塗装工が独立すると年収はどう変わるか

結論からお伝えすると、塗装工が独立して変わるのは金額の大きさより収入の振れ幅です。良い月は雇われ時代の1.5倍になりますが、梅雨と冬に稼働が落ち、そこへ税と保険の請求が重なります。年収が上がるかどうかは腕ではなく、年間の稼働日数をどれだけ埋められるかで決まります。

以下の金額は幅のある目安です。外壁か内部か、吹き付けか刷毛か、足場を自分で持つかで大きく変わりますので、そのまま当てはまる数字ではありません。

先に、1年目は良かったのに2年目に詰まった話

独立初年度、売上は月70万を超える月もあり順調だった。ところが2年目の春に資金が回らなくなった。起きていたのはこうしたことです。

  • 会社員時代の住民税の請求が、独立後に来た
  • 国民健康保険が前年の所得で計算され、稼ぎの落ちる冬に高い請求が届いた
  • 所得税と消費税を分けて置いておらず、確定申告で一度に出ていった
  • 6月と7月で雨天中止が合計11日あり、その月の売上が半分になった
  • 元請けの支払いが月末締めの翌々月払いで、材料の立て替えが2か月分たまった

売上が足りなかったのではありません。入ってくる時期と出ていく時期がずれることを計算に入れていなかっただけです。

雇われと独立で、収入の作りがどう変わるか

比べる点雇われの塗装工独立(一人親方)
年収の目安320万円から450万円程度売上600万円から900万円程度
雨で休んだ日給与は原則減らないそのまま売上がゼロ
社会保険会社が半分負担全額自己負担
材料・塗料会社が手配支給か自前かで利益が変わる
足場・高圧洗浄機会社の資産持てば単価は上がるが初期費用がかかる
収入の上限頭打ちになりやすい稼働と単価しだいで伸びる

人工単価は地域と工種で幅がありますが、1人1日18,000円から25,000円程度が一つの目安として語られます。吹き付けや特殊塗装、高所を含む作業はここに上乗せされます。逆に、内部の塗り替えだけを数量単価で受けると、日当換算で下がることもあります。

独立1年目の内訳を引き算してみる

売上700万円、稼働220日という前提で並べます。塗装は天候の影響が大きく、雨天と養生待ちで年30日から40日は落ちるものとして数えています。

段階金額の目安中身
売上700万円手間請け・応援・常用の合計
塗料・材料▲30万から80万円支給なら少額、自前なら一気に増える
道具・機材▲20万から40万円刷毛、ローラー、養生材、高圧洗浄機の維持
車両▲40万から60万円リースまたは減価償却、燃料、保険、車検、駐車場
現場経費▲15万から30万円駐車場代、高速代、廃塗料の処分
国民健康保険・国民年金▲45万から70万円自治体と前年所得により変動
一人親方労災(特別加入)▲3万から6万円高所作業があるなら実質必須に近い
所得税・住民税・消費税変動が大きい控除と課税事業者かどうかで別物になる
残る金額おおむね400万円台から500万円台、そこから税

この表も、まだ甘めに見ています。1年目は元請けとの関係が薄く、稼働220日を埋められないほうが普通です。180日で止まれば売上は570万円前後に落ちますが、車両費と保険はほぼ同じだけ出ていきます。その場合、手元に残る金額は雇われ時代と変わらないか、下回ることもあります。税と保険の実額は所得と自治体で変わりますので、税務署や税理士への確認をおすすめします。

独立して年収が上がる人は、何が違うのか?

腕の差だと思われがちですが、実際に差が出ているのは3つです。取引先の数、雨の日の埋め方、支払いサイトの管理です。

取引先が1社だと、その会社の受注の谷がそのまま自分の谷になります。2社から3社に分けている人は、年間稼働が20日から30日多くなります。人工2万円で計算すれば40万から60万円の差です。塗装は腕より天気の仕事だと言われますが、実際に年収を分けているのは天気ではなく、雨の日に入れる内部の仕事を持っているかどうかです。外壁が止まった日に内部の塗り替えや原状回復に入れる人は、梅雨でも売上が落ちません。

支払いサイトの管理も見落とされがちです。翌々月払いの相手が2社続くと、材料の立て替えが常に2か月分先行します。独立するなら、生活費とは別に3か月分の運転資金を置いてから動くのが安全です。仕事の入り口を増やす考え方は急に人手が足りないとき、応援職人を最短で見つける方法にも通じます。

まとめ

独立で売上は上がります。ただし引き算のあとの金額は、1年目は雇われとほぼ変わらないことも珍しくありません。年収が伸びるのは2年目以降、取引先が2社以上になり、雨の日の仕事を確保できてからです。判断するときは、年収の見込みではなく、月に何日埋まるかを数えてください。

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