未経験の職人が確かめる集合場所と通勤|現場直行か会社集合かで移動中のケガの扱いが変わる

朝5時40分、まだ暗いコンビニの駐車場に軽バンが2台。片方の職人は会社に寄って点呼を受けてから現場へ向かい、もう片方は自宅から現場へ直接入る。同じ日給でも、この2人は「何時から働いていることになるのか」が違います。

結論からお伝えすると、集合場所が「会社」か「現場」かで、①朝の出発時刻 ②移動の時間に賃金がつくか ③移動中にケガをしたときの労災の種類、の3つが変わります。入る前に確かめておく話です。

図解:集合場所で変わる3つ。朝の出発時刻、移動の時間に賃金がつくか、移動中のケガの扱い(通勤災害か業務災害か)

集合場所は、だいたい3つの型に分かれる

  • 会社集合型……会社に集まって点呼と積み込みをし、社用車で現場へ。会社に着く時刻が実質の始まり
  • 現場直行直帰型……自宅から現場へ直接入り、終わったら自宅へ帰る。朝の余裕はあるが、遠い現場に当たると移動が長い
  • 混合型……ふだんは現場直行だが、材料が要る日だけ会社(または資材屋)に寄る

求人票に「直行直帰可」と書かれていても、実際は混合型ということがあります。「材料を積む日は月に何回くらいですか」まで聞くと、実態が見えます。

就業の場所は、口約束ではなく書面で示される

労働者を雇うとき、会社は労働条件を書面で明示しなければなりません。その明示事項のひとつが「就業の場所及び従事すべき業務に関する事項」で、2024年4月からは「就業の場所及び従事すべき業務の変更の範囲」も含めることになりました(労働基準法施行規則5条1項1号の3)。

現場が毎回変わる仕事なので、就業の場所は「本社および会社が指定する工事現場」のような書き方になることが多いです。大事なのは、そこに範囲が書いてあるかどうか。「関東一都六県」なのか「埼玉県内」なのかで、朝の出発時刻はまるで変わります。渡された書面のその一行を、先に読んでおいてください。

移動中にケガをしたら、通勤災害と業務災害のどちらになる?

労災保険では、通勤を「就業に関し、住居と就業の場所との間の往復などを、合理的な経路及び方法により行うこと」と定めています。そして、そこから「業務の性質を有するものを除く」と続きます(労働者災害補償保険法7条2項)。

つまり、ただ現場へ向かうだけなら通勤ですが、会社の指示で社用車に資材を積んで走っているような場合は「業務の性質」があると見られ、通勤ではなく業務のほうで扱われることがあります。同条2項2号では、厚生労働省令で定める就業の場所から他の就業の場所への移動、つまり現場から現場への移動も通勤に含まれることになっています。

どちらでも治療費は出ますが、扱いは同じではありません。通勤災害の療養給付には一部負担金があり、額は200円(健康保険法の日雇特例被保険者は100円)と決まっています(同法31条2項、同法施行規則44条の2第2項)。業務のほうで認められれば、この負担はありません。

また、帰りに経路を外れたり中断したときは、その間とその後は通勤として扱われません(同法7条3項)。ただし日常生活上必要な行為をやむを得ない事由で最小限度に行った場合は、その間を除いて通勤に戻ります。一般的にはこの整理ですが、実際にどちらで認定されるかは個別の事情で決まります。ケガをしたら自己判断せず、労働基準監督署に確認してください。

図解:入る前に確かめる順番。集合場所、賃金の起点、自家用車の費用負担、書面の変更の範囲の4段

入る前に確かめる4つ

  1. 集合はどこか。会社か、現場か、日によって変わるのか
  2. 会社集合の日は、何時から賃金がつくか。点呼の時刻か、現場に着いた時刻か
  3. 自家用車を使うか。使うなら、ガソリン代・高速代・駐車場代を誰が持つか。立て替えなら精算の締めはいつか
  4. 現場が変わる範囲はどこまでか。書面の「変更の範囲」を読み、遠方の現場が入る頻度を聞く

この4つは、聞いても嫌がられません。むしろ、答えが濁る会社のほうを警戒したほうがいい項目です。求人票そのものの読み方は未経験が職人の求人票で見る5項目に、朝から夕方までの流れは見習い職人の1日の流れにまとめています。

集合場所や移動の話は、同じ職種でも会社ごとに違います。「職人になりたい」の掲示板で、実際にどうなっているかを聞いてみてください。

\ 最新情報をチェック /