未経験が職人の求人票で見る5項目|法律で書くことが決まっている欄と、空欄の読み方

結論からお伝えすると、職人の求人票で最初に見るのは給料の額ではなく、「就業場所の変更の範囲」の欄です。2024年4月から書くことが義務づけられた欄で、ここが空欄か、ひとことで終わっている求人は、入ってから話が変わりやすいところです。

ハローワークの端末から印刷した「内装工・未経験可」の求人票は、A4で1枚。就業場所の欄には「さいたま市大宮区(現場による)」とだけ書いてありました。この「現場による」が、片道2時間の現場まで含むのか、市内で収まるのかを決めます。

求人票は、会社が好きに書いているわけではない

求人を出す側には、明示しなければならない労働条件が法律で決まっています。募集や求人の申込みのときは職業安定法第5条の3、実際に雇い入れるときは労働基準法施行規則第5条です。

厚生労働省のリーフレット「募集時などに明示すべき労働条件が追加されます!」(2024年4月1日施行・改正職業安定法施行規則)には、最低限明示しなければならない項目として、業務内容/契約期間/試用期間/就業場所/就業時間/休憩時間/休日/時間外労働/賃金/加入保険/受動喫煙防止措置/募集者の氏名または名称が並んでいます。

つまりこれらの欄が埋まっていないのは、書き忘れではなく、明示すべきものが明示されていない状態です。「聞きにくいから聞かない」ではなく、聞いてよい欄だと考えて構いません。

求人票で見る5つの欄。就業場所と業務内容の変更の範囲、試用期間、加入保険、時間外労働。

① 就業場所の「変更の範囲」

2024年4月に追加された欄です。労働基準法施行規則第5条第1項第1号の3は、就業の場所と従事すべき業務について「変更の範囲を含む」と定めています。厚労省の記載例は「(雇入れ直後)東京本社(変更の範囲)●●支社」という形です。

職人の仕事はもともと現場が動きます。だからこそこの欄は、「(雇入れ直後)さいたま市内の現場(変更の範囲)埼玉県・東京都・千葉県西部の当社受注現場」のように、行く可能性のある範囲の外枠が書かれていなければ意味がありません。「当社の指定する場所」だけで終わっているのは、範囲を示していないのと同じです。

② 業務内容の「変更の範囲」

①と同じ改正で追加されました。ここが効くのは、「内装」で入ったつもりが解体と荷揚げばかりになるような食い違いです。厚労省の記載例は「(雇入れ直後)法人営業(変更の範囲)製造業務を除く当社業務全般」。職人なら「(雇入れ直後)クロス張り替えの補助(変更の範囲)当社が請け負う内装仕上げ工事全般」といった書き方になります。

見習いのうちは荷揚げも掃除も仕事のうちで、それ自体は普通のことです。問題になるのはその割合がいつまで続くのかを誰も言わないときで、面接で聞くならこの欄を指さすのが一番早い。

③ 試用期間

「試用期間あり(3か月)」のように、期間そのものが明示項目です。あわせて見るのは試用期間中の賃金で、厚労省の記載例も「月給25万円(ただし、試用期間中は月給20万円)」と、下がる場合は括弧で書く形になっています。期間だけ書いてあって金額の断りがなければ、下がらないという意味に読めます。ここは口頭ではなく、書面で確かめておくところです。

④ 加入保険

記載例は「雇用保険、労災保険、厚生年金、健康保険」の4つです。4つ並んでいないなら、その理由があると考えてください。労災保険は事業主に加入義務がありますが、厚生年金と健康保険は事業所の形態や労働時間によって扱いが変わります。「社会保険完備」とだけ書かれている場合は、何と何が入っているのかを挙げてもらうのが確実です。適用は個別に判断が分かれるので、はっきりしないときは年金事務所や労働基準監督署に確認してください。

⑤ 時間外労働

記載例は「あり(月平均20時間)」。そしていわゆる固定残業代を採用している場合は、内訳の記載が必要とされています。(1)基本給(手当を除く額)(2)何時間分の時間外手当としていくらか (3)それを超えた分は追加で支給する——この3行が揃っているかを見ます。「日給15,000円(諸手当込み)」の一行だけでは、何時間分が入っているのか判断できません。給与制度そのものの読み方は日給月給と月給の違いにまとめています。

就業場所の欄で、範囲が書いていない求人票と書いてある求人票の違いを並べた比較図。

欄が空だったとき、どう聞けばいいのか

「書いていないので教えてください」で構いません。角が立ちにくいのは、紙を見ながら欄の名前を言うやり方です。

  1. 求人票を印刷して持っていく(画面より、紙のほうが一緒に見られる)
  2. 空欄を指して「この欄は、御社だとどのあたりまでになりますか」と聞く
  3. 返ってきた答えを、その場で余白に書き込む(あとで食い違いにくい)
  4. 採用が決まったら、労働条件通知書と求人票を並べ、違っている欄がないか見る

求人票の内容と実際の労働条件が違っていた場合の相談先は、ハローワークの求人ホットラインや、都道府県労働局・労働基準監督署の総合労働相談コーナーです。

まとめ

求人票は、会社の姿勢がいちばん短く出ている紙です。金額だけを見比べると、範囲が書いていない求人ほど良く見えるという逆転が起きます。5つの欄が埋まっているかを先に見て、埋まっていない欄を面接の質問に変えてください。

会社そのものの見分け方は未経験で内装の会社を選ぶときの3点、面接で聞かれることは未経験で職人の面接を受けるとき、応募書類は未経験から職人に応募する履歴書の書き方にまとめています。

実際の求人票を見て迷ったときは、職人になりたい人の掲示板で聞いてみてください。同じ欄で引っかかった人の話が出てきます。

※本記事は2026年8月15日時点の情報です。出典:厚生労働省「募集時などに明示すべき労働条件が追加されます!」(2024年4月1日施行)、e-Gov法令検索(職業安定法・労働基準法施行規則)。

\ 最新情報をチェック /