一人親方が管理会社・不動産会社と直接取引するには|相手を名簿で探す方法と、直請けで変わる3つ
結論からお伝えすると、管理会社や不動産会社への営業は飛び込みで探すより、国が公開している名簿で引くほうが早いです。そのうえで、直接取引にすると請負金額の線・責任の範囲・入金のタイミングの3つが自分に移ってきます。ここを知らずに受けると、単価が上がったのに手取りが減ります。
駅前の不動産会社に名刺を置いてきた、という話はよく聞きます。ただ、その会社が賃貸の管理までやっているのか、売買の仲介だけなのかは、看板を見ても分かりません。空室の原状回復を出す会社かどうかは、外からは判別できないのです。

営業先は「探す」より「名簿で引く」
宅地建物取引業者は、国土交通省の建設業者・宅建業者企業情報検索システム(etsuran2.mlit.go.jp)で、商号・免許番号・所在地を都道府県ごとに引けます。飛び込み先を思いつきで決める必要はありません。
この名簿で見ておきたいのが免許番号のカッコの中の数字です。宅地建物取引業法第3条第2項で免許の有効期間は5年と決まっており、カッコ内は更新の回数を表します。(1)なら免許を取って5年未満、(3)なら10年以上その地域で営業していることになります。原状回復を継続で出せる会社かどうかの、ひとつの目安になります。
賃貸の管理をしている会社をどう見分けるか
賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律第3条により、管理戸数(自己所有物件を除く)200戸以上の賃貸住宅管理業者は、国土交通大臣の登録が必要です。登録の有効期間は5年で、更新は満了日の90日前から30日前までに申請することとされています(国土交通省 賃貸住宅管理業法ポータルサイト)。
200戸未満は登録が任意なので、登録していない=管理をしていない、ではありません。ただし原状回復を年間で何十件も出せる規模の会社は、この登録を持っている側に多いと考えて差し支えないでしょう。「賃貸管理もやっていますか」と聞く前に、登録の有無で当たりをつけられます。
持っていくのは1枚でいい
先方が知りたいのは、腕の良さより頼んだときに何が起きるかです。A4で1枚にまとめます。
- 対応できる工種と、対応できない工種(できない範囲を先に書くほうが信用されます)
- 対応エリアと、そこを外れたときの出張費の考え方
- 単価の出し方(手間請けか材工か。めくり・下地処理・ゴミ処理を含むかどうか)
- 加入している保険
- 請求の締め日と、着手できる最短日
- 施工写真を数点(撮り方は次の仕事につながる現場写真を撮る手順に)

直請けにすると変わる3つ
① 請負金額500万円の線を自分で管理することになる
建設業法第3条第1項ただし書と同法施行令第1条の2により、1件の請負代金が500万円未満(建築一式工事は1,500万円未満、または木造住宅で延べ面積150平方メートル未満)の軽微な工事だけを請け負うなら、建設業の許可は要りません。
見落としやすいのが同条の第2項と第3項です。ひとつの工事を2つ以上の契約に分けて請け負うときは各契約の合計額で判定し、さらに注文者が材料を提供する場合は、その材料の市場価格(および運送賃)を請負代金に加えた額で判定します。材料支給だから金額が抑えられている、と思っていると線を越えていることがあります。
② 責任の範囲が広がる
元請けが間に入っていたときは、入居者・近隣・他職との調整、鍵の受け渡し、工程の押し戻しを誰かが引き取っていました。直接取引にすると、それが全部自分に来ます。単価が上がったぶんが、この調整の時間で消えることがあります。
③ 入金のタイミングが相手の締めに変わる
元請け経由の支払いサイトに慣れていると、初回の入金までの期間が想定より延びます。締め日・支払日・振込手数料の負担を、最初の1件の前に文書で確認すること。ここは口頭で済ませないところです。
元請けをやめて直請けに全部切り替えるべきか
そうは思いません。仕事のルートを増やす話であって、置き換える話ではないからです。手が埋まっているうちに1社ずつ増やすのが現実的で、空いてから探し始めると足元を見られます。
ルート全体の整理は元請けに頼らず仕事を取る5つのルート、地域での動き方は地域で仕事を探すときの動き方、紹介で回す形は紹介で仕事を回すためにやっていることにまとめています。
建設業許可が必要かどうかの判断は、金額の数え方で結論が変わります。迷ったときは都道府県の建設業許可担当窓口に確認してください。実際に当たってみた話は仕事を探している人の掲示板にどうぞ。
※本記事は2026年8月15日時点の情報です。出典:e-Gov法令検索(建設業法、建設業法施行令、宅地建物取引業法、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律)、国土交通省「賃貸住宅管理業登録の方法」、国土交通省 建設業者・宅建業者企業情報検索システム。


