めればいいかが読める

逆に、5日目でもカッターの刃をまっすぐ引けない、コテが板に当たる、寸法を読み違える——これは全部、普通です。1週間で手が動くようになる仕事ではありません。未経験から職人になるとき、最初の1年で起きることで書いたとおり、道具が体になじむまでには年単位の幅があります。

初日から5日目に起きることの流れ。初日は養生と荷降ろし、2〜4日目は繰り返し、5日目に養生を一人で始められる。

1週間目にやめたくなったら、何を基準に考えるか?

やめたくなる理由は、たいてい次のどれかに分かれます。分けて考えることが大事です。まとめて「向いていない」にすると判断を誤ります。

  • 体がきつい——1〜2か月で慣れる可能性が高い。初週は筋肉痛と移動で消耗しているだけのことが多い
  • やることが分からない時間が長い——これは自分で減らせる。上の「手が空いたときの行動」を決めておく
  • 教える人がいない・現場に置き去りにされる——これは会社側の問題。改善しないなら、続けても身に付かない
  • 社会保険や日当が求人票と違う——最初に確認すべきところ。修行先の選び方を参照

上の2つは時間と工夫で解けますが、下の2つは自分の努力では解けません。1週間で判断するなら、「きついかどうか」ではなく「教える人がいるかどうか」で見てください。

初週に持っていくものと、持っていかなくていいもの

初日から高い工具を買い揃える必要はありません。会社が用意するものと自分で買うものの線引きは会社ごとに違うので、入る前に一度聞いておくのが確実です。

初週に効くのは、工具よりも次のような地味なものです。

  • 手袋(消耗が早いので予備を1組)
  • 飲み物を多め——夏場の空室は電気が止まっていてエアコンが動かない
  • 小さいメモ帳とペン——材料名と置き場所を書く。スマホより早く、手が汚れていても使える
  • 着替えのTシャツ1枚

そろえる工具の順番は見習いのうちに揃える道具にまとめています。1日の時間の使われ方を先に知っておきたい場合は、見習い職人の1日の流れもあわせて読んでみてください。

まとめ

最初の1週間は、腕を見られている期間ではありません。現場に置いても安全か、手が空いたときに動けるか、話が通じるか——見られているのはこの3点です。技術はそのあとに乗ります。

同じ時期を通った人や、これから入る人の話は掲示板でも出ています。実際に働いている人の声を聞いてみたい方は職人になりたい人の掲示板をのぞいてみてください。使い方ははじめての方へにまとめています。

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