見習い職人の特別教育の受け方と費用|玉掛け・高所作業車・足場

結論からお伝えすると、玉掛け・高所作業車・足場の3つは「特別教育で足りる範囲」と「技能講習まで必要な範囲」が数字で決まっています。境目は、玉掛けがつり上げ荷重1トン、高所作業車が作業床の高さ10メートル。足場は、作業に従事するだけなら特別教育で、指揮する立場になると作業主任者の技能講習が別に必要になります。見習いのうちは、特別教育で受けられるものから順に埋めていくのが現実的です。

なお、これは労働安全衛生法にもとづく制度で、科目や時間の細かい要件は改正されることがあります。一般的な考え方として読んでいただき、自分が受ける講習の内容と費用は実施機関と勤務先の安全担当に必ず確認してください。

特別教育と技能講習は何が違うのか?

名前が似ていますが、受けられる場所が違います。

  • 特別教育…事業者(会社)が自分で実施してもよい。講師の要件と科目・時間を満たせば、社内で受けたものも有効
  • 技能講習…登録教習機関でしか受けられない。修了証が交付される

「会社の会議室で半日受けた」で終わるものは特別教育、「教習所へ2〜3日通った」ものは技能講習、という見分け方でおおむね合っています。

玉掛けはつり上げ荷重1トン、高所作業車は作業床の高さ10メートルが特別教育と技能講習の境目。足場は従事者は特別教育、指揮者は作業主任者。日数は特別教育1日前後・技能講習2〜3日、費用は特別教育1万円前後・技能講習2万〜6万円台という目安をまとめた図解

玉掛け・高所作業車・足場、それぞれ何が必要か

玉掛け

クレーンでつる荷にワイヤーを掛ける作業です。一般的な区分は次のとおりです。

  • つり上げ荷重1トン以上…玉掛け技能講習(学科・実技で通常3日程度)
  • つり上げ荷重1トン未満…玉掛けの特別教育(1〜2日程度)

費用の目安は、技能講習が2万〜3万円台、特別教育が1万円前後(テキスト代は別のことが多い)。すでに持っている資格や実務経験で科目が短縮され、その分安くなる区分もあります。

高所作業車

  • 作業床の高さ10メートル以上…高所作業車運転技能講習(2〜3日程度/4万〜6万円台)
  • 作業床の高さ10メートル未満…特別教育(1日程度/1万円台)

大型特殊や普通自動車免許があると、学科・実技が短縮される区分があります。ただし公道を自走させるなら、車両に応じた運転免許が別に必要です。ここは混同しやすいので気をつけてください。

足場の組立て等

足場の組立て・解体・変更の作業に従事する人は、足場の組立て等作業従事者特別教育の対象です(学科6時間程度/1日/1万円前後)。指揮監督する立場になると、つり足場・張出し足場・高さ5メートル以上の足場では、作業主任者の技能講習が別に必要になります。

内装でも、共用部の作業や吹き抜けで足場に触ることがあります。「自分は組まない」と思っていても、ばらす手伝いをした時点で対象になり得るので、現場に入る前に元請けへ確認するのが安全です。

費用は誰が払うのか

見習いのうちに一番もめるところです。一般的な整理は次のようになります。

  • 会社に雇われている場合…特別教育は事業者に実施義務があるため、費用は会社負担が原則。受講の時間も労働時間として扱うのが原則
  • 一人親方の場合…自分で申し込み、自分で払う。事業の経費として処理する

面接や入社のときに「特別教育は会社負担ですか」と一言聞いておくと、あとで自腹を切る話になりません。中小の建設事業主向けに受講費用の一部を助成する制度もありますが、年度で内容が変わるため、労働局やハローワークで最新の要件を確認してください。

どこで申し込むのか

  1. 勤務先に聞く…会社がまとめて申し込むことが多い。これが一番早い
  2. 建設業労働災害防止協会(建災防)の都道府県支部…建設向けの講習が揃っている
  3. 登録教習機関・教習所…技能講習はここ。日程が埋まりやすいので1か月前を目安に動く
  4. 各地の労働基準協会…特別教育の受け皿になっている地域もある

繁忙期は満席になりやすく、希望日に入れないことがあります。現場が決まってから慌てて探すのではなく、手が空いている時期に前倒しで埋めておくと動きやすくなります。

修了証をなくしたらどうする?

技能講習の修了証は、受けた教習機関に再交付を申し込みます。その機関が統合・廃止されている場合は、引き継ぎ先か都道府県の労働局に問い合わせる流れが一般的です。

特別教育は、一般的に事業者が受講の記録を一定期間保存する扱いです。修了証やカードが出ないこともあるので、自分でも受講日・実施機関・科目を控えておくと、次の現場や元請けへの書類提出で困りません。受講のたびに写真を撮ってスマホに残しておくだけでも十分です。

見習いのうちに受ける特別教育の順番を示した図解。1 足場の組立て等、2 フルハーネス、3 高所作業車10メートル未満、4 玉掛けの順

見習いのうちに受ける順番

内装・設備で現場に入るなら、次の順で考えると無駄が出にくいです。

  1. 足場の組立て等の特別教育…触る機会が多い
  2. フルハーネス型墜落制止用器具の特別教育…高いところの作業がある人
  3. 高所作業車(10メートル未満)の特別教育…外部や共用部の作業がある人
  4. 玉掛け…搬入・荷揚げに関わるようになってから

資格全体の並べ方は見習い職人が取る資格の順番で整理しています。入って最初の1年で何が起きるかは未経験から職人になるとき、最初の1年で起きることもあわせて読んでください。

まとめ

  • 境目の数字は、玉掛け1トン/高所作業車10メートル。ここを超えると技能講習
  • 足場は「従事する」なら特別教育、「指揮する」なら作業主任者
  • 雇われているなら費用は会社負担が原則。入る前に確認する
  • 特別教育は修了証が出ないこともある。自分で記録を残す

受講の段取りや「これは会社負担なのか」といった実際のところは、これから職人になりたい人のフォーラムで聞いてみてください。掲示板の使い方ははじめての方へにまとめてあります。

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