一人親方として独立した最初の3か月をどう乗り切るか|初入金までの動き方

独立して1か月目。稼働は埋まった。現場も無事に終わった。それでも通帳の残高は、辞めた日から減り続けている。働いた分がまだ1円も入っていないからです。

結論からお伝えすると、独立して最初の3か月を決めるのは仕事の量ではなく、入金が始まるまでの時間の設計です。支払条件が「月末締め・翌月末払い」なら、1日に働いた分が入るのは約60日後。この空白をどう渡るかを月ごとに分けて整理します。

独立して最初の3か月でやることを6点にまとめた図。1か月目は締め日と支払日の確認と現場写真、2か月目は初回入金と空き日を数字で伝えること、3か月目は今の元請けから広げること、毎月末に1時間の帳簿。

最初の3か月は、こういう並びになる

月ごとにやることが違います。同じ「営業しよう」でも、1か月目と3か月目では意味が変わります。

  • 1か月目…稼働と同時に、請求の形を作る月
  • 2か月目…初回の入金が来る月。同時に、予定の谷が見え始める月
  • 3か月目…波をならしにいく月。ここで動かないと4か月目が空く

1か月目|請求の形を、初日に確認する

現場に入る前に、元請けへ次の4つを聞いておきます。あとから聞くと、聞きづらくなります。

  1. 締め日と支払日…20日締めか末締めか。翌月払いか翌々月か
  2. 請求書の送り先と形式…紙かデータか、指定の様式があるか
  3. 単価の単位…㎡か人工か、材料は誰持ちか、残材処分は含むか
  4. 追加作業の扱い…その場で頼まれた作業をどう記録して請求するか

あわせて、着工前・完了後の写真を撮る習慣をこの月に付けてください。数量でもめたときに、話が3分で終わります。撮影の可否は現場ごとに確認が必要です。

請求書には、日付・件名(現場名)・数量と単価・合計・振込先を入れます。インボイス制度の登録をしている場合は登録番号なども必要になりますが、自分が登録すべきかどうかは一人親方とインボイス制度|登録するかどうかの判断で整理しています。制度上の扱いは一般的な説明にとどまるので、最終的には税務署か税理士に確認してください。

2か月目|入金が来る。同時に、予定の谷が見える

初回の入金があると一度落ち着きますが、この月に見ておくのは残高ではなく翌月のカレンダーの空きです。

月末締め・翌月末払いなら、初月の1日に働いた分は約60日後、初月の月末に働いた分は約30日後に、まとめて1回で入ってきます。2か月目に入るのは「初月ぶんの1回だけ」で、2か月目に働いた分はまだ先という点は押さえておいてください。ここを月収のペースだと思って生活費を組むと、3か月目に足りなくなります。

独立直後は、声をかけてくれた元請けの都合で稼働が決まります。相手の現場が切れれば、こちらの予定も同時に空きます。1社に頼っているほど、空き方が大きくなります。

空き日が見えたら、その時点で伝えます。「来月の下旬、3日ほど空いています」と具体的な日数で言うと、相手も埋めやすくなります。「いつでも空いてます」は、仕事がないと受け取られます。

3か月目|波をならすために動く

3か月目は、目の前の現場をこなしながら次を作る月です。優先順位は次の順になります。

  1. 今の元請けの、別部署・別担当に広げる…すでに信用があるので一番近い
  2. 一緒になった別職種の職人に、空き日を伝える…現場は職種をまたいで動く
  3. 止まっている取引先に、完了報告のついでで連絡する…用件があると連絡しやすい
  4. 新規を探す…時間がかかるので、余力のある月に始める
3か月目に動く順番を4段階で示した図。今の元請けの別部署・別担当に広げる、現場で会った別職種の職人に空き日を伝える、止まっている取引先へ完了報告のついでに連絡する、最後に新規を探す。

ここまでの3か月で、稼働日数・入金日・単価を1枚の表に残しておくと、4か月目以降の判断が早くなります。表計算でもノートでも構いません。

帳簿はいつやればいいのか

まとめて年明けにやると、1年分のレシートを前に手が止まります。現実的なのは、月末に1時間だけ確保するやり方です。やることは3つに絞れます。

  • 通帳の入出金を見て、事業のものだけ拾う
  • レシートを月ごとの封筒か袋に入れる
  • 請求済み・入金済みに印を付ける

経費にできるものの考え方は一人親方の確定申告|経費にできるものにまとめています。判断に迷う支出は、税務署か税理士に確認するのが確実です。

うまくいかなかったときは、どこで引き返すか

3か月やって稼働が半分も埋まらない場合、粘る前に原因を切り分けます。仕事がないのか、単価が合わずに断っているのか、連絡が遅くて流れているのか。原因によって打つ手が違います。

いちばん重いのは、生活費を削って安い仕事を受け続ける状態です。相場より下で受けると、その金額が自分の単価として定着します。一度、常用や応援で日数を売って収入を戻し、そのあいだに取引先を作り直すという戻し方もあります。独立をやめる話ではなく、資金が尽きる前に体勢を立て直す話です。

資金の数え方は独立資金はいくら必要か|職種別の目安、常用と手間請けの違いは常用と手間請け、どちらを選ぶかで扱っています。

同じ時期を通った人の話は掲示板でも聞けます。→ 相談・雑談の掲示板

\ 最新情報をチェック /