手間請けの単価はどう決まるか|平米単価と人工の関係

結論からお伝えすると、手間請けの単価は平米単価そのものではなく「平米単価 × 1日で拾える数量」で決まります。この掛け算の答えが人工(1人1日あたりの金額)です。ここを分けて考えないと、単価が上がったのに手取りが減る、という状態になります。

元請け側も、この掛け算で単価を組んでいます。同じ計算を職人側でもしておけば、提示された数字が妥当かどうかは自分で判断できます。

先に、よくある失敗から

単価だけを見て受けて、あとで割に合わないと気づく。順番はいつも同じです。

  • 平米420円という高い単価に飛びついたが、1戸25平米の小さい部屋ばかりで、1日2戸しか回れず50平米で終わった
  • 単価交渉で1平米20円上げてもらったが、翌月から下地の荒れた現場に回され、施工数量が15平米落ちた
  • 「単価は安いが数量は出す」と言われて受けたのに、実際の割り当てが週3日しかなかった
  • 数量は出たが支払いが翌々月末で、道具と燃料の立替が続いて資金が回らなくなった

単価は交渉の材料の一つにすぎません。手取りを決めているのは、単価と数量と稼働日数の3つの掛け算です。

平米単価から人工を逆算する

クロスの張替えで、1日にこなせる数量が50〜80平米程度だとして、平米単価ごとに1日あたりの金額を出したものが下の表です。地域と現場条件で数字は動きますが、考え方は同じです。

平米単価50平米/日65平米/日80平米/日
300円15,000円19,500円24,000円
350円17,500円22,750円28,000円
400円20,000円26,000円32,000円

表の中で、いちばん低いのが15,000円、いちばん高いのが32,000円。倍以上の開きがあります。そして注目していただきたいのは、単価300円で80平米(24,000円)が、単価400円で50平米(20,000円)を上回っていることです。単価の高さと手取りの高さは、必ずしも同じ方向を向きません。

ここに稼働日数を掛けると、月の姿が見えます。1日22,750円で月20日なら45万5千円、月16日なら36万4千円。単価も1日の数量も同じでも、割り当てが4日減るだけで9万円動きます。単価の話をするときに「月にどれくらい出せますか」を必ず一緒に聞くのは、この理由です。

なお、これは売上側の数字です。ここから移動時間・燃料・処分費・道具の消耗・保険を引いたものが実際に残る額になります。

単価はどんな要素で上下するのか?

要素単価が上がりやすい単価が下がりやすい
1回あたりの数量1戸だけ、飛び現場同じ間取りが何戸も続く
既存・下地の状態剥がしが重い、パテ量が多い新築、下地が整っている
材料1000番クラス・柄物・輸入材量産品で柄合わせなし
工期1日で仕上げ、夜間・休日余裕のある工程
現場条件エレベーターなし、駐車場が遠い搬入が近い、荷揚げが不要

左の列に当てはまる現場は、単価が高くても数量が伸びません。右の列は単価が抑えられる代わりに数量が伸びます。単価表の数字だけを比べるのが意味を持たないのは、この2つが必ずセットで動くからです。

交渉に持っていく材料は、単価以外にもある

単価を上げてほしいと伝えるより通りやすいのは、次のような話です。

  • 同じ物件で3戸まとめてもらえるなら、この単価で受けられる(数量ロットの提案)
  • 剥がしを別途にしてもらえれば、本体の単価は据え置きでよい(範囲の切り出し)
  • 支給材を前日までに現場に入れてもらえれば、待ちがなくなる(段取りの改善)
  • 支払いを翌月末にしてもらえれば、立替が減る(サイトの短縮)

どれも元請け側の負担が小さく、こちらの手取りには効きます。単価だけを的にすると、相手も譲れる余地が単価しかなくなります。

伝え方も結果を変えます。「安い」と言えば相手は身構えますが、「この条件だと1日で50平米しか拾えないので、日当換算で17,500円まで落ちます」と数字で並べれば、話は単価から条件の調整に移ります。単価表を書き換えるより、現場の組み方を変えるほうが決裁が通りやすい、というのが実情でもあります。

まとめ

平米単価を10円上げる交渉より、1日で拾える数量を5平米増やす段取りのほうが、手取りには効きます。65平米に10円乗せれば650円ですが、350円で5平米増えれば1,750円。段取りは自分の側で動かせる部分が多い、というのがこの計算の意味です。

単価を聞いたら、そのまま数量を掛けてみる。それだけで判断の精度は上がります。未経験から内装職人になるにはでも、1年目に身につける段取りの話に触れています。

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