人工単価の相場と計算方法|何が含まれているか
結論からお伝えすると、人工(にんく)単価とは1人が1日働く分の金額で、内装系なら1人工あたり20,000〜25,000円程度が一つの目安です。応援で入る場合は25,000円程度が標準で、継続して入る常用はそれより低めに置かれることが多くなります。ただしこの数字は、職種・地域・技能・時期で動きます。大事なのは相場を暗記することではなく、その中に何が含まれているかを分けて見ることです。
「1人工いくら」で話が進む場面は多いのに、内訳まで詰めることはあまりありません。ここを分けておくと、条件の良し悪しが自分で判断できます。
同じ現場に入っていても、立場で数字は変わります。常用で入る人と、単発の応援で呼ばれる人では1人工が数千円違うことがあり、任される工程が難しいほど上に振れる傾向があります。「相場」と呼ばれている一つの数字が、実際には立場ごとの束になっている、ということです。
先に、よくある失敗から
日当の額だけで受けて、月末にずれるパターンです。
- 1人工22,000円と聞いて受けたが、片道1時間の現場で、朝7時集合・撤収18時。拘束13時間で時間あたりに直すと1,700円を切った
- 高速代と駐車場代を自分持ちで、往復3,000円。実質19,000円になっていた
- 「半人工」の基準が決まっておらず、午前だけで終わった日が1/3人工で計算された
- 道具と消耗品(カッターの刃・ヘラ・養生材)が自分持ちで、月に1万円以上出ていた
- 残業になっても人工は1日単位のまま、割増がなかった
人工単価は「1日いくら」ではなく「1日=何時間、どこまで自分持ちか」まで決まって初めて数字になります。
人工単価の中身を分ける
| 項目 | 人工に含まれることが多い | 別途にできる余地がある |
|---|---|---|
| 施工の労務 | ◯ | — |
| 朝の段取り・片付け・清掃 | ◯ | — |
| 手道具の持ち込みと消耗 | ◯ | 特殊工具は別途の相談余地あり |
| 移動時間 | △(近距離は含む扱いが多い) | 遠方は手当・時間加算 |
| 高速代・駐車場代 | × | 実費精算にできる |
| 残材の運搬・処分 | × | 処分費として別途 |
| 宿泊・食事 | × | 出張手当 |
金額の交渉に入る前に、この表の「×」と「△」の行をどう扱うかを決める。それだけで、同じ22,000円が実質19,000円になるか23,500円になるかが変わります。
半人工の基準も決めておきたいところです。午前で終わった日を0.5人工とするのか、実働時間で割るのか。1人工20,000円なら半人工は10,000円ですが、往復2時間の移動がある現場なら、拘束時間あたりでは丸1日入るより悪くなります。「半日で上がっても下限は0.5人工」と決めている先もあり、最初に確認しておく価値があります。
自分の人工単価は、どう計算すればいいのか?
相場から選ぶのではなく、必要な額から逆算します。手順は3つです。
- 1年で必要な生活費を出す(家計に入れる額+税・保険の分)
- 1年でかかる仕事の経費を出す(車の維持・燃料・道具・保険・通信・処分費)
- ①+②を、1年で実際に動ける日数で割る
3番目がずれやすいところです。週休2日なら年間の営業日は250日前後ですが、雨・現場待ち・見積りや事務・体調を引くと、実際に手を動かせるのは200〜240日程度に落ちます。仮に220日で計算します。
1人工20,000円 × 220日で売上440万円。ここから車・燃料・保険・道具・通信で年120万円が出るとすれば、残るのは320万円。この320万円から、国民健康保険・国民年金・所得税・住民税を払います。数字を並べると分かりますが、決して余裕のある水準ではありません。「日当2万円ならいい」と言われることの実態はこれです。
もう一つ、割る側の数字も動かせます。年間220日を230日にできれば、1人工20,000円で20万円。日当を1,000円上げるのとほぼ同じ効果です。天候で止まりにくい内装の仕事を混ぜる、繁閑の時期がずれる取引先を持つ。こうした動きは、単価交渉と同じくらい年間の数字に効いてきます。
なお、税や社会保険の具体的な計算は個々の状況で変わります。実際の手取りを詰めるときは、税務署や税理士に自分の数字で確認してください。経費として認められる範囲も一律ではありません。
まとめ
人工単価は「1日いくら」より「1年で何日動けるか」とセットで見る数字です。日当を1,000円上げる交渉は年間22万円ですが、待ちや空きを15日減らせば年間30万円。後者のほうが大きいことがあります。単価表を睨む時間の一部を、空く日を埋める仕組みに回したほうが、数字は動きます。
これから内装の仕事に入る方は、1年目のうちに自分の1日の施工量を把握しておくと、この計算がそのまま使えます。未経験から内装職人になるにはも参考にしてください。


