見習いが最初に覚える現場用語|3か月で20語に絞る選び方と、その場での聞き返し方

「そこのウマ持ってきて」と言われて、脚立を担いでいく。「ちりを見て」と言われて、床のゴミを探す。用語の取り違えは、耳が悪いから起きるのではありません。言葉と、目の前の物が、まだ結びついていないから起きます。

結論からお伝えすると、現場用語は全部覚えようとしないことです。覚える対象を「①その日に自分の手が触る物 ②親方が指示に使う動詞 ③安全に関わる言葉」の3種類に絞り、3か月で20語を目安にする。これが、いちばん早く現場で言葉が通じるようになる順番です。

用語集を丸暗記しても現場で使えないのはなぜか

現場用語は、職種・地域・会社によって呼び方が変わります。同じ物が別の名前で呼ばれ、同じ言葉が別の物を指すことがあります。

  • 「コンパネ」は本来コンクリート型枠用合板のことですが、現場では合板全般を指して使われることがあります
  • 「ウマ」は作業台のことですが、脚立の上に足場板を渡した台をそう呼ぶ人もいます
  • 「ボード」は内装ではプラスターボード(石膏ボード)を指すことが多い言葉です

紙の上で50語覚えても、その現場で通じる保証はありません。物を手に持った状態で覚えた言葉だけが残ります。だから、覚える場所は現場で、覚える数は1日1〜2語で足ります。

見習いが最初に絞る3種類の言葉の図。手が触る物の名前、指示に使う動詞、安全に関わる言葉の3つに絞ることを示している

最初に絞る3種類の言葉

① その日に自分の手が触る物の名前

内装なら、ボード・パテ・ジョイントコーク・ローラー・タッカー・マスカー・養生テープ・コンベックス(メジャー)・ウマ・脚立あたりが最初の10語です。基準は単純で、その日に3回以上手に取った物だけ、帰りに名前を確認します。

② 親方が指示に使う動詞

優先度はこちらのほうが高いと考えてください。物の名前を間違えても手は止まるだけですが、動詞を間違えると逆のことをします。

  • ばらす=解体する、分解する
  • はつる=コンクリートやモルタルを削り取る
  • 逃げる/逃がす=寸法や位置を少しずらす
  • 殺す=動かないよう固定する、開口や機能を使えなくする
  • あたる=他の部材に干渉する、当たって入らない
  • ちり=2つの面の段差、出入りの寸法

③ 安全に関わる言葉

新規入場者教育、KY(危険予知)、TBM(作業前のミーティング)、開口部、立入禁止、フルハーネス、「上げます・下げます」。この3つ目だけは分からないまま「はい」と返事をしてはいけない言葉です。ほかは後から聞いても間に合いますが、ここは間に合いません。

メモは現場で取っていいのか?

取って構いません。ただしタイミングを固めます。作業中に手を止めてノートを開くより、休憩・移動・帰りの3回にまとめたほうが、結果的に多く残ります。

  • スマホのメモに「言葉/それが何か/どの場面で出たか」の3点だけ書く
  • 可能なら物を1枚撮っておくと、名前と物が結びつく(撮影が禁止されている現場があります。先に確認してください)
  • 帰りの車内や電車で、その日に出た言葉を口に出して並べる
3か月で20語を覚える順番の図。最初の1週間は安全の言葉と毎日触る物5つ、1か月目は材料と道具10語、2か月目は指示の動詞5語、3か月目は他職種の言葉を聞いて分かるだけにする

3か月の覚える順番

  1. 1週目:安全に関わる言葉と、自分が毎日触る物5つ
  2. 1か月目:自分の職種の材料と道具、あと10語
  3. 2か月目:指示の動詞を5語
  4. 3か月目:他の職種の言葉は「聞いて分かる」だけにする。自分から使えなくてよい

合計20語です。少なく見えますが、この20語は毎日出てくる言葉なので、覚えた分がそのまま作業の速さに変わります。

分からない言葉が出たときの聞き方

その場で聞くのは「今すぐ動く必要がある言葉」だけにします。いちばん困らせるのは、「はい」と言って動かないことです。

  • 言葉で聞き返すより、指を差して確認するほうが速い。「すみません、◯◯というのは、この材料のことで合っていますか」
  • 手が空いてから聞く言葉は、作業が切れたタイミングでまとめて聞く
  • 同じ言葉を三度聞くのは避けたいので、聞いたその場でメモに残す

聞くタイミングと言い方については 見習い職人の質問のしかた に詳しくまとめています。1日の中でどこに手が空く時間があるかは 見習い職人の1日の流れ、入って最初の数日で何を見られているかは 未経験で職人の会社に入った最初の1週間 を参考にしてください。自分で用意する道具は 見習いのうちに揃える道具 にまとめています。

言葉が分からないのは、続かない理由にはならない

現場に入って最初の数週間、何を言われているか分からない時間は続きます。ただ、それは覚えが悪いからではなく、言葉の数が多いからです。絞れば減ります。3か月で20語と決めて、1日1語で構いません。

同じところでつまずいた人の話を聞きたいときは、職人になりたい人の掲示板に書き込んでみてください。職種によって呼び方が違う言葉も多いので、「自分の現場ではこう呼ぶ」という答えが集まりやすいテーマです。

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