一人親方はリフォーム会社と工務店どちらと組むか|看板ではなく29業種のどれかで決まります
結論からお伝えすると、「工務店」も「リフォーム会社」も法律上の呼び名ではありません。看板の言葉で選ぼうとすると、判断の材料が何も出てきません。法律が見ているのは2つだけで、建設業法が定める29の業種のどれを持っているかと、設計と工事監理を自分でやるのかどうかです。組む相手を決めるときは、この2つを先に確かめます。

建設業法が並べているのは、28ではなく29です
建設業の許可は業種ごとに出ます。その一覧は建設業法の別表第一にあり、2026年9月12日時点で29業種です。土木一式工事と建築一式工事の2つに、専門工事が27並んでいます。
「28業種」と書いてある解説が今も残っていますが、別表第一の末尾には解体工事が入っていて、数えると29になります。あとから加わったいちばん新しい業種です。自分が解体を含む仕事を受けるなら、組む相手がここを持っているかは直接効いてきます。
内装の職人がよく関係するのは、内装仕上工事業、大工工事業、塗装工事業、防水工事業あたりです。管工事業と電気工事業は別に立っています。「建築一式を持っているから何でもできる」ではありません。一式は一式で、専門工事は専門工事として並んでいます。
リフォームなら、建築士は関係ないのか
ここが一番誤解されているところです。建築士法3条の2項に、こう書かれています。
「建築物を増築し、改築し、又は建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をする場合においては、当該増築、改築、修繕又は模様替に係る部分を新築するものとみなして前項の規定を適用する。」
新築とみなす、と書いてあります。つまり規模によっては、リフォームでも建築士でなければ設計と工事監理ができません。同じ2項は3条の2(二級建築士以上)と3条の3(木造建築士以上)にも準用されています。
では「大規模の修繕」とは何か。建築基準法2条14号が「建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕」、15号が同じ形で模様替と定めています。主要構造部は同じ条の5号で「壁、柱、床、はり、屋根又は階段」とされ、構造上重要でない間仕切壁などは除かれます。
線引きを数字で置くと、こうなります。
- 延べ面積100平方メートル超、または階数3以上の建物は、二級建築士以上でないと設計と工事監理ができません(建築士法3条の2第1項2号)。木造は300平方メートルが境です
- 木造で延べ面積100平方メートル超は、木造建築士以上が必要です(3条の3第1項)
- これらは新築の規定ですが、3条2項により大規模の修繕と模様替にもそのまま乗ってきます
壁や床の「過半」に手を入れる話が出たときは、相手にこの資格があるかを確かめておくと、後から止まりません。
設計もやる相手なら、事務所の登録を見ます
建築士法23条1項は、他人の求めに応じ報酬を得て設計や工事監理などを業として行うには、都道府県知事の建築士事務所登録が要ると定めています。同条2項で有効期間は登録の日から5年です。
相手が「図面もうちで引きます」と言うなら、事務所登録があるか、そして更新が切れていないかを見ます。5年ごとなので、切れたまま気づいていない会社もあります。

どちらと組むかは、元請けがどちらかで決まります
看板の言葉より、実際の並び方で考えるほうが早いです。判断はこの順番になります。
- 自分は元請けになるのか、下請けに入るのか。下請けに入るなら、相手の許可業種が自分の工事と合っているかが最優先です
- 金額はいくらか。自分が元請けとして直接受けるなら、許可なしで受けられる上限があります
- 図面が要る規模か。要るなら、相手に建築士と事務所登録があるか
2番目の上限は間違えやすいところです。分割しても材料支給でも足して数えます。詳しくは一人親方が受けられる工事の上限|500万円は分割しても、材料支給でも足して数えるにまとめました。工務店を通さずに直接受ける道は一人親方が管理会社・不動産会社と直接取引するには|相手を名簿で探す方法と、直請けで変わる3つが近い話です。
もうひとつ、頼む側が「原状回復」と「リフォーム」をどう分けて考えているかを知っておくと、見積の出し方が変わります。原状回復と「リフォーム」の線引き|国が大家負担としたのは「次の入居者を確保する目的」の工事ですが参考になります。
正直に書くと、組む相手を1社に決めるのは危ない選び方です。相手の仕事が薄い月は、こちらの仕事も薄くなります。許可と資格を確かめたうえで、2社以上と並行で付き合うほうが現実的です。
なお、許可の要否や資格の当てはめは工事の中身で変わります。判断に迷うときは、都道府県の建設業担当課や建築指導課など公的な窓口に確認してください。
どの会社と組んでどうだったか、支払いはどうだったか。実際の話は仕事を頼みたい人の掲示板に集まっています。


