内装仕上げ施工技能士は取るべきか
結論からお伝えすると、内装仕上げ施工技能士を取るべきかどうかは、今どこから仕事をもらっているかで答えが変わります。個人の大家さんや小さな工務店から直接受けているなら、明日の売上はほぼ変わりません。逆に、ゼネコンの下や公共工事に関わる元請けと付き合うなら、書類の段階で必要になる場面があります。
技能士は国家資格で、都道府県が実施する技能検定に合格すると名乗れます。腕を証明する資格ではなく、腕を人に説明するための資格だと考えたほうが実態に近いです。
内装仕上げ施工技能士とは、どういう資格か
内装仕上げ施工は、作業ごとに区分が分かれているのが特徴です。プラスチック系床仕上げ工事、カーペット系床仕上げ工事、鋼製下地工事、ボード仕上げ工事、カーテン工事といった区分があり、受検するときに自分の作業を選びます。等級は1級と2級があり、区分によって3級が設けられている場合もあります。
ここで注意が必要なのは、受検資格が実務経験年数で決まっている点です。等級と区分、それに学歴や職業訓練の受講歴によって必要な年数が変わり、短縮される扱いもあります。年数の条件、試験日、申請の期限、合格率は年度と都道府県で変わるため、この記事の数字を当てにしないでください。都道府県職業能力開発協会と中央職業能力開発協会が出している受検案内で、必ず最新のものをご確認ください。
費用については、実技と学科をあわせて2万円前後が標準額の目安ですが、都道府県で異なり、35歳未満の受検者などに減免が用意されている年度もあります。これも案内で確認する項目です。
先に、取ったあとに落胆した例から
- 2級を取ったのに、いつもの元請けからの単価がまったく動かなかった
- 実技の練習に材料代と休日を使い、受検までの負担のほうが大きく感じた
- 自分の主力がクロス貼りなのに、区分をボード仕上げで受けてしまい実務と噛み合わなかった
- 申請の締め切りを過ぎていて、次の年度まで1年待つことになった
- 取ったことを誰にも伝えておらず、名刺にも書いていなかった
1つ目は最も多い落胆です。ただ、これは資格が無意味だったのではなく、期待の向きが違っていました。資格を取っても単価は自動では上がりません。上がるのは、単価の話を持ち込める相手の数です。いまの取引先1社だけを見ていると、その変化は見えません。
取ると、実際に何が変わるのか
| 場面 | 効き方 |
|---|---|
| 元請けの新規取引審査 | 会社の技能者名簿に載る。書類の一項目が埋まる |
| 公共工事・大手の現場 | 有資格者の配置を求められることがある。入場の条件になる場合も |
| 建設キャリアアップシステム | 技能レベルの判定材料になる。カードの色が変わる要素の一つ |
| 建設業許可の専任技術者 | 要件を満たす資格として扱われる区分がある。詳細は窓口で確認 |
| 単価そのもの | 直接は動かない。交渉の材料の一つにとどまる |
| 個人の大家さんからの直請け | ほぼ影響しない。過去の施工写真のほうが強い |
建設業許可や経営事項審査に関わる部分は、資格の区分と等級によって扱いが変わります。ここは思い込みで判断せず、都道府県の建設業許可の窓口で確認してください。
では、取ったほうがいい人は誰なのか?
判断は3つの質問で足ります。
- 今後3年で、取引先を増やしたいと思っているか
- 公共工事や、大手の現場に入る可能性があるか
- 将来的に人を雇う、または法人にする考えがあるか
ひとつでも当てはまるなら、取っておいて損はありません。3つとも当てはまらず、決まった取引先2、3社で仕事が埋まっているなら、急ぐ理由は薄いと考えていいでしょう。その場合は、施工写真を残して見せられるようにしておくほうが早く効きます。
もうひとつの見方として、実技の練習そのものに意味があります。普段の現場では出てこない下地の作り方や、寸法どおりに納める手順を、時間を計って一度やり直すことになります。10年やっている人でも、自分の癖に気づくことがあります。
受けると決めたら、順番はこうなる
まず区分を、自分が実際に食べている作業に合わせて選びます。次に等級ごとの実務経験年数を受検案内で確認し、足りているかを見ます。申請は年度ごとに期間が決まっており、前期と後期で実施区分が違うことがあるため、案内の公表時期に一度目を通しておくのが確実です。実技の課題は事前に公表されるので、材料を用意して手を動かす時間を先に確保しておきます。
未経験から入って年数を積む段階の方は、まず実務のほうが先です。1年目に何が起きるかは未経験から内装職人になるにはにまとめています。
まとめ
内装仕上げ施工技能士は、単価を上げる資格ではなく、取引先を増やすときに書類で止まらないための資格です。効くのは元請けの審査、公共や大手の現場、キャリアアップシステムのレベル判定。効かないのは個人の直請けです。受検資格の年数と試験日、費用は年度と都道府県で変わるため、都道府県職業能力開発協会の受検案内で最新をご確認ください。


