内装業の将来性|仕事が減る分野と増える分野

結論からお伝えすると、内装業は全体として仕事が消える業種ではありません。ただ、分野ごとの増減が大きく分かれます。新築に付随する内装は減り、既存の建物を直す内装は残るという方向で、同じクロス職人でも取引先の種類によって5年後の忙しさがまったく違ってきます。

「内装は建物がある限り仕事がある」という言い方は間違ってはいませんが、それだけでは動けません。どの分野が減り、どこが残るのかを分けて見ていきます。

先に、分野の読み違いで手が空いた例

仕事が減ったというより、減る側の分野に張り付いていたという話がよくあります。

  • 新築マンションの内装だけを受けていた。元請けの受注が止まった月に、1か月の稼働が9日になった
  • 店舗内装に寄せていたため、出店計画の見直しで3件が同時に延期になった
  • 単価の高い工事だけを追って原状回復を断り続けた結果、閑散期に埋める仕事がなくなった
  • 取引先が1社。その1社が施工体制を内製化したところで、翌月から声がかからなくなった

いずれも腕とは関係のない理由です。将来性の話は、腕の話ではなく分野の分散の話だと考えたほうが実務に近くなります。

減る分野と、増える分野

分野方向理由
新築住宅の内装減る着工そのものが縮んでいる。1棟にかける工期も短縮傾向
新築マンションの内装減る・波が大きい供給計画に左右され、止まると一斉に止まる
店舗・オフィス内装波が大きい景気と出店計画に直結。1件が延期すると数か月空く
賃貸の原状回復残る・安定退去は景気に関係なく発生する。入退去は4〜6年の周期で回る
既存住宅のリフォーム増える築30年を超える住宅の量が積み上がっている
断熱・省エネ改修に伴う内装増える補助制度と絡んで動く。下地から触る工事が多い
介護・バリアフリー改修増える手すり下地、段差解消、床材の変更が伴う

表を見ると、増える側にはひとつ共通点があります。増えている分野はどれも「1件が小さくて、判断が多い工事」です。1件で数百㎡を張れる新築のほうが効率はいいので、単価表だけを見て新築に寄せたくなります。ところが、量が読める仕事から先に競争が起きて単価が締まっていく、というのが実際に起きていることです。

単価はどう動くのか

クロス張替えの手間請けの単価は、1㎡あたり500円からが一つの目安で、500円が下限です。条件の悪い現場なら、これ以上を求めていい水準です。1㎡300〜400円台という数字を載せた記事も残っていますが、あれは10年ほど前の水準です。今の材料費と手間を考えると、量産クロスで500円を下回る条件は現実的ではありません。いずれにしても地域・数量・元請け・時期によって上下しますので、幅として捉えておくものです。同じ単価でも、1室で40㎡しかない原状回復と、1フロアで500㎡ある新築では手取りがまるで違います。

見るところ原状回復・小規模改修新築・大規模
1日の施工量養生・家具移動・下地補修が入り、量は伸びにくいまとまった面積を続けて張れる
㎡単価高めに設定されやすい数量で単価が下がりやすい
移動回数1日に2〜3現場になることがある同じ現場に数日入れる
入金までの期間元請けによる。月末締め翌月末が多い同じだが工期が長く、着手から入金まで空く

㎡単価だけを比べても判断になりません。1日で仕上げられる量と移動時間を掛け合わせて、1日あたりでいくら残るかに直してから比べたほうが確実です。1室40㎡を1日で仕上げて単価600円なら2万4千円ですが、同じ1日で80㎡張れる現場が単価500円なら4万円です。単価表の数字が高いほうを選ぶと逆になることがあります。

もうひとつ、原状回復には工期の短さという性質があります。空室のまま置くと家賃が発生しないため、依頼側は数日で仕上げたい。動ける職人が優先されるので、日程を空けておける体制のほうが単価より効いてくる場面があります。

残るために身につけるものは何か?

新しい技術を追う話ではなく、地味なところに集まります。

  • 下地の補修まで自分で処理できること。パテだけでなく、ボードの張替えや部分補修まで含めて受けられると単独で完結する
  • 2つ以上の工種を持つこと。クロスと床、あるいはクロスと塗装。1室を1人で仕上げられると依頼が変わる
  • 写真で記録を残すこと。施工前後を残しておくと、初めての取引先にも実績を示せる
  • 取引先を分散すること。新築系と改修系を最低1社ずつ持つ

これから内装に入る人向けの内容は未経験から内装職人になるにはにまとめてあります。すでに現場に出ている方でも、若手に説明するときの材料として使える内容です。

まとめ

内装業の将来性は、業種としてではなく分野ごとに分かれます。新築に付随する内装は縮み、既存の建物を直す仕事は残ります。今の売上のうち何割が新築由来なのかを一度計算してみると、次に手を打つ場所がはっきりします。

\ 最新情報をチェック /