職業訓練校で内装を学ぶ|メリットと現実

結論からお伝えすると、職業訓練校で内装を学ぶ最大の価値は「技術が身につくこと」ではありません。道具の名前と現場の言葉に先に慣れられること、そして向いていなかったと分かったときに引き返しやすいこと、この2つです。半年で一人前になれる場所ではありません。

そのうえで、何も知らないまま現場に入った人が最初の3か月で削られる部分を、先に済ませておけるのは確かです。行く価値があるかどうかは、期待する中身を間違えていないかで決まります。

「訓練校で内装を学ぶ」とは、具体的に何を指すのか

公共職業訓練(ハロートレーニング)には大きく2つの入り方があります。都道府県立の職業能力開発校などで受ける施設内訓練と、民間の専門学校や事業者に委託して行う委託訓練・求職者支援訓練です。内装に関わる科は「建築施工」「住宅リフォーム」「内装仕上げ」といった名前で置かれています。

項目施設内訓練(職業能力開発校など)委託訓練・求職者支援訓練
期間の目安6か月〜1年(2年課程もあり)3〜6か月
実技の量多い。実習棟で継続して手を動かす科によって差が大きい
費用受講料は原則不要。課程により入学料などが必要受講料は原則無料
自己負担テキスト・作業服・安全靴などで1〜3万円程度同程度

生活費については、雇用保険の受給資格があれば訓練中も基本手当が出て、受講手当や通所手当が加わる形になります。受給資格がない場合は職業訓練受講給付金(月10万円と通所手当)の対象になることがありますが、収入や資産、出席率などの要件が細かく決められています。

科名・期間・定員・手当の要件は都道府県と年度で変わります。金額や条件は、ハローワークと各校の募集案内で必ず最新のものをご確認ください。

先に、訓練校でつまずいた例から

行ったことが失敗だった、という話はほとんど聞きません。つまずくのは、入る前の想定がずれていた場合です。

  • 「修了すれば就職できる」と考えていて、修了後に自分で動かず3か月空いた
  • 内装科だと思って入ったら図面とCADが中心で、手を動かすのは週に数時間だった
  • 生活費の計算をせずに入り、修了の2か月前に働きに出て中退した
  • 修了証を持って面接に行き、「で、何ができますか」に答えられなかった

共通しているのは、訓練校を「資格を取る場所」だと考えていた点です。内装仕上げの技能検定などは実務経験が前提になるため、訓練だけで取れる資格は限られます。訓練校で買えるのは資格ではなく、練習量と、企業との接点です。

訓練校で実際に手に入るもの

ひとつ目は、道具と言葉です。地ベラ、撫でバケ、ジョイントカッター、パテ、ポリベニヤ。こうした言葉が指示のなかで飛んできたときに、聞き返さずに動けるかどうかで初日の印象は変わります。訓練校の数か月で、少なくとも「何を持ってこいと言われたか」は分かるようになります。

ふたつ目は、失敗できる材料です。現場では貼り直しは全部が損になります。訓練校では捨てる前提でクロスを貼れます。同じ壁を3回貼り直せる環境は、現場に出たあとにはもうありません。

みっつ目は、就職の接点です。訓練校には地元の工務店や内装業者が求人を持ち込みますし、実習や見学で先に顔を合わせることもあります。求人票だけを見て応募するのとは、入口の性質が違います。

訓練校を出れば、見習い期間を飛ばせるのか?

飛ばせません。日給も、未経験として入る人と同じ水準から始まるのが普通です。訓練校を出た人が1部屋のクロスに丸一日かかる作業を、現場で3年やっている職人は同じ時間で何部屋か仕上げます。速さは現場でしか付きません。

ただ、最初の数か月の消耗の仕方は変わります。業界では「訓練校に行くより早く現場に入ったほうが伸びる」と言われます。半分は本当です。ただ、早く入った人のほうが早く辞めているのも事実です。伸びる速さと、続く確率は別の話として考えたほうが判断を間違えません。

入ってからの1年で何が起きるかは未経験から内装職人になるにはで整理しています。訓練校に行くかどうかを迷っている段階でも、先に読んでおくと想定のずれが減ります。

行くか、直接現場に入るか

訓練校が合いやすい直接現場に入るほうが合いやすい
生活費を3〜6か月分持っている今月の生活費から必要
職種をまだ決めきれていないやる職種が決まっている
前職が現場と全く関係ない知り合いや親方の紹介がある
体力が続くか自分で確かめたい20代前半で、体力に不安がない

どちらが正しいという答えはありません。訓練校に半年通うことは、半年分の収入を後ろにずらすことでもあります。その半年で何を確かめたいのかがはっきりしているなら行く価値があり、はっきりしないなら現場のほうが早く答えが出ます。

まとめ

訓練校は一人前を作る場所ではなく、現場に入る前の助走をつける場所です。得られるのは道具と言葉、捨てられる材料、企業との接点。この3つに納得できるなら、6か月は無駄になりません。募集の時期は年に数回に限られるので、まずは最寄りのハローワークで直近の募集科目を確認するところからで十分です。

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