未経験が知っておく職人の1日は職種で違う|内装・電気・設備・大工の集合から片付けまで

朝7時40分、現場前の道に軽バンが3台。先に着いた内装屋が壁紙のロールと脚立を下ろし、部屋の中へ運び込んでいく。電気屋はその横で車から降りず、スマホで工程表を見ている。設備屋はまだ着いていない。同じ現場、同じ朝でも、3人の1日はここからまったく違う形で進みます。

結論からお伝えすると、職人の1日は「何時に集合して何時に終わるか」よりも、「その日で仕事が完結するか」「他の職と待ち合わせがあるか」で形が決まります。この違いは職種ごとにかなりはっきりしていて、未経験で職種を選ぶときの判断材料になります。

職人の1日の形を決める3つの軸。その日で終わるか何日も入るか、一人で進むか他職と待ち合わせるか、段取りが朝か前日かの3点を示した図

職人の1日は、職種によって何がそんなに違うのか

時間そのものは、実はどの職種も似ています。朝の集合が7時半から8時、片付けを含めて夕方5時前後。ここは大きく変わりません。

変わるのは中身のほうです。次の3つが職種ごとに違い、それが1日の疲れ方と、覚えることの順番を決めています。

1つ目:その日で終わるか、同じ現場に何日も入るか

賃貸の原状回復に入るクロス屋や床屋は、1部屋を1日で仕上げて次の現場へ移る動き方が多くなります。朝に材料を入れ、夕方には片付けて出る。翌日は別の場所です。

一方で新築の大工は、同じ現場に何週間も続けて入ります。道具を現場に置いたまま帰れることもあり、朝の積み込みが軽くなります。

この差は、体の使い方より頭の使い方に効いてきます。毎日現場が変わる職種は、住所・鍵・駐車場・搬入経路を毎朝ゼロから確認することになります。

2つ目:誰と一緒に動くか

内装や塗装は、自分の持ち場に入ったら一人で黙々と進む時間が長い職種です。会話が少ない代わりに、進み具合が全部自分の手にかかります。

電気や設備は逆で、他の職との「待ち」が必ず入ります。壁が塞がる前に配線を通す、床を張る前に配管を回す——順番が決まっているので、前の職が遅れればその分だけ自分の予定も動きます。待ち時間が出る代わりに、現場全体の流れが読めるようになるのが早いのはこちらです。

3つ目:段取りの時間が、朝に来るか前日に来るか

材料を自分で調達する職種は、前日の夕方に材料屋へ寄る時間が実質的な仕事時間になります。ここは給料に出てこない部分なので、求人票の「8時〜17時」だけを見ていると入ってから驚くところです。

職種ごとに、1日はどんな形になるか

内装(クロス・床)

朝いちばんで部屋の状態を見て、その日で張り切れる量かを判断します。壁の下地が荒れていればパテの時間が増え、その分だけ張る時間が後ろにずれます。昼をまたいで一気に張り、夕方は糊の道具を洗う時間が必ず要ります。道具の洗いを含めて1日と考えておくとずれません。

電気

1日のうち、手を動かしている時間と、他職の進みを待っている時間がはっきり分かれます。待ちの間に翌日の分の材料を仕分けたり、図面を確認したりする人が多い職種です。改修工事では、いつ電気を止めるかを先に決めてから作業に入ります。

設備(給排水)

水を止める段取りが最初に来ます。入居中の建物なら、止める時間を住人に知らせてからでないと動けません。作業そのものより、止める・戻すの前後に時間を取られるのが特徴です。

大工

同じ現場に長く入るので、1日の中では朝の墨出しなど「その日の基準を決める作業」が先に来ます。ここがずれると1日分やり直しになるため、朝がいちばん神経を使う時間帯です。

どの職種でも、最初の1年は1日の形が同じになる

ここまで違いを書いてきましたが、未経験で入った最初の1年に限っては、どの職種でもやることはかなり近くなります。

朝は材料と道具の積み下ろし、日中は職人の横で使う物を出し、夕方は掃除と養生の撤去。1日のうち、自分の手で仕上げる時間はほとんどありません。これは職種が違っても共通していて、内装だから楽、電気だから技術的、といった差はこの時期には出てきません。

ですから、職種を選ぶときに「どっちが早く仕事を覚えられるか」で比べてもあまり意味がありません。比べるなら、次に挙げる1日の形が自分の生活と合うかのほうです。

職種ごとの1日の違いを内装・電気・設備・大工の4つで比べた図

職種を選ぶとき、1日の形から見ておくこと

  1. 毎日現場が変わるのは平気か。移動と段取りが苦にならない人は、1日完結型が向きます
  2. 待ち時間があるのは苦痛か。待てない性格だと、他職と絡む職種はストレスになります
  3. 一人で黙々が続くか。会話が少ない時間が長い職種もあります
  4. 朝と夕方に、給料に出ない時間がどれくらいあるか。面接で聞いていい項目です

どれが良い・悪いではなく、合う合わないの話です。時間ごとの流れをもう少し細かく知りたい方は見習い職人の1日の流れを、職種そのものの選び方は未経験からどの職種を選ぶかを合わせて読んでみてください。入って最初の1年で何が起きるかは未経験から職人になるとき、最初の1年で起きることにまとめています。

気になる職種が絞れてきたら、実際にその職種で働いている人の話を聞くのがいちばん早いです。職人になりたい人のフォーラムで、1日の流れについて質問してみてください。

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