見習い職人が取る資格の順番|半年・1年目・2年目で何から取るか

結論からお伝えすると、見習いのうちに取る資格は「持っていないとその作業をさせてもらえないもの」から順に取ります。技能士や国家資格は後回しで構いません。順番を間違えると、費用と休みを使ったのに現場での動きが何も変わらない、ということが起きます。

資格の一覧をひと通り見ても、どれが今の自分に効くのかは分かりません。判断の軸は「それを取ると、明日から任される作業が増えるか」の一点です。

見習いのうちに資格を取る順番の図解。半年までは石綿・足場などの特別教育、1年目は運転免許、1〜2年目は玉掛けと高所作業車、2年目以降に技能士や電気工事士、職長教育は立場が変わってから

なぜ順番が大事なのか

特別教育や技能講習は、受講に1〜3日かかります。平日開催が多いため、その分は現場を休むことになります。費用も1万円前後から、高いものでは5万円前後まで幅があります。

つまり資格取得は「数万円と数日を投資する行為」です。効果が出る順に並べないと、見習いの手取りでは続きません。

① 入って半年:現場に入るために必要な特別教育

最初に取るのは、法令上その作業に就けないと定められているものです。多くは1日で終わり、会社が費用を負担するケースもあります。

  • 石綿(アスベスト)取扱い作業従事者特別教育…既存建物の解体・改修に関わるなら早い段階で必要。学科のみで半日程度、費用は1万円前後が目安
  • 足場の組立て等特別教育…足場の組立て・解体・変更の作業に関わる人。6時間程度、1万円前後が目安
  • 粉じん作業・有機溶剤作業に関する教育…職種によって該当するかが変わるため、会社に確認する
  • 職種共通の安全衛生教育…入社時に会社が実施するもの。受講記録は自分でも控えておく

受講先は、都道府県労働局に登録された教習機関や建設業関連の団体です。必要な教育の範囲や時間数は作業内容ごとに定められているため、自分の担当作業でどれが必須になるかは、会社と受講先、必要なら労働基準監督署に確認してください。

② 1〜2年目:運転免許と、作業範囲を広げる技能講習

半年〜1年で作業に慣れてきたら、「一人で現場に行けるようになる」ための資格に移ります。

運転免許は思ったより重要

2017年3月12日以降に取得した普通免許で運転できるのは、車両総重量3.5トン未満・最大積載量2トン未満までです。ハイエースクラスは運転できますが、2トントラックは車両によって準中型免許が必要になります。材料の引き取りや残材の運搬を任されるかどうかが、ここで変わります。

作業範囲が広がる技能講習

  • 玉掛け技能講習…つり上げ荷重1トン以上のクレーンで玉掛け作業をするなら必要。2〜3日、1.5万〜2.5万円が目安
  • 高所作業車運転技能講習…作業床の高さ10メートル以上の高所作業車を使う場合。3日前後、4万〜6万円が目安。10メートル未満は特別教育
  • フォークリフト運転技能講習…資材置き場や倉庫の作業がある会社なら効く

費用は会場や地域、既に持っている資格による講習時間の免除で変わります。申し込む前に必ず教習機関の案内で確認してください。

③ 2年目以降:職種の本命資格

ここでようやく技能士や国家資格です。後回しにする理由は単純で、受験に実務経験の年数が必要なものが多いからです。

  • 内装仕上げ施工技能士…2級は実務経験2年程度が必要(3級は経験不要で受けられる区分があります)
  • 第二種電気工事士…実務経験は不要。学科と技能の2段階で、受験手数料は1万円前後
  • 建築施工管理技士…現場を見る側に回るとき。受験区分ごとに必要な実務経験年数が定められています

くわしくは内装仕上げ施工技能士は取るべきかで整理しています。

先に取る資格と後回しでいい資格の比較図。先に取るのは石綿・足場の特別教育、玉掛け・高所作業車、運転免許。後回しでいいのは職長教育や建設業許可に関わる手続き

先に取っても意味がない資格はあるか?

「意味がない」わけではありませんが、見習いのうちに取っても使う場面が来ないものはあります。急ぐ必要はありません。

  • 職長・安全衛生責任者教育…人を指揮する立場になってから受けるもの。見習いのうちは出番がありません
  • 建設業許可に関わる資格・手続き…独立して請負金額が大きくなってから考えるもの
  • 複数の職種にまたがる資格の同時取得…自分の職種が決まる前に広く取ると、使わないものが残ります

資格の費用は会社が出してくれるのか?

会社によって扱いが分かれます。よくあるのは次の3パターンです。

  1. 全額会社負担…業務上必須の特別教育は会社が出すことが多い
  2. 立替え・後払い…合格または受講修了で戻ってくる形。「1年以内に辞めたら返還」という条件が付く場合があるため、書面で確認する
  3. 自己負担…受講日を休みとして処理するか、出勤扱いにするかも会社ごとに違う

面接や入社時に「資格の費用と受講日の扱い」を聞いておくと、あとで揉めません。人を育てる姿勢があるかどうかの判断材料にもなります。会社選びの見方は未経験から職人になるとき、最初の1年で起きることにまとめています。

まとめ:順番は「作業に就けるか」で決める

  • 半年まではその作業に就くために法令上必要な特別教育
  • 1〜2年目は運転免許と技能講習。一人で現場に行けるようになる
  • 2年目以降に技能士・国家資格。実務経験の年数が要件になっているものが多い
  • 職長教育や許可関係は、立場が変わってから

道具と同じで、資格も「今の自分の仕事に効くもの」から順に増やすほうが無駄が出ません。道具のほうは見習いのうちに揃える道具で扱っています。

資格や講習の実際のところは、同じ道を通った人に聞くのが早いです。職人になりたい人のフォーラムで、受講した講習や会社の負担のしかたを聞いてみてください。

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