原状回復工事の単価相場|受けるべき水準の判断

結論からお伝えすると、原状回復の単価は㎡単価そのものではなく、1日で何㎡進むかで判断します。㎡単価が2割高い現場でも、数量が少なく段取りの時間が長ければ、日当換算では負けます。受けるべき水準の目安は、実働1日あたりの手取りが18,000円から25,000円程度に届くかどうか。この一点に集約されます。

原状回復は1件が小さく、件数が多い仕事です。だからこそ㎡単価の印象に引きずられやすく、年間で数えると割の悪い現場を抱え込むことになりがちです。

先に、単価が高い現場で日当が下がった話

㎡単価が普段より50円高い話をもらって受けた。ところが終わってみると、日当換算では下がっていた。中身はこうです。

  • 1部屋の数量が28㎡しかなく、養生と片付けの比率が上がって半日で終わらなかった
  • エレベーターのない4階で、材料の荷揚げに40分かかった
  • 入居者の残置物が出て、片付けに1時間。処分費は請け側の負担だった
  • 3件を1日で回る予定が移動で崩れ、2件で終わった
  • 近隣にコインパーキングしかなく、1日2,000円が自腹だった

単価は上がっていたのに、手取りは下がっていました。㎡単価の高い現場ほど、1日あたりの手取りは下がっていることがあります。単価を上げてまで人を集めたい現場には、上げるだけの理由があるからです。

主な工種の単価の目安

あくまで幅のある目安です。地域・数量・元請け・時期で変わりますし、材料が支給かどうかで見え方がまったく違います。

工種手間請けの単価の目安1日の目安数量
クロス張替え(量産品・材料支給)1㎡あたり500円から。500円が下限50㎡から80㎡
クッションフロア張替え(材料支給)1㎡あたり700円から1,200円程度20㎡から35㎡
フロアタイル張替え(材料支給)1㎡あたり900円から1,500円程度15㎡から30㎡
室内塗装(建具・枠の塗り替え)1日あたりの人工で計算されることが多い1室から2室
ハウスクリーニング(単身向け1室)1件あたり15,000円から30,000円程度1件から2件

数量の目安は、下地が素直で、荷揚げがなく、1か所にまとまっている場合の話です。空室が2階以上で残置物があり、下地の補修が必要なら、この数量は3割から4割落ちます。

受けるべき水準は、日当換算で判断する

計算はごく単純です。㎡単価×その日に納められる数量から、実費と移動を引きます。

条件計算1日あたり
1㎡350円・70㎡・実費なし350×7024,500円
1㎡400円・45㎡・駐車場2,000円400×45−2,00016,000円
1㎡300円・80㎡・実費なし300×8024,000円
1㎡450円・35㎡・処分費3,000円450×35−3,00012,750円

㎡450円の現場が一番低く、㎡300円の現場が上に来ています。判断を分けているのは単価ではなく数量です。だから見積りの前に聞くべきことは「いくらですか」ではなく「1室あたり何㎡ですか」「階数とエレベーターは」「残置物は誰が片付けますか」の3つになります。

加えて、移動時間は日当に入りません。片道1時間の現場を1日1件で回すと、拘束10時間で1件分の売上です。同じエリアに2件から3件まとめてもらえるかどうかで、月の手取りは大きく変わります。

単価が安い現場は、全部断るべきなのか?

そうとは言い切れません。原状回復は、単価が低くても件数が読める仕事です。閑散期の谷を埋める役割があり、年間の稼働日数を20日増やせるなら、人工2万円換算で40万円になります。単価の低い1件を単独で見れば損ですが、年間で見れば違う結論になることがあります。

判断の線を引くなら、次の3つで考えると整理しやすくなります。

  • 日当換算で15,000円を下回る現場は、まとめて依頼が来る場合を除いて受けない
  • 移動が片道1時間を超えるなら、同エリアで2件以上を条件にする
  • 残置物・下地補修・荷揚げは、単価に含めず別立てで確認する

この3つを最初に伝えておくと、条件の合わない現場は自然に来なくなります。断り続けるより、条件を先に示すほうが疲れません。仕事の入り口を増やす動き方は急に人手が足りないとき、応援職人を最短で見つける方法で整理しています。これから内装に入る方は未経験から内装職人になるにはもあわせてご覧ください。

まとめ

㎡単価だけを見て受けるかどうかを決めない。数量と階数と残置物を聞いてから、日当換算に直す。18,000円から25,000円に届くなら受ける水準、15,000円を切るならまとめ依頼が前提。この基準を自分の中に一つ持っておくと、単価の話で迷う時間が減ります。

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