独立して一人親方になる前に準備する7つ|取引先・届出・資金・保険

独立初日の朝、トラックの荷台に積んであるのは自分で買い揃えた道具箱と脚立。その日の行き先はもう決まっている。問題はそこではなく、1か月後の予定表が白いことです。

結論からお伝えすると、独立前に用意しておくべきものは7つです。順番は「取引先」「届出」「口座」「資金」「保険」「車と道具」「単価」。このうち会社を辞めたあとでは取り返しにくいのが、取引先・車のローン・単価の3つです。ここを在職中に片付けておくかどうかで、最初の半年の重さが変わります。

独立前に用意する7つの図。取引先の見込み、開業届と青色申告承認申請、事業用の口座とカード、資金を3つに分けて数える、保険を決める、車と道具、自分の単価を決めておく。

まず取引先。辞める前に見込みを作る

いちばん先です。独立して最初に詰まるのは技術ではなく、仕事の量が読めないことだからです。

ただし、在職中に今の勤め先の客を持ち出すのは避けてください。就業規則や契約で禁じられていることがあり、業界は狭いので必ず伝わります。声をかけるなら、勤め先と取引のない元請け、同業の知り合い、以前の現場で一緒になった別職種の職人です。

目安は、月の稼働の半分が読める状態。1社だけに頼ると、そこの仕事が止まった月に売上がゼロになります。

届出とお金まわりを整える

開業届と青色申告承認申請を出す

一般的には、事業を始めたら開業届を税務署へ出します。あわせて青色申告承認申請を出しておくと、帳簿の付け方の条件を満たした場合に控除を受けられる仕組みがあります。申請には提出期限が決められているので、開業日を決めたら早めに動くほうが安全です。

細かい要件や自分の場合の扱いは、税務署か税理士に確認してください。書き方の流れは一人親方の開業届|出すタイミングと書き方にまとめています。

事業用の口座とカードを分ける

屋号か個人名で、生活費とは別の口座を1つ作ります。分けないと、年明けの確定申告で1年分のレシートと通帳を突き合わせることになります。

カードも1枚分けておくと、材料代・ガソリン代・高速代が自動的にまとまります。この作業は独立してからだと後回しになり、たいてい1年目は分けないまま終わります。

資金は「生活費」と「つなぎ」を別に数える

用意する金額は職種で変わりますが、数え方は共通です。

  • 初期費用…道具、車、作業着、駐車場。中古車を現金で買うならここが一番大きい
  • 生活費…家賃・保険料・食費の3〜6か月分
  • つなぎ資金…働いた分が入金されるまでの立て替え。材料を自分で買う職種ほど厚く必要

職種別の目安は独立資金はいくら必要か|職種別の目安で扱っています。

保険と、車・道具

保険はどこまで入るのか

一人親方になると、会社員のときに付いていたものが外れます。一般的に検討するのは次の3つです。

  • 労災保険の特別加入…一人親方は原則として労災の対象外になるため、団体を通じた特別加入という制度があります。現場によっては加入証の提示を求められます
  • 賠償責任保険…床を傷つけた、水を漏らしたといった事故に備えるもの
  • 健康保険…国民健康保険か建設国保かで保険料の計算が変わります

どれも人によって金額も要否も変わるので、労働基準監督署や加入予定の団体、保険の窓口で確認してください。労災の考え方は一人親方の労災保険(特別加入)はどうすべきかで整理しています。

車と道具は、在職中に手当てできるか

ローンやリースの審査では、勤め先と勤続年数が見られます。独立直後は事業の実績がないため、在職中より条件が通りにくくなるのが一般的です。車を買い替える予定があるなら、辞める前が動きやすい時期です。

道具は最初から全部を新品で揃える必要はありません。使う頻度が低いものはレンタルで回し、毎日使うものだけ良いものを買う。この判断ができるかどうかで初期費用が数十万円変わります。

自分の単価は、聞かれる前に決めておく

最初の1社目で言い値を受けると、その金額が自分の相場として広がります。だから独立前に自分の数字を持っておきます。

目安として、賃貸の原状回復で使う量産クロスの手間請けは1㎡500円が下限です。ネット上には300〜400円台と書かれた記事が今も残っていますが、あれは10年ほど前の水準です。応援で他社の現場に入る場合は1日25,000円程度が標準で、複数の工種をこなせる多能工なら1日40,000円、またはそれ以上になります。

そのうえで、下地の状態・数量・現場までの距離・残材処分の負担で上下させます。単価の考え方は原状回復工事の単価相場|受けるべき水準の判断で詳しく扱っています。

在職中にしかできないことと、辞めてからでもできることを左右で比べた図。在職中は取引先の見込みづくり・車のローン審査・単価決め。辞めてからでも開業届・口座・保険・道具の買い足しはできる。

7つのうち、何から手を付けるべきか

時間がかかる順に並べると、取引先(数か月)、車のローン(在職中のみ)、単価の設定(考える時間)、そのあとに届出・口座・保険が続きます。届出は1日でできますが、取引先は1日では作れません。辞める日を決める前に、まず1番から動いてください。

準備の進め方や、同じ時期に独立した人の動き方は掲示板でも聞けます。→ 相談・雑談の掲示板

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